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コレクション


私には憧れている女性がいる。


彼女の髪や肌は透き通るように白い。


例えるなら白い牡丹や百合の花だろうか。


でも私は彼女に触る事は許されていない。


だから彼女が望む物を手に入れる手助けをしている。




「へー、スラロームの跡1つ無くて雪質も最高、良いところじゃない。


あなたみたいな醜男ぶおとこがこんな場所を知っているなんて意外だわ」


私は今、オリンピックに出場したこともあるスキーヤーで、シーズンオフにはモデルをしている美女と彼女のボーイフレンドの美男子を連れて、バッグカントリースキーに来ている。


美女に揉み手をしながら返事を返した。


「だからこそですよ。


こんな醜男がスキー場にいると罵声を浴びせられ時には暴力を振るわれて迫害されるんで、誰にも文句を言われず1人で楽しめるところを探していて見つけた場所なんです」


「アハハハハハハハ!


確かにあなたみたいな顔の醜男がいたら私も罵声を浴びせたくなるわ」


「ハハハ…………。


それでですね、此の場所は知る人が殆どいないところなんで遭難しないように気をつけてください。


たぶん今この地にいるのは貴方方と私だけだと思いますんで。


と言っても、ここで雪崩が起きた事は1度もありませんがね。


ただ、偶に吹雪く事があるので、その時はその場から動かず吹雪が治まるのを待ってください。


まあ吹雪いても2〜30分の辛抱ですから」


「分かったわ」


「それじゃ私は別ルートで降りますんで、お二人で楽しんでください」




「今回の獲物はどうでしょか?」


私は吹雪と共に現れた憧れの女性である氷の女王の前に跪き、凍りついた美男美女を指し示す。


「気に入ったわ。


屋敷に持って行くけど貴方も一緒に来る?」


「獲物がここにいた痕跡を無くさなければならないので、それが終わりましたらお伺いさせて頂きます」


「あ、そう、じゃあね」


私は氷の女王と2体の獲物が不意に巻き起こった吹雪と共に消えるのを、跪いた姿勢を崩さず見届けた。


それから、獲物が身に着けていたスキーウェアやスキーの板とストックを持ち下山する。


氷の女王の極寒の地にある屋敷には、色々なポーズを取らされ凍りついた裸体の美男美女がコレクションとして、美術館の石像や銅像のように多数飾られているのだった。










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