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指
『キャ! くすぐったい』
「おにーちゃん、くすぐらないで!」
「え、 俺なにもしてないぜ、っていうか、お前こそくすぐるんじゃねーよ」
「私? 私もなにもやってないわよ」
「嘘つくんじゃねー! さっきから俺の足くすぐっているクセに」
お兄ちゃんはそう言いながら掘り炬燵の布団を捲って中を覗き込んだ。
そして悲鳴を上げる。
「ウワァァ!」
「え、なになに?」
お兄ちゃんの悲鳴にビックリして、私も布団を捲り中を覗く。
炬燵の中に沢山の指が生えていて、くすぐるように小刻みに動いていた。




