情報収集①
03/26※追記
ライオルドが偽名を名乗っていたのにフィオナが本名を呼んでいたので修正しました。
あの後、時間も遅くなっていたので俺たちはそのまま昨日と同じように晩御飯を食べて、風呂に入って(レグルスは魔道撮影機を俺が風呂に入ってる間没収されていた)その日は寝た。
そして翌日。俺たちは朝5時くらいに起きた。この時間に起きたのは、件の魔法使いは朝の6時半頃に外出し市場で買い物をしている目撃情報が多かったからだ。その時間以外は基本的に路地裏の人目につかない所で引きこもって研究ばっかりしているらしい。
『なんだかヘルペスみたいな人ですね・・・』
とリーバラスが言っていた。もうヘルペスの性格大体分かってしまったな・・・
んで、フィオナ達がその引きこもってる場所を知っている可能性は低いし、俺達もその場所は知らない。となればお互いが接触するのはその外出時になるだろうと判断したのだ。だからその前に行動を起こそう、という訳である。とは言っても今日その接触が起きるかは分からないのだが。
あと接触が起きる前の様子も確認して起きたい。その為かなり早めに起きたのだ。
とりあえず身だしなみを整え装備を着て下に降りる。一階には先に降りていたライオルドと、そのライオルドに料理を出しているレグルスがいた。
ライオルドはともかくレグルスは起きるの早いな。と思いつつそちらに近づくとレグルスがこちらに気づき話しかけてきた。
「お、アルティも起きたんやな?朝飯は作ってあるさかい、冷めんうちに早よ食べ!」
と言われたのでありがたく頂くことにする。朝食は新鮮そうなこの世界の野菜のサラダに、焼いたベーコンを挟んだ食パン・・・え、ちょっと待って。なんで柔らかい地球のパンに近いものが出てきてんの。昨日の晩御飯のは硬い黒パンだったじゃん。
ライオルドも食べてから気づいたらしくレグルスにたずねている。
「レグルス、このパンは一体何なんだ?昨日は普通のパンを出していたのに・・・」
「ん?口に合わんかったか?ワイが試行錯誤の末作り上げた柔らかいパンなんや。その名もスライムパンや!」
スライムパンって。確かに黒パンに比べ結構自由に曲がるあたりスライムっぽさがあるかもしれないが、スライムパンって。
いやそれよりこれ自力で作り出したの?お前異世界転生者じゃなかろうな。
「・・・白いから白パンでいいんじゃないか?」
「ああん?ワイのネーミングセンスにケチつけるっちゅーんか!?あ!?」
確かにライオルドが言えたもんじゃねぇな・・・だが今回は賛成、その方が絶対いい。羊皮紙を取り出し文字を出す。
『私も白パンの方がいいと思う。』
「お?アルティがそう言うんやったら白パンでええかな!あっはっはっは!」
チョロい。そして今気づいたが呼び方がさりげなく
「アルティア」から「アルティ」になってる。ライオルドが言ってたのを聞いて真似したな。こいつグイグイ来るな・・・
まあ今はそれらは置いておこう。急がなければ接触が起きる前の行動を監視出来なくなる。色々言いたいことや聞きたいことがあるがそれはまた今度だ。
俺らは会話もそこそこに食事を終え、宿を出ていった。
そして大通りでお互い反対方向に向かうことになり、一旦別れることになる。
「気をつけてな。」
「ああ、お前もな。」
そう言って俺は領主の館に向かっていった。
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さて、現在6時前、領主の館の前。衛兵に怪しいと思われないようそれなりに遠い所から館の出入口を見張っているのだが・・・
(・・・なんか、衛兵がやたら警戒してるな・・・あんまり長居してるとずっと同じ場所にいるって怪しまれそうだな。)
衛兵にも客が王女だって伝えたのかな?いや流石にそんなことしないだろう。いや、待てよ?
今更なのだが、フィオナは少ない護衛でかなり離れた国からここまで来ている。だというのに自分の身分はオープンだ。
普通は少ない護衛なら、お忍びの身としてここに来ている筈だ。逆にオープンにするなら護衛は多くする筈なのだ。何かおかしい。
それと、いくら盗賊から助けたとはいえ、初対面の俺らに王女だと名乗っていた。となれば今回も領主の館を訪ねる際に自分が王女だと名乗っていてもおかしくない。そうなれば衛兵の警戒の強さには納得がいく。しかしそうなるとやはり護衛の少ない理由が分からない。
ダメだな。これは事情を確認しないと分かんない奴だ。このまま考え続けても無駄だと判断し、そろそろ怪しまれるかもしれないので監視場所を変えることにしよう。
そう判断したその瞬間。門から見覚えのある鎧を着た一行とその中心に囲まれた少女が出てきた。当然フィオナとウィルバートさん達だ。
「予定よりちょっと遅いか・・・」
現在時刻は6時15分。今から市場に行っても6時半には間に合わない。だが6時半に見かけるというのはあくまでも噂なのでズレる可能性はある。
「まあ、どっちにしろやる事に変わりは無いか。」
俺は付かず離れずの距離を保ち怪しまれぬようフィオナらについて行った。
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それから二十分後。市場に着き、彼らは魔導師を探し始めたようだ。・・・明らかにいいとこのお嬢様とその護衛、という一団のせいで人混みからかなり浮いている。大丈夫かなあれ・・・
と、先頭のウィルバートさんが何かに気づいたようでフィオナに何か言っている。フィオナが何か言い返すとある方向へ進み始めた。もしかして例の魔導師を見つけたのか?と思い進む先を見ると・・・
(・・・ライオルドじゃねーかあれ!?)
どうやらウィルバートさんが見つけたのはライオルドだったようだ。ライオルドは例の魔導師の尾行中らしく一方向を向いたままでフィオナ達の接近に気づいていない。
うーん、ライオルドとフィオナは接触させない方がいいのだろうか?・・・とか考えている間に、フィオナが話しかけてしまった。
「あの、ディアス様ですよね!」
「む?・・・!フィ、フィオナ様!?何故ここに!?」
「少々人探しをしていたのです。その途中でディアス様を見かけたので、お声をかけさせて頂きました。」
おーおー驚いてるなライオルド。まあ当然の反応か。ちなみに忘れかけていたがディアスとはライオルドの偽名だ。
「私のことを覚えていらっしゃるのは大変光栄ですが・・・何か、私に用事がおありなのでしょうか?人探しの途中なのでしょう?」
敬語上手いなライオルド・・・社会人ってどうして敬語使いこなせるんだろ。
「あ、いえ、ディアス様自体には用事は無いのですが・・・私達の探し人について知っていることがあれば教えて頂きたいと思って。」
「ふむ・・・その、探し人とはどなたでしょうか?」
「魔術師の、ウィルミナ・オーグレアと言います。何かご存知でしょうか?」
「魔術師、ですか。そういえば、大体今の時間にこの辺りで買い物をしている魔術師がいる、という噂は聞きましたね。それくらいでしょうか・・・」
「そうですか、ありがとうございます・・・何か分かったら領主の館にお越しください、外出していない時はそこにおりますので。」
「分かりました、情報を手に入れたら、窺わせて貰います。」
おお・・・恐らく意図していなかったのだろうが、不明だった魔術師の名前を引き出すことに成功した。その上余計な情報を出さずに堂々とした対応をした。やるなーライオルド・・・
そう思いつつ眺めていると、フィオナが急に思い出したように言った。
「そういえば、アルティア様は今日はいらっしゃらないのですか?」
「ああ、はい。今日は別行動をしております。」
「そうですか・・・・度、・・・・ティア・・・・・・話・・・った・・・・・・」
ん?何やら小声で言ったようだが人混みの中なので聞こえない。何だろう?
「フィオナ様?」
「あっ、いえその、アルティア様にも魔術師について伝えておいて貰えますか?」
「分かりました。伝えておきましょう。」
「ありがとうございます。それでは私達はこれで・・・」
そう言って、フィオナ達は去っていった。ライオルドは話しかけられる前まで向いていた方向を振り返り、魔術師がいないことを確認したようで溜息をつき肩を落とした。
俺はフィオナ達が見えなくなってからライオルドに近づく。
「・・・お前、何故フィオナ様が話し掛けて来ることを知らせなかったんだ。」
俺に気づいたライオルドが文句を言ってくる。
『悪い、お前を見つけた時にはもう言っても遅かったんだ。』
「そうか・・・はぁ、心臓に悪い、尾行中に話しかけられるとは思わなかった・・・」
『ドンマイ。まあ、一応新しい情報も手に入ったし無駄じゃ無かったろ。』
「そうだな、魔術師の名前・・・ウィルミナ・オーグレアだったな。」
まあ、名前が分かったからと言って進展したとは言い難いが。その後、今日はもう調べることは無いので空き地で剣の特訓をすることにした。
やはり書き進みが遅いですね。もっとちゃんとストーリーを固めるべきでしょうか。




