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自由願望の事なかれ主義者。  作者: 白狐
ーーー幼少期は縛られる悪夢にーーー
1/49

転生先でこそ幸せでありますように。

1作目が謎の病で消えたので転生させました。

さてと、まぁ、楽しめよ~


んふふ。

僕の名前は森四魂もりしこん

現役高校生の端くれで、何時も虐めの対象に成る。別に虐めたくなるような要素ない気がするんだが。……表面上だけは。

それに僕には味方がいない。というか両親からは虐待を受け、兄弟からはスルーされる。兄と妹がいて、 2人とも僕とは比べ物にならないくらい出来る奴らだ。……表面上だけは。

勿論、虐待のせいかトラウマもあるけどね。

               

おっと、話がそれたな。

順番が可笑しいが僕は今、この小さくて醜い命を絶とうとしている。ちょっともう耐えられなくてね。


少しだけ僕の過去を見せてあげるよ。


ーーー8年前ーーー


当時、僕は父にお使いを頼まれた。この頃はごくごく普通の平和な家庭だったんだけどなぁ~。ちょっと両親が宗教チックだったけどね。

内容は簡単、不足した煙草の買い物さ。僕の父はヘビースモーカーでは無いものの、多少嗜む程度には喫煙する。勿論この頃の僕は純粋で在るが故、両親に褒められるのが何よりも嬉しかったので快く引き受けた。

しかし、結果はこうだ、『頼んだ煙草の種類が違う!』。たったこれだけの事で殴られ、蹴られた。意味が分からなかった。普段は温厚で優しい父が、たったこれだけの事で悪魔に豹変するなんて。

暴力を振るわれた僕は、必死に抵抗した。今思うと、空手を習い始めて1週間経った位の初心者に因るささやかな抵抗だったなぁ。

その大きな巨体を前にした時、為す術も無かった。身体中が震え戦き、父である筈の大きな悪魔に戦慄したのを今で尚、はっきりと鮮明に記憶しているのだ。

寝ていると夢に見るし、大柄な男を町中で見掛けただけでも震えが止まらなくなる。

結果的に言うと僕は壊された。あ、飽くまで比喩表現だからね?物理的にじゃないからね?

物語は進む。

この頃かな、僕は気付いてしまった。″両親は僕を消そうとしている″ってね。いや、若しかしたら意図して気付かせようと図ったのかも。

僕の家は社会的地位も家柄も、何も彼もが一般市民となんら遜色ない普通の一家である。加えて僕は平均的な子供だった、と思う。少なくとも僕はそう演じていた。両親は…いったい何故、僕を消そうとするのか。

理由は案外簡単だった。恐らく、僕の隠し事に気づいたから。表面上という上辺は消す。

本性を曝け出した有りの儘の僕を見せてあげるよ。


″周りの人よりも学習能力が桁違いに高い″


たったこれだけさ。

小さいことからあらゆる分野で僕を高めようとした両親の期待に、僕はこれでもかと答えた。けれども実際はどんな事をやらせても優秀な成績を残す僕に畏怖し、結局は周りの人から忌避されるだけ。

因って僕の影響で周囲からの両親への風当たりは深刻化し、その責任を悉く幼き日の僕に転嫁した。

だから僕は自分を隠した。それが唯一の身を守る手段だったから。超平均的な少年、そういう設定で僕は色無き日々を過ごした。

けれどもそうする様になってからは、両親によく褒められるようになった。それが堪らなく嬉しかった。この頃の僕は甘かったよね~。僕は両親に楽をしてもらうため、将来の設計図を構築していた。


『いい大学に入って』


こんなフレーズを認識し、僕は難関大学の中でも特に難関な大学を目指した。自分の中に眠る圧倒的なまでの能力を完璧に掌握し、使役出来たならば…きっと幼い自分でも可能ではないのだろうか、寧ろ適材適所なのでは?この能力はこの時の為に有るのでは…?きっとそうに違いない、そう信じてやまなかった。そんな自身故、罪悪感に苛まれる中、母の財布からくすねたお金を握って本屋へ走った。

賃金等、当時の自分にとっては紙切れ一に過ぎないかった。がしかし、その紙切れ一枚から齎される対価と言うのは非常に大きな恩恵であった。

そしてひたすら解いていた。

結果はテンプレさ。


こうなった。

母に部屋の中に有った超難関大学の過去問を見られた。別にそれが何?本来なら上記の様に物事は進む筈である。

本来、まだ小学生の餓鬼がこんな本をどこで?誰かから譲り受けた?何処かで拾った?等と尋問される筈であるが、そんな事は野暮だ、と問われなかった。

僕の本質が形を潜めて居た事に因り、荒れ狂う本性が沈静化されていた母だが、どうやらこれがトリガーとなって大暴発を起こしたらしい。

そしてその遠因はやはり僕であった。

ただひたすら殴られ、蹴られた。途中、中位のナイフで体中を切り刻まれた事は、深く子にトラウマの根を根を張っている。遠慮なんて皆無だった。思うままに暴れたんだと思う。その狂乱の凄絶さは、今の僕の体が何よりも物語っているのだ。

母が『悪魔が!この悪魔が!』なんて叫んでのを覚えている。朧気で胡乱な記憶だが、その様子は酷く醜かった。僕、悪魔だ!なんて言われて思わず笑っちゃったんだよね。

この時なんだろうね、きっと。

僕は気付いたのさ。結局の所、人間って悪魔の下位互角なんだ、ってね。いや~、この頃は割とマジでやばかったよ。心身共に不安定すぎた。大嵐に揺らされる大海に全裸で投げ出された、そんな感じ。

それからもずっと虐待さ。煙草の時もそうだったかな、未だ熱い煙草を切り傷だらけの肌に押し付けられた。冷たく、そして硬い鎖で縛られ吊るされた。爪と爪の間には爪楊枝を刺されたし、背中にはナイフで宗教文字らしき物を刻まれた。オマケか知らないけど最後に蝋をも垂らされた。




最近こそ収まっているが、もう耐えられない。

そもそもなんだよ。僕の才能への嫉妬か?意味がわからない。

両親にはメリットしかないのに、何故僕を消そうとするんだ?僕が養ってやるって言ってるのに、何が癪なんだよ。

いいさ、どうせ気付く。僕がこのゴミみたいな家にどれだけ貢献してきてやったか。仮に生まれ変わったら、もっとマシな家で、もっと家族の愛を注がれてみたいものだ。

まぁいいや。天国は幸せで溢れる綺麗な世界だって思うからね。


さようなら。











あぁ。散っていく。命の息吹が。

感じる。体が冷えていく。その身を貫いた包丁よりも冷たく、哀れだと僕をバカにしているようだ。

あぁ、神よ。どうか…どうか。本当に違う世界があるなら、今よりも幸せな世界に生まれ変わらせて下さい。

どうだったかな。

まぁ、1作目の二の舞にならないよう気おつけます。


いぇあああぁあああああ!!

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