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追うもの
雲ひとつ見えない青空の下に広がる大雪原を、1台のスノーモービルが疾走している。
乗っている2人の男は何かに怯えているような顔をしていた。
操縦する男は時偶後ろを振り返り振り返った顔を元に戻すと、全開のアクセルを更に開けようとする。
後ろに乗っている男も両腕に抱え込んでいるライフル銃の銃口を時偶後ろに向け発砲した。
だが、数十キロ四方に広がる平坦な雪原の何処にも彼等を脅かしていると思われる物の姿は見えず、咆哮などの声も聞こえない。
彼等は何に怯えているのか?
否、スノーモービルの後方数百メートルの所に透明な何かがいた。
次々と巨大な足跡を雪原に残しスノーモービルを追う巨大な何かは、逃げる獲物を口にするまで追うのを止めないのだろう。




