水の都『セリオン』
忙しくて投稿できませんでした…すいません…
(追記)
2/26改稿しました。
それから3日間ぐらい馬車で移動した。その間に魔物 (ゴブリンだった)に襲われたので剣も使えるか試してみたところ問題なく扱えた。どうやらルティナの経験をそのまま受け継いでいるようだ。結構強かったんだな。ルティナさん。
あとガラハムさんとの魔法の特訓も毎晩している。必然的に俺らの起きる時間が長くなりその間は見張りを立てずに済むので「やった!見張りの仕事が減る!」とニーナさんが喜んでいた。ウィルバートさんからは睨まれていたが。
ちなみに訓練して分かったことだがどうやら一般的には魔法はイメージよりも魔法式の方に意識を向けて発動しているようだ。そりゃあ、魔法式は下級魔法でもそれなりには複雑なのでそこに意識を向けていたのでは魔法の多重展開などできるはずがない。
魔法式というものは確かに魔法の要点ではあるが、それは最初に魔法を発動する際に専用の領域に刻み込まれる。後は意識しなくてもその魔法を使おうと思ったら自動で展開され、魔法は発動されるのだ。
魔法式に意識を向け発動しようと思ったら、その魔法式がどんなものか完全に思い浮かべ、その上で記述されている意味について完璧に理解していなければ無詠唱での発動は厳しいだろう。
という訳で、ガラハムさんにイメージの方に集中してもらった結果、普通に無詠唱できた。さらに仕切りのイメージによる多重展開も試して貰ったが流石にそこまでは上手くいかなかった。やっぱそう簡単にはいかないらしい。それでもすんごい喜んでいたが。喜びすぎてまた近づいてきたのでデコピンしておいた。
あ、ちなみに他の護衛のメンバーの名前はミニッツとポールというらしい。
そんな感じであっという間に3日経ち・・・水の都『セリオン』に着いた。
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「見えてきましたよー!」
そう馬車の御者が声を張り上げたのでライオルドと一緒に馬車の横から少し身を乗り出し前方を見てみる。
「おぉ・・・」
初めてセリオンを見る(厳密には俺も見てない)ライオルドが思わず感嘆の声を漏らす。
反対側ではフィオナが身を乗り出しそれをニーナさんが慌てて支えて引き戻している。
「本当に湖の中にあるのですね!」
どうやらフィオナも興奮を隠しきれないようだ。ちなみに俺も記憶にあるとはいえ実物はやはり違うので内心結構興奮している。湖のど真ん中に石造りの建物がある様はまさにファンタジーといった感じだ。
それからしばらく進むと街に着いた。ちなみに街へ行くには俺らが来た方とその反対側にある橋を渡ってくるしかない。
ちなみに街の検問は王族の保証もあったのですんなり入れた。
街に入り少し進んだところで馬車が止まり、ウィルバートさんに話しかけられた。
「まずは、王女様を護衛してくださった事、改めてお礼を言わせていただきます。本当に助かりました。」
「いや、こちらも馬車に乗せて貰ったのでな。お互い様だ。」
「ディアス様は本当に謙虚ですね。仕草もどこか丁寧さが感じられますし、どこかの貴族様なのでは?」
「そんな事はない、私は粗野にならないよう気をつけているだけの平民に過ぎないさ。」
実際現代日本ではそうだったんだろうなー。
「おっと、話が逸れましたね。こちらは先を急がねばなりませんのでまともにお礼ができません。なので・・・」
そう言うとウィルバートさんは腰のポーチからなんか綺麗な首飾りを取り出し差し出してきた。
「こちらの身代わりのペンダントをお持ちください。身を守ってくれるはずです。」
この身代わりのペンダントというのは自分が死ぬような攻撃を受けた時身代わりになってくれるという魔法道具だ。
魔法道具というのは魔法によっていろんな効果が付与されたアイテムのことである。旅の途中で使ってたマジックバッグも魔法道具の1種である。
「いいのか?」
「ええ、あと5個ほど予備はありますし。」
どんだけ持ってんだよおい。なんか有り難みが無くなったわ。
「それでは我々はこれで。良い旅を!」
そう言って彼らは去っていった。・・・あ、ガラハムさんが凄い未練たらたらな目でこちらを見ている。あーあ、引きずられてった。
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「さて、これからどうする?」
一行が見えなくなってからライオルドが聞いてきた。ちなみに今は夕方である。
『少し観光してみるか?』
「それでもいいが、何故念話なんだ?」
『なんとなく?』
「なんとなくって・・・まあいい。それなら案内してくれ。」
『任せろ!』
本当は念話なのは無口キャラを貫き通すことにしたからである。いやだって・・・どう喋ればいいのか分かんないし・・・
そういう訳で観光することになった。が、今日はもう夕方なので少し買い物をしてから宿に泊まることにした。
というわけで今は街の市場に来ている。移動の間に大分日が落ちたので閑散としているが、店は開いていた。ちなみに街中に時計があったので見てみると6時半くらいだった。この世界も1日二十四時間である。ここまで来る道中で聞いたのだが残念神いわく俺らのいた世界に合わせてあるらしい。
「魚などが目立つな。流石は水上都市なだけはある。」
『ここにしかない特産品とかも多いらしいぞ』
まあ食料は後回しだ。宿屋で食えばいいし、食料の備蓄自体は充分にある。装備も買うのは俺の防具くらいなので残りは日用品などを適当に買っていった。買ったのは着替えの服、布 (タオルみたいなの)、傷薬、懐中時計など、そして羊皮紙1枚(地球の紙に近いのがなかった)を魔法の文字を表示するために買った。空中に浮かせられないんだよなーあの文字。ちなみに俺の防具はどこにでもありそうな革鎧だ。まあ無いよりマシだろ。あとは特に無いので宿屋を探すことにした。お風呂あるといいなぁ…。