4秒目 だから人間は嫌いなんだ!!
私はここで初めて人間に出会った。見た目は正直言って怖い。起きたとき隣に黙って座っていたのも更に怖い。
でも私は少しホッとした。私と同じ人間が居たから。
「ど、どうもはじめまして…」
「おう。」
男はそっぽを向いて答える。その対応に少しムッとしたが、自己紹介を始めた。
「あ、えっと…私、久納って言います。そちらの名前を聞かせてくれたらな…とか思うのですが良いでしょうか?」
無理矢理笑みを浮かべて話す。男はこっちを向いて自己紹介をしてくれる…と思っていたが…
「何だその笑顔、気持ち悪いぞ。」
「は…あ、え?」
唐突な悪口。非常に不快。更に相手は続けた。
「お前。弱いだろ。そんでもって友達居ないんだろ。」
「」
雛乃はその言葉がグサッと心に刺さった。が、その後すぐ怒りが一気に込み上げてついつい言葉に出てしまった。
「……いや…弱いだろとか、友達居ないとかさ…今関係無くない!?私、今、名前を、聞いてるん、ですが!!?ってか何その態度!!気持ち悪いのはそっちよ!!私が寝てる間ずっと横に居たんでしょ!!キモッ!!満員電車の痴漢並みにキモいんですが!!それでもこっちはにじり寄りましたけどね、やっと出会えた人だから!!でももう嫌だ!!だから人間は嫌い!!もう良い!!私はサヨナラします、はいサヨナラー!!」
雛乃はそのまま立ちあがり後ろを向きズカズカと歩いて去ろうとする。すると男は少し笑いながら言葉をかけた。
「ハハハ、じゃあ名前を聞かせてくれよそっちから。」
雛乃は怒った顔で振り返る。
「何笑ってるのよ!何よ名前を聞かせてくれよって!言ったじゃない!久納よ!久納雛乃!!」
男はまだ笑っていた。
「ハハハハ!久納雛乃な!じゃあよろしく雛乃、俺の名前は木嶌暁だ。そう怒ってた方が良いよ!ハハハハ!」
木嶌暁と名乗った男はまるで少年のように腹を抱えて笑っている。その光景と言葉に更にイラッとした雛乃は
「ハハハじゃないっての!!何がよろしく雛乃よ!しれっと名前で呼ばないでくれる!?怒ってた方が良いとか別に好かれたくないわバカ!!サヨナラ!!」
また雛乃は後ろを向き去っていく。暁は笑いながら立ち上がる。
「ハハハハ!ちょっと待ちなよ雛乃ー!!」
暁はズカズカと歩いて去る雛乃を追いかけていった。




