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ラノベクオリティ

作者: ことは

『ラノベクオリティ』


 僕はあるサークルに所属している。それは「ボイスドラマサークル」。

 芝居が好きな奴らが集まってボイスドラマを作ってはイベントで頒布している。

 今回はファンタジー世界の話だ。

 そして今、その世界を表現するため白熱した練習が展開されている。


「そこはラノベっぽく! もっと弾けて! 勢いが大事!」

「必殺技を叫ぶとき、恥ずかしがっちゃダメ! 当たり前のようにサラッとやって!」

「ラノベのノリをボイスドラマでやりたいの! わかるでしょ! ラノベよ!」


 脚本家はラノベを意識して今回の話を書いたらしい。

 へー。ラノベかー。


「女の子キャラはもっと可愛く! ツンをだして! はい、そのあとデレる!」

「……こんな女の子、いるの?」

「現実にいたらわたしだったらはっ倒すわね」


 脚本家、はっ倒すって言っちゃったよ……。こえぇ。


「そこはラノベクオリティだから!! しっかりツンデレをだして!!」

「そ、そんなもんかしら?」

「そんなもんよ!」

「そう、ね。ラノベだもんね」


 ツンデレキャラ役の子は無理やり納得したようだ。


「そのキャラは萌え! もっと萌え声を!!」

「「はにゃ~ん」「ふぇ~ん」……かわいいの? これ」

「現実にいたらイタい女よね」

「そうだよ! こんな子いないよ!!」

「でもラノベ世界では需要があるのよ!! 萌えは重要キャラなのよ! ラノベクオリティなのよ!!」

「そ、そんなもんかな?」

「そんなもんよ!」

「そう、だね。ラノベだもんね」


 萌えキャラ役の子も自分に言い聞かせて納得したようだ。

 それにしても脚本家は、はっ倒すだの、イタい女だの、自分のキャラに愛情はあるのだろうか。


「なあ、なんでこの主人公、異世界ってところに行った途端、無敵になるんだ?」

「主人公だからよ!」

「そういうものなのか?」

「異世界に行けば主人公は最強になる! セオリーでしょ!」

「でもひきこもりが異世界行って大活躍ってかっこいいか?」

「かっこよくないわよ! しっかり現実社会で生きなさいって思うわよ!」

「なら、別に無理に最強にしなくてもよくね?」

「だってラノベってそういうもんじゃないの?」

「いや、俺、ラノベを読んだことがないからよく分からねぇけど」


 主人公役の奴が首を傾げると、脚本家の子も「あれ?」という表情をした。

 なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ。

 僕はある疑惑が頭をよぎると、思いきって尋ねてみることにした。


「……みんな、ラノベ読んだことあるの?」


 だれも首を縦に振らなかった。脚本家も。そして僕も。


 ラノベクオリティが発動されることはなかった。

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[一言] 最後の会話で吹き出しました。 やばかったです。
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