代用品
沢山のマネキンの氷像が極寒の地に立ち並んでいた。
科学者や学者と言われると者たちの言葉を信じた私は大馬鹿者だ。
地球温暖化で気温が上昇すると言う言葉を信じた私は、極寒の地にある雪原を買い求め家族や部下を連れて引っ越しした。
だが地球は暑くならないばかりか寒くなり氷河期が到来する。
私が極寒の地に引っ越しする前に住んでいた所も、雪と氷の世界になったとの聞く。
お蔭で家族や部下と共に移り住んだ極寒の地は今ではマイナス100℃以下の気温が標準となり、家族や部下に呆れられた挙句皆私を見捨てて出て行った。
極寒の地に1人残された私の命はもうすぐ尽きる。
だけど…………、1人寂しく極寒の地の墓に入るのは嫌だ!
だから私に忠実なアンドロイドたちに命じた、私の墓の周りに凍りついた世界から沢山の遺体を持ってこさせ、持って来た遺体を氷像にして並ばせてくれと。
男の最後の命令に従い、男の世話をしていたアンドロイドたちは凍りついた世界から凍りついた者たちを持って来て氷像にし、男が眠る墓の周りに立てていく。
温暖な地方に避難する途中、人々は先を争い他人を押しのけて行く。
その為、避難する途中に命を無くした者たちの遺体はどれも傷つき人の原型を留めていなかった。
アンドロイドたちは原型を留めていない人間の遺体を持ち帰る代わりに、原型を留めているマネキンを持ち帰り主人の墓の周りに立てて行くのであった。




