チビの威圧
下着を配り終えた。あとで、先輩に挨拶しないとなぁ。敬語使ったらしごかれるのかぁ⋯⋯。
どんな人なんだろう。確かAカップだったよな⋯⋯。背の高い貧乳は結構いいかも!
そんなことを考えていると⋯⋯。
カチャカチャ。
ん?誰か鍵をいじってる?
ガチャんっ
空いた!?合鍵を持っているのは、大家さんだけなはず⋯⋯。
ガチャ
そこに入ってきたのは、身長150cm程の女の子。茶髪でロングヘアで貧乳。
「桜だけど~。健くん?よね?」
どうやら、このチビが先輩らしい。年上=背が高いと考えていた俺はアホだったらしい。
「下着ありがとね!2年の木梨桜!よろしくねっ!」
話し方は、柚子とは対照的で明るい。そんなに怖い人ではなさそうだ。
「せ、先輩!今挨拶に行こうと思ってたんです!ていうか、なんで鍵もってんですか!?」
この部屋のプライバシーは保護されないのだったなそういえば。
「あ、健くんが敬語使った。悲しい。悲しい。馴れ馴れしくしてよ。」
あー!やらかした!思わず敬語を!
しかもこれって、しごかれるの精神的にじゃねぇか!
「さ、桜。泣かないで!」
ぎこちなく、馴れ馴れしく話す。
「あ、嘘泣きだよ?タメ口厳守ね!」
「な、なんで?」
「敬語だとなぜか悲しいから。」
なんだよそれ!
先輩の威圧に勝てるはずもなく、受け入れる。
「それと、なんで鍵持ってんの!?」
「最年長だから、鍵みんなの持ってる。」
「ほかの男子のも?」
「ほかの男子?男連れ込んで何するの?そういう趣味?」
「ち、違う!⋯⋯え?男子俺だけ?」
「そうだけど?聞いてなかった?」
「聞いてなかったで⋯⋯す。」
嬉しいのか、寂しいのか分からない。
でも、男一人だけで他はみんな女の子!!
うひょー!こりゃあラッキースケベとかあるんじゃ!
「安心して。男女風呂、トイレ別だから!」
俺の想像が一気に崩れ落ちる。
「そ、そっか⋯⋯。了解。」
「なんで落ち込むの?私とお風呂入りたい?」
「いや、貧乳は興味ないんで。」
つい、口に出して────
バコーン
漫画で頭を思いっきり叩かれた。
「な、なんで私が貧乳だって知ってんのよ!」
「塚田さんにブラジャー届けさせられたからつい⋯⋯。」
「さ、里美⋯⋯。あんな子だとは分かっていたのに⋯⋯。昨日会った瞬間絶対なにかやらかすと思ったら。」
「本当にやらかしてくれたという訳ね。」
「そうよ!もう貧乳なんて言わないで!」
「分かった。言わない。」
ポンポンと慰めるように頭を撫でる。
「子供扱いするなー!」
バコンッ
また、叩かれた。
これが3人目の住人で最年長でこのシェアハウスを統治している木梨桜だ。