俺、料理長になる。
俺は、ハーレム天国にいる!と素直に思いたいのは山々なのだが、ここの女の子みんな怖い!
何されるかわかんない!
数分前に里美がバイトから帰ってきて、桜と2人で買い出しに出かけた。このシェアハウスは駅近でスーパー、コンビニ両方とも近くにある。
さて、料理は誰がするのだろうか。ここで俺がかっこいいとこ見せるべきなのか?
小さい頃から、両親は共働きで料理だけは自信がある。
「まぁ、何作るかは材料見て決めるか⋯⋯。」
キッチンのある1階へと向かう。
柚子の部屋の前を通ると相変わらずアニメの音が聞こえてくる。
どんだけ大音量で見てんだよ。
キッチンに到着し、冷蔵庫を開く。
「な、何も無いだと!?」
ミネラルウォーターと栄養ドリンク以外何も入っていない!
「だ、だから買い出しに行ったんだよな⋯⋯。」
頼むから、材料買ってきてくれ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
数分後、2人が帰宅して袋の中を見ると、大量のお菓子とカップ麺、冷凍食品!
材料がひとつもない!
「まぁ、こんなところだとは思ったけど⋯⋯。一体誰が料理してんの!?」
「電子レンジと給湯機?」
しれっと桜がそう答える。
「桜、1年ここに住んで同じ生活を?」
「そうだよ?何が変?」
「だから、背が伸びないんだよ?」
「うるさい!余計なお世話!」
ガコン
凍った冷凍食品で叩かれた。
数日後には、頭が胴体に埋め込まれてそうだ⋯⋯。
仕方なく、今日は4人でカップ麺を食べることにする。
「頼むから、野菜とか肉とか買ってきてくれ!」
「なんで?美味しいじゃんカップ麺!」
「健康に悪いし、太るよ⋯⋯。」
「私、全然太ってない!」
里美がお腹を出してペちペちしてくる。
「分かったよ。けど、飽きるだろ!」
「いいけど、誰が料理するの?」
「俺がするよ。」
「男飯ってこわぁーい。」
桜がそう言う。
桜の方がもっと怖いと思う。何されるかわかんねぇし。
「いいよ。私、健くんのご飯食べたいわ。」
「ゆ、柚子ちゃん優しいね。」
「私は、誰が作ったものでも食べるけど。」
全くこの集団は人を落ち込ませるプロなのだろうか⋯⋯。
「岡野料理長頼んだよー。」
桜にそう言われた。
「はいはい。」
こうして俺は、料理長に就任した。