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初めての魔法

一人称に戻ります。

(追記)

2/26改稿しました

俺達は『水の都』と呼ばれている街、セリオンに向かって歩いていた。かかる時間は大体徒歩で一週間ぐらいのようだ。

一日中歩き続けるのも暇なので、俺らは適当にこれからの事を話し合いながら進んでいた。ちなみにボロボロになった装備とかは捨ててアジトにあった装備をパクって来ている。防具は男用のしか無かったのでライオルドのみ防具を着けて、俺は防具無しだ。


「今更だが、そのセリオンと言う街はどんな所なんだ?水の都といわれていることから大体の想像はつくが。」

「お前は知らないのか。簡単に説明するとでっかい湖の中にある街だよ。街並みはすっごいキレイなんだよ。」

「なるほど、それは時間があれば是非とも観光してみたかったな。残念だ。」


ライオルドが心底残念そうに言う。俺も全く同じ気持ちだ。


「そういえばこの道って盗賊とか出るのかな?」

「む?テンプレにでも期待しているのか?」

「知ってんのかよ」


異世界転生もののテンプレ、街道などを転生した直後に歩いていると盗賊に襲われた商人がいるって奴だ。ライオルドの前世はラノベとかそういったものには興味なさそうな感じがしたんだけどな。


「俺だって少しくらいそういったものには興味あるさ。それはそうと、今のうちにお前と俺の偽名でも決めておいたほうがいいのではないか?」


心外そうな顔で返事を返し、そんな提案をしてきた。確かに今の内に決めておかないと本名を口走ってしまいそうだ。


「ああ、すっかり忘れてたなー、じゃあ俺アルティアでいいや」

「軽いな・・・まぁいい。俺は・・・どうするか。」


なんか迷ってるみたいだ。このくらいサクッと決めればいいのにな。


「・・・・・・・・・・・・・・」


まーだ悩んでる。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


まだまだ悩んでる。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ルドはどうだ?」

「そこまで悩んで文字取っただけ!?」


何故そこまで考えた結果変な名前になるのか。コイツはネーミングセンスがないに違いない。


「ダメか?」

「いや、ダメとは言わねーけどそこまで考えておいてその出来はないだろ!オルドとかイオルドとかそんな感じだぞ!?」

「お前はよくそんなに思いつくな・・・」

「お前ってそんな天然キャラだったか!?」


何故かここにきてライオルドが天然っぽく思えてきた。お前普段は冷静沈着な悲しき過去を持つ男みたいなのだったよなおい。


「ならお前が考えてくれ。」

「ああ、お前には任せん。そうだな・・・」


軽く考えてから、


「ディアスでいいか?」

「いいぞ。これからは偽名で呼び会おう。」

「おう」


めちゃくちゃサクッと決まった。


「だが、すこしアルティアは呼びづらいな。」

「そうか?ならアルティって呼んでもいいぞー」

「そう呼ばせて貰おう。なら俺のことはディスとでも呼んでもらおうか?」

「いやお前は縮めなくてよくね?」

「そうか?」


そんなこんなで偽名も決まった。ちなみに街に入る時には身分証明ができなくとも銀貨3枚払えば一週間くらいなら問題無く入れる。

ついでにこの世界の貨幣は銅貨、銀貨、金貨、大金貨、白金貨、となっていて、

価値は

白金貨1枚=大金貨100枚

大金貨1枚=金貨100枚

金貨1枚=銀貨100枚

銀貨1枚=銅貨100枚


となっている。

俺らはライオルドの盗賊団のアジトから価値あるものとお金は持ってきていたので金にはそこまで困っていない。ちなみに金は金貨58枚、銀貨75枚、銅貨98を持っている。これくらいあれば数年は働かなくても生きられる量だ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そのまま歩き続けていたが2日は何もなく終わった。今は2日目の夜、晩飯を食ってる途中だ。ちなみに食料もアジトからパクってきた。


「こりゃテンプレはなさそうだな〜」


水で戻した干し肉を食べながら言う。何の肉かは知らないが不味い。


「戦う必要性がなくて楽じゃないか。」

「つまんねーなお前、魔法使えるんだぞ?試してみたいじゃん?」

「分からなくもないが魔法をまともに使えるのか確認したのか?」

「よく考えたら1回も試してないな、戦闘中に魔法の使い方が分かりませんでしたとかシャレにならん。」


ということで、食後に魔法の実験をしてみることにした。


ライオルドに見守られつつまずはこの体が使えた魔法を使ってみる。その魔法を強くイメージし魔法式を構築、魔法名を叫び手を前に突き出し発動する。


「ファイア!」


直後、手の平から魔法陣が現れ、次の瞬間、火の玉が近くにあった岩にぶち当たり、霧散した。


「うおおお!出来たー!」


威力がどのくらいかはあまり分からなかったが、魔法が使えたことが嬉しくて興奮してきた。やべぇ超楽しい。


「何気に詠唱短縮をしてたな。」

「あ、ホントだ」


魔法を楽しみにしすぎて詠唱をかっとばしていたようだ。まぁ、結果オーライだ。


「やろうとしてやったわけじゃないのか・・・」


なんか呆れたような視線を投げかけられたが気にしない。


その後記憶にある魔法を全部試したが問題なく発動できた。しかも全て詠唱短縮できた。これなら無詠唱もいけるかもと思いファイアを試してみたら普通にできた。あれ?難易度高いんじゃねぇの?


「まぁ、別に悪いことじゃないしいいか。それより、使える魔法は変わらないのかな?」


この体が使えたのは火、風、回復の3つだった。しかし他の魔法を試したくとも他の属性の魔法はそこまで知らない。と、そこで


『ふふふ・・・お困りのようですね?』


と的にしていた岩に文字が浮かび上がって来た。この2日間あまり出てこなかったので久しぶりな気がする。


「あ、いたんだ、最弱神」

『また最弱神って呼びましたね!神にしか呼ばれたことなかったのに!』

「他の神には呼ばれたのかよ」


相変わらずである。なんか最初の頃よりフレンドリーになってる気がする。悪い方に。


『それよりも、魔法の適正が分からなくて困っているんでしょう?そのくらいならば私も確認できます。』

「腐っても神だな。」

『ライオルドさんまで容赦なくなってきましたね・・・』


文を見ただけでリーバラスの落ち込みようが伝わってくる。まああの残念具合を見ていればライオルドも容赦しなくなるだろう。少し同情してしまった。


「じゃあさっさと教えろよ。」


まあだからって容赦はしないが。


『私って神ですよね?なんでこんな頭ごなしに命令されてるんでしょうか?あれ、涙が・・・』


そう言いつつも確認してくれているようで体に何らかの力が働いたのが感じられた。しかしそれが終わった後一分程経っても何も言ってこない。


「おーい?どうかしたか?」

『・・・はっ、思わず呆然としてました』


お?こんなことを言うってことはまさか?


『すごいですね・・・基本属性全部使える人とか久しぶりに見ましたよ。それに加えて元々使えた回復魔法、さらに錬金魔法まで、それに加えて、まさかの時空魔法まで使えるってもはやチートじゃないですか!』


やっぱりチート来たーーーーーーーーー!よっしゃ、これで何も怖くない!

そう内心狂喜乱舞していたが、


『あ、でも時空魔法って大体は魔力消費がマジパナイんで正直人間が使えるのは最も魔力消費の少ない「異次元収納」くらいですかね。』


ほぼ無駄スキルとなってしまった。辛い。ついでに言うとこの体は普通の魔道士の5倍も魔力を持っていたが、それでも異次元収納以外で最も魔力消費が少ない魔法の使用に必要な魔力の6割にしか過ぎないそうだ。残念。


『それでも基本属性全部の時点で充分すごいですけどね。』


そう残念神がフォローしてくれたが基本属性全部持ちは今は既にいるそうだ。チートではないか・・・

俺は仕方ないよなとか思いつつそれでもチートではなかったことに身勝手だががっかりしてしまった。


『そうだ、ライオルドさんも魔法の確認してみますか?』


そんなことはどうでもいいとばかりに残念神がライオルドに聞く。


「そうだな、俺も少しは興味がある、頼めるか?」

『任せてください!それじゃあ、行きますよ!』


そう言って残念神がライオルドの使える魔法を確認すると、


『ほぇあ!?』


残念神が謎の叫び声(正確には文字だけだが)を上げた。


「おい、どうかしたか?」

『どうかしたもこうもありませんよ!なんで人なのに龍魔法が使えるんですか!』

「「龍魔法?」」


知らない単語が出てきた。


『龍魔法っていうのは、文字通り龍関連の種族しか使えない魔法なんですよ!もしかしてライオルドさんは龍人族ドラゴニュートだったんですか!?いやいや、流石に種族を見極められないわけないですし、でも、あれ?あれ?』

「おいおい落ち着け!落ち着いてよく考えてみろ!」

『はー、はー、はー、ふぅ〜〜〜〜・・・』


必要ないのに文字にしながら深呼吸して落ち着いたようだ。


『すみません、取り乱しました。・・・少し考えてみたんですが、もしかしたら本来木崎さんの魂は龍関連の生物に転生することになっていたのかもしれません。』

「どういうことだ?」


本来の転生先に影響されるってことだろうか。俺らは特殊な方法で転生したもんな〜


『説明しますと、実は貴方達の魂はこの世界に来た瞬間に魔法やその他の能力がそれぞれに付与されるのです。そしてその能力などに合わせて転生先を決定するので、イレギュラーな転生方法をしたライオルドさんは龍魔法を持つ魂でありながら人間に転生したということですね。』

「なるほどな。それ自体は別にいいのだが、龍魔法とは強いのか?」


ライオルドが当然の疑問を聞くと、


『そりゃあもう!普通の魔法に比べて半分以下の魔力で普通の魔法の数倍威力があるというすごい魔法です!龍関連の種族でも使える者は限られている魔法なんです!』


恐らく俺の基本属性全部持ちよりも珍しい、いや、前人未到の人でありながら龍魔法を使える存在だということなのだろうか。チートやんか。


『しかしライオルドさんは元々の魔力が少ないのでそんなに多用はできませんがね。』


そこまでチートじゃなかった。俺と同じだな!


「・・・そんな同類を見る目で見てくるな。」


バレてた。

その後は他の魔法を少し確認し、最後に『念話』の確認をした。


『もしもし、ライオルド、聞こえるか?』

『ああ、よく聞こえる。問題無いようだな。』

これすごい便利だ。魔力消費も少ないし、簡単に意思疎通出来る。声に出さずにやり取りできるのはなかなか使えるな。

ただし、魔力消費が少ないのは距離が近いからであり、離れれば離れるほど消費魔力は増えていく。リーバラスと『念話』をしようと思ったら俺は2秒程度しか繋げないらしい。


話を終えたその後は、お互いに交代して見張りをし、何事もなく夜を過ごした。


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