真冬の怪異

止まれない

私の趣味はスキー。

スキー場では無く、人里離れた山奥で新雪にスラロームの跡をつけて滑るのが趣味。

人里離れた山奥でスキーを行っている事もあり、何度か山岳救助隊のお世話になった事もある。

その都度、山岳救助隊の人たちや家族に人里離れた山奥でスキーを行うのは止めるように注意された。

新雪の上に跡をつけながら滑り降りる快感を一度体験すると止められないんだな。

なんて事を言ってたが止めれば良かった。

初めて来た山を滑り降りている途中、

一瞬地吹雪で一寸先が真っ白になる。

直ぐ見えるようになったけど、見えたのは地吹雪で一寸先が真っ白になる前に滑り降りていた山じゃ無かった。

眼下に広がるのは見た事の無い景色。

い、異世界か？

止まって周りを確かめたいのだが、直ぐ後ろから私を食い殺そうと狼と熊を合わせたような巨獣が追って来ていて止まれないんだ。

「誰かー！　助けてくれー！」