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小僧共 ①
「今年も人間共に悪戯を仕掛けるぞ!」
「「「「「オオゥ!」」」」」
掘り炬燵で暖まりながらノートパソコンに文字を打ち込む。
私はそこそこ売れている小説家。
最近スランプ気味で静かな環境で作品を書きたいと溢したら、懇意にしている編集者にこの旅館を紹介される。
紹介してくれただけあって雪が深々と降る音が聞こえる程の静寂な環境だ。
先程の豪華な夕食を食べ過ぎたみたいだな、腹が張る。
腰をチョット浮かし掘り炬燵の中に放屁した。
ブホン!
屁を放いた途端、私が座っているところ以外の炬燵布団が内側から捲られ、鼻を押さえて涙目のおかっぱ頭の童に狐や狸に犬や猫の耳や尻尾の子供たちや、赤や青の小鬼など10数人の小僧共が飛び出て来て、慌てふためきながら部屋から出ていった。




