7秒目 カワイイ子は好きじゃない!!
「よろしくぅー!いやぁ会えて嬉しいなぁー!」
「は、はぁ…」
その女の子は雛乃の手を取り大袈裟にブンブンと縦に振る。
「私の名前はね!戸部奈々子って言うの!」
戸部奈々子と名乗る女の子はフリフリした服を着た、未成年くらいの可愛い子だった。雛乃はこの元気一杯のキラキラした女の子のノリが好きではなく、あまり、友好的な感情が持てなかった。
「あ、あぁ…どうも、私は久納雛乃。」
「じゃあ、じゃあ、その人は?」
奈々子は木嶌を指を差しキラキラした目で聞く。しかし、木嶌は少し離れたところで手を本当に軽く出しただけでそれ以上の返答をしなかった。
「はぁ、失礼なやつでしょ?ああいう奴なのよ。」
「ほえー……え、彼氏さんなのですか?」
「はあ!?」
「はひっ!すみません!!」
あまりの軽率な奈々子の言葉に一瞬キレる雛乃。それを聞こえていたのか、木嶌はフッと笑う。奈々子は焦りながらも、身ぶり手振りを加えて謝罪をした。
「か、彼氏さんじゃなかったのですね!早とちっちゃいましたぁ……じゃあ、ちょっと挨拶してきますね!」
「あー、うん。」
奈々子はテケテケと歩き、木嶌に近付き、両手を出して握手をねだる。
「よろしくです!私は戸部奈々子!よろしくね!」
さっき話した声より少し高めで、よろしくをよおしくっと聞こえるくらいの馬鹿っぽいしゃべり方をする奈々子。その姿を冷たい目で見ている雛乃。
(はぁーこういうのが男にモテるのよねぇ……馬鹿馬鹿しい)
しかし、木嶌の目はとても冷たく、奈々子を見下したような目をしていた。
「ほ、ほぇ?」
そして、木嶌は奈々子に非道な言葉を投げ掛ける。
「寄るな、ブス」
「!?!?」
「ちょ、ちょっと!あんた!」
奈々子は驚きと悲しみの顔をしていた。雛乃は駆け寄り、奈々子を庇う。
「それは酷くない!?初めて会った人に無礼だとは思わないの!?」
「本当のことを言ったまでだ。」
奈々子を抱き締めたように庇っていた雛乃は奈々子の顔をチラリと見た。
奈々子は歯を食い縛り、怒りに満ちた表情をしていた。
「絶対許さない……」ボソッ