ビラ配りならぬブラ配り
コンビニから戻り、自分の部屋に戻ると机の上に、女性の下着が2セット置いてある。
その上には、メモに
【桜ちゃん】【柚子ちゃん】
と書いてあり、その横には
【ごめん、バイト行かなくっちゃ!2人の下着届けてあげて!里美より♡】
と書かれた手紙が添えてあった。
どうなってんだよ、ここは⋯⋯。
それに、里美以外のシェアメイトとは会っていない。ここに来てもう、3時間経つ。
ここに、下着を置いておく訳にも行かず、持っていくことにした。
ふと、タグを見る。Aカップかぁ。これは桜。それで、柚子はCかぁ。
おっといけねぇ。こんなところ見られたら警察呼ばれてしまう!
女子部屋のある、1階へ降りて誰にも見つからぬよう静かに歩く。
「ここが、桜ちゃんの部屋っと。ドアの前に下着を置く。」
ふぅ。1つ目クリア!
「それで、ここが柚子ちゃんっと。」
ガチャ
「な、なにやってんの?私の下着使い終わったから返しに来た?」
「ち、違うよ!」
運の悪いことに、タイミング悪く柚子が部屋から出てきた。
茶髪のショートヘアで胸は⋯⋯。Cカップのこちらも美人な子だ。声は、物静かな感じで落ち着いている。
「まぁ、入って。」
このまま、尋問されるとかないよね?助けて⋯⋯。
「下着、干してたの届けてくれたんでしょ?分かってる。里美は、そういう子だから。」
「分かってたなら、取りに来てよ⋯⋯。」
「勝手に入って何かやらしいことしてたら困るでしょ?」
「ま、まぁ。」
「少しは否定してよね。」
「は、はぁ。」
見た目の割には強烈なことを言うもんだな⋯⋯。
「それで、桜には見つからなかったの?」
「え?居るの?」
「居るわよ。私は、ほとんど部屋に引きこもってるけどね。」
柚子の部屋はアニメキャラクターのフィギュアやライトノベル、漫画、DVDで埋め尽くされている。
だが、散らかってはおらず整理整頓されている。余程大切にしているのだろう。
「す、すごい部屋だね。」
「そう?私オタクだから。もっと凄い人は沢山いるわよ。」
「そ、そうなんだ。」
「ていうか私、岡野くんと同級生だよね?講義終わったら買い物に付き合わせるかもしれないから。荷物持ちが入居してきてくれて嬉しいわ。」
「初日からその扱いやめてよ⋯⋯。」
俺の、大学生活はどうなってしまうのだろうか⋯⋯。
「それと、桜は一応先輩だから。でも敬語使ったらしばかれるよ。じゃなくてしごかれるよ。」
「怖いから、いろんな意味で。」
し、しごかれるのかぁ。どこをかなぁ。
「変なこと考えないでね。ここで発情されたら困るから。」
「し、しないよ!」
これが2人目の住人
木村柚子だ。