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現状把握①

基本的に不定期です。すみません。

三人称視点か一人称視点かどちらが良いのかやら...

(追記)

2/26改稿しました

この状況、どうするべきだろうか・・・

強盗ーーーーー木崎健四郎きざきけんしろうーーーーーは目の前の光景を見て、そんなことを考える。今彼の目の前には、金髪のモデルのようなスタイルを持つ女性が、手と膝を地面に着け、項垂れていた。

さて、どうしたものか。取り敢えず話題を変えようと試みる。


「取り敢えず、落ち込む前に自分達がどんな状況に置かれているのかを整理しないか?」


その言葉に反応し、項垂れていた女性が顔を上げた。その顔もとても美しく、見惚れてしまう程なのだが、目に光がなくどことなく疲れているように見える。そして目の前の女性ーーーーー特攻してきた学生ーーーーーは、


「・・・・・・そうだな・・・・・・。」


と、まるでこの世の全てに絶望したかのような声で返事をした。気持ちは分かるが今はそれどころではない。

ひとまず自己紹介をすることにした。


「俺の前世の名は木崎健四郎という。28歳だった。この体の名はライオルドと言うらしい。前世では・・・すまなかった。」

「・・・俺は中尾翔太、高校二年生、17歳だ。この体の名前はルティナ・ラナフォード。前世ではよくもやってくれたなこの野郎。」

『私は転生神リーバラスです。』

「お前には聞いてねぇよ!ってか知ってるわ!」


会ったときから思っていたが、この神様些か変である。翔太は我慢出来ずに突っ込んでいる。

健四郎はこのやりとりはスルーする事にし、疑問に感じたことを質問することにした。


「それはさておき、この体の持ち主の生前の記憶が残っているのは何故なんだ?記憶を持っているのは魂なのだろう?」

『死んで1時間の体には抜け出た魂の残滓が残っているのです。そしてそこにあなた達の魂が入ってきたので、その魂に残滓が吸収され、記憶が統合されたのです。』

「なんで先に話さなかったんだよ?」

『あそこであのまま話していると他の神に見つかる恐れがありまして。これは言ったと思うのですが。』

「コミュ力の限界とか言ってたような気がするのだが?」

『気のせいです。』


高二と神がそんな漫才じみたやり取りをしていたが無視し、新たな疑問について訪ねてみる。


「今は神には気づかれないのか?」

『少なくともあそこより安全です。あの空間は維持するのにそれなりに力を使うため、その分私の力を感知しやすくなります。このように文章を送るだけならば普通の人間でも頑張れば出来るので、バレることはまずないでしょう。』

「魔法ってやつか?」

『はいそうです。最も、文字を表示する魔法を使える人間なんてそうそういないと思います。もっと便利で簡単な念話、テレパシーみたいな魔法がありますからね。』

「・・・その魔法、確認してみたが、念話の1.5倍くらい魔力を使うみたいだぞ。」


翔太が記憶を探って報告してくれる。


「なら神様も念話を使えばよかったのでは?」

『念話は確かに楽ですが、その代わり盗聴のようなことも、割り込むこも出来るので、文字を送ったほうがいいのです。こちらはそのようなことは無理なので。』


成程、一応文字を送る方法にも利点があるようだ。疑問も氷解したことだし、この体が今どんな状況に置かれているのか、記憶を参照し、お互いで確認してみる。

まず、翔太の体のルティナ・ラナフォードのことだが、なんと十年前に訳あって城から離れた王女だという。そして、剣と魔法のどちらにも才能があったため、魔法剣士となって偽名を名乗り傭兵団に所属していたそうだ。享年20歳。

そして彼の体のライオルドはといえば、子供の頃に大分凄惨な人生を送ってきたようで、盗賊団に12歳の頃に所属し、荒くれ者達と過ごしていくうちにいつの間にか戦闘狂になり、盗賊団の頭領になっていたようだ。指名手配される程有名だったらしい。享年22歳である。

そしてルティナの所属していた傭兵団が商人を護衛していた所をライオルド率いる盗賊団が襲い、商人は逃げられたようだが、実力は拮抗し相打ちとなり全員死亡した。その中で最後まで生き残っていたのがこの2人だったという訳だ。


「・・・で、その体に俺らは転生させられたと・・・女に。」


そこまで整理して思い出したのか再び翔太が落ち込み出す。


「ええと、中尾、だったか。そう落ち込むこともないのでは?」


取り敢えず慰めようとしたのだが、


「そもそもお前が強盗に来ていなければ死ぬ事も無かっただろうが!」


逆効果だった。それもそうだ、死んだ原因となった奴に慰められても怒りが増すだけだろう。


「・・・すまない。」

「謝るくらいなら最初からすんなよ。そもそもなんで強盗なんてしたんだよ。会話してたら分かるけど、犯罪を楽しむような奴ではないんだろ?」

「それは・・・」


言い淀む。あまり言いたいことではないし、言ったところで言い訳にしかならない。


「・・・事情があったのかも知れんが、俺はお前を今のところ許すつもりは無いからな。」

「・・・・・・」


許されないのは仕方ない。そう思い黙っていたのだが、


『あ、私事情知ってますよ。教えましょうか?』

「何っ!?」


思わず叫んだ。


「おいなんで転生神アンタが知ってるんだよ!」

『いやぁ、何百年も同じ作業していると退屈してしまいまして、他の世界をちょくちょく覗いていたんですが、そのときたまたま彼を覗いていたんですよね〜あれには泣きましたよ・・・』

「何プライバシーをさらっと侵害してんだよ!?」


翔太が突っ込んでいるが、木崎は空いた口が塞がらないでいた。


『それで、聞きたいですか?彼の・・・ぐすっ・・・ああ、思い出すだけで涙が・・・』

「おいやめろ!話す必要がないだろう!」


確かに泣かれるようなことにはなっているが、それで強盗していいなんてことはないと、文字が表示する場所が変わらないようなので文章に覆いかぶさり、阻止しようとする。


「事情があったからってそれで強盗していい証拠にはならん!」

『いいじゃないですか〜減るもんじゃ無いですし〜』

「そういう問題ではない!」

『今だ、食らえバインドチェーン!』

「なっ」


なんと魔法で拘束されて文章の邪魔を止められた。感知される恐れがあるとか言っていた筈なのだが。


『さぁ、話していきましょうか…』

「やめろっ!」

「強盗して悪いと思ってるなら黙って話させてくれないか?」

「ぐっ・・・」


流石に強盗の件を引き合いに出されては彼は下がらざるを得ない。


『それでは、話しましょう。彼は...』


その話を要約するとこうだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


彼は子供の頃から頭脳明晰、運動神経抜群といういわゆる天才だった。しかもそれに加えてイケメンだった。性格も含めてである。


そんな彼はもちろん名門大学を卒業、大手会社に22歳の頃に入社し、そこから4年であっという間に係長まで出世、そして結婚もして順風満帆な人生を送っていたのだという。


しかしある日のこと、彼は電車の中で、身に覚えのない痴漢の罪に問われた。急に目の前の女性が叫び、「この人、痴漢です!」と彼を指さしたのだ。更に周りの何やら彼女の知り合いらしき男たちが、「俺達もこいつがやったのを見たぜ!」「ああ!嫌らしい手つきで触ってやがった!」などと証言したのだ。しかしその男達の目は完全に笑っていた。恐らく、彼を嵌めたのだろう。理由は会社の人間によるものなのか、単なるイタズラなのかははっきりしていなかったが、リーバラスが見ていた限りは彼の会社の同僚に金を掴まされやっていたそうだ。


彼の痴漢の罪は一応無罪に終わったものの、会社での地位は失墜、痴漢の罪を着せた同僚によって噂がばらまかれてたようで、あっという間に首にされてしまった。


彼は悲しみに暮れてしまっていた。そこで妻が「大丈夫、あなたならまだやり直せるわよ。」と元気づけてくれた。これだけ聞けばどんな時でも夫を支える良妻に思えるのだが、なんと次の日の朝彼が目覚めると、妻の荷物とかなりの貯金が入っていた通帳だけが家から消えていた。なんと、あんなことを言っておきながら逃げ出したのだ。


彼は悲しみ、そして怒り狂った。何故こんなにも自分が理不尽な目に合わなければいけないのかと。彼は恨んだ。無実の罪一つで自分を否定した者達、そしてその無実の罪自体を着せた者達を。


それでも彼は復讐の鬼にはならなかった。元々の性格がとても優しかったからである。

しかし彼は溜まった怒りを何処かへと向けなければやってられなかった。そして彼は銀行強盗を決意した。残り少ない金を全て使い準備し、銀行を襲った。そしてーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「俺と共に爆死したと・・・・・・」


翔太がそう締め、リーバラスの語りも終わった。


『それだけ裏切られれば強盗もしたくなりますよねぇ。全く酷い世界です!』


リーバラスは共感し、憤慨している。しかし木崎は項垂れて


「だからって、強盗などする必要はなかった。強盗したからって何かが好転する訳じゃ無いというのに。だから話すなと言ったんだ・・・」


と言った。それに対しリーバラスは、


『やっぱりあなたは根はいい人なんですね。安心しましたよ。』

「何?」

『自分が間違ったことをしたって自覚を持っているのといないのとでは大分違いますから。』

「そう、か・・・」


そう言われ、木崎は少しだけ気持ちが軽くなった。


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