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節分で外に追い払われた鬼が何処に行くか知ってるかい?


答えは、僕が住む村にある湖の奥深くにあると言われる地獄に帰って行くんだよ。


毎年、1月の終わり頃から2月の初め節分の前日までに、硬く凍り付いていた湖の氷が真ん丸く融ける。


どういう理屈で融けるのかなんて科学者でも無い僕や村の人たちには分からないけど、湖の真ん中の氷か丸く融けるんだ。


その開いた穴の中に節分で追い出された鬼が逃げ込んで行くらしい。


見た事があるのかって? 無いよ。


節分の日の夜は窓や戸を固く閉め、絶対に外を見ては駄目だと言われているから。


でも、駄目だと言われると見たくなるのが人の性。


盗み見てしまった人が村にいるんだよ。


その可哀想な人から聞いたから知っているんだ。


外に追い出されたとき鬼は追い出された家の1年の間に溜まった厄を身に纏う。


厄を身に纏い穢れた鬼たち、鬼にも矜持があるから厄を身に纏い穢れて弱り逃げ帰って来たところを人に見られたくなんて無い。


だから遙か昔、此処に村が出来たとき村の者たち全員が同じ夢を見たんだって。


夢の中に神様が現れ、此の国に住まう者たちの厄に穢され弱った鬼が村の中を通って地獄に帰って行く。


鬼にも矜持があり厄に穢され弱っているところを人に見られたく無いだろうから、節分の日の夜は家に閉じこもり決して外を見てはならない、その代わり1年の間に溜まる此の村の厄は村の中を通って地獄に帰る鬼たちが全て持って行くだろう。


と、告げたんだって。


盗み見た人が可哀想って言うのは、盗み見た人に対し夢の中に現れた神様から盗み見たことを詰らればつが与えられたから。


1年の厄を身に纏い穢れた鬼は地獄に帰り、地獄で身に纏っていた厄を落とす。


でも、地獄に帰る途中の鬼を盗み見てしまった者も鬼が纏う厄に穢されるけど、彼は地獄には行けない。


だから現世で罰を受ける。


鬼を盗み見てしまった人には盗み見たあと決して春が訪れない。


2月が終わり3月になって村に春が来ても、盗み見た人の身体は硬く氷のように固まり春の暖かさを感じる事は出来なくなる。


その人は冬眠の逆って感じで、春が始まる3月の初めから秋が終わる11月の終わりまで氷のように固まったまま寝て過ごし、12月の初め冬になると眠りから覚め動けるようになるんだよ。


1年の内3ヶ月だけ起きているからなのか、それともそれも神様からの罰なのか、その可哀想な人は遙か昔此の村が出来たとき夢の中で神様を見た人の1人なんだって。





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