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フーやっと渡し終えた。


バレンタインのとき貰ったチョコが2〜30円で買えるチロルチョコなのに、お返しは2〜300円のハンカチだなんて割りが合わないよな。


だいたい俺には佳奈って言う大事な彼女がいるんだから、チョコ寄越すの遠慮しろって言いたい。


あとは佳奈ちゃんにちょっとお高いブランドのハンカチを渡さなくちゃ。


と、その佳奈ちゃんを含む隣のクラスの女の子たちが、町の有名神社の跡取り息子の潤の襟首を引っ張り引きずるようにして校門から出て行く。


なんだ?


目を丸くしてそれを見ていたら、佳奈ちゃんと同じクラスの幼馴染、冬弥が何時の間にか隣りに立っていて説明してくれた。


「潤の奴、バレンタインの時チョコレートをクラスの女の子全員に貰っておきながらお返しを用意して無かったんだって」


「アレ? 


小学3〜4年生のとき潤のお母さんが学校に乗り込んで来て、他宗教のイベントであるバレンタインは潤には必要ありません! チョコレートを潤に渡してもそのまま突っ返すように教育してますから、渡さないでください! 


って啖呵切っていたよな。


だからそれを知っている学校中の女の子が、潤にはチョコレートを渡して無い筈なのに、何で?」


「それな。


家の母ちゃんが潤のお母さんと友達なんで啖呵切った後、なんでそんな事を学校で言ったのか聞きに行ったら、潤って頭が良くてスポーツも得意なうえ顔も整っているからモテるだろ、そんな子がチョコレートを貰うと凄まじい数のチョコレートを貰うことになる。


そうしたらお返しも凄まじい数になって潤のお小遣いだけでは賄い切れなくなるだろうから、先手を打ったんだって言われたんだって」


「それなのにお前のクラスの女の子たちは潤にチョコレートを渡したのか?」


「親の心子知らずって奴らしいよ」


「どういう事?」


「潤も男だからバレンタインのときチョコレートを貰いたいって思いがあって、貰えないなら貰えるようにしようと禁じ手を実行に移したんだって」


「禁じ手って?」


「チョコレートに縮小コピーしたクラスの女の子たちの写真を貼って、1月の半ばくらいから、丑三つ時に神社の裏山でチョコレートを寄越せ、寄越せ、って呟きながら、チョコレートに釘をカツーン、カツーンと打ち込んだらしいんだわ。


それで、高名な除霊師として名高い宮司の息子だけあって潤にも神力しんりきがあるらしく、バレンタインの時チョコレートを寄越せ、寄越せ、って言う夢をクラスの女の子全員が1月の半ばから見るようになったらしい。


で、夢を見た女の子たちもその願いを無視したら何らかのばちが当たるんじゃ無いかと怖くなって、バレンタインのとき潤にチョコレートを渡したんだってさ」


「それで今迄一度もチョコレートを貰った事の無い男の悲しさで、お返しが必要な事を知らなかったって訳か」


「ああ、そう言うこと」









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