5秒目 本当面倒なやつ!!
「結局、ついてくるんですね。私、あなたの事が嫌です。不快です。人が居ない異世界に飛ばされて、やっと出会えた人でもあなただったら、私は一人で居た方がマシです。」
雛乃はズカズカと未だ何もない砂漠を歩き続ける。
「まあまあ、そんなに怒るなって。きっと会ったのも何かの縁だろ?」
木嶌暁と名乗った男はヘラヘラ笑いながらついてくる。
「なんで、あなたしか居ないのよ!あー嫌だ嫌だ、この世界はあなたと二人きりなわけ?」
雛乃はまだ怒りながら木嶌に当たり散らす。お腹も減り、暑くてやってられない雛乃は怒りが中々収まっていかなかった。
「いやいや、人間は居るよ?俺らの他にもね。」
「え、?」
木嶌の発言に驚き足を止める。
「どういうこと?私達以外にも人は居るの?」
「ああ。居るよ。」
木嶌は淡々と答える。その淡々とした態度に更にイライラする雛乃。
「いやいや、居るよ。じゃなくてさ!だったら連れてってよ人が居るところに!」
「んーそれは無理かな。」
またもや淡々と答える。
「ぐぅー!!その淡々とした態度が腹立つ!!なんで無理なのよ!理由はなに!?」
「あー、もうどこに居るか分からんからだ。」
雛乃は、はぁーっと溜息をして肩を落とし座り込む。
「……もう疲れたぁ…あなたの話し方もイライラするし、この世界にも腹が立つ。あなたが居ない方がよっぽど気楽だったわ…折角、異世界にでも飛ばされたのだから、もっとファンタジーな展開は無いの…?」
「ハッハッハッハッハッハ!!」
木嶌はその発言に笑う。雛乃はその大きく笑う木嶌をキッと睨んだ。
「何…バカにして…」
「はぁ、はぁ、すまないすまない。雛乃のが言うファンタジーな展開ってのが面白くてな!」
「……本当嫌。」
「雛乃が思っている所より、もっと残酷な所だよ、ここは。」
「え…残酷?」
木嶌もドガッとそこに座り込み、眼をつむって淡々と話始めた。
「そう。ここは残酷な世界さ。魔法も、亜人も……救いもない所さ。」