醜く美しい渡り鳥
掲載日:2026/04/17
「あなたは渡り鳥ですよね?なぜまだこんなところにいるんですか?」
「なぜでしょうね、、、というのも、私にも良く分からないんです」
「————それは、、なぜ?」
「、、、。」
「じゃあ、、このままでも良いんですか?」
「それすら、、今の私には理解しがたいんです。私は、今、何がしたいのか、何をどうしたら良いのか、全く理解できない」
「私は渡り鳥のことは良く分からないですが、そろそろ寒くなるので暖かい南の地へ行くのが良いのでは?」
渡り鳥はぼんやりと空を見ていた。綺麗とも言えないような濁った雲の下、渡り鳥は独り言のように
“では、、行くしか無いのですね”
と呟き、飛びたった。
その後ろ姿には“疑念”、“不安”、そして“少しの期待”を抱えた渡り鳥の念が現れていた。
この自堕落で、冴えない色をした渡り鳥には、明媚な要素などは持ち合わせていないはずだった。
しかし、どこかで美しいと、、思わずにはいられなかった。それほどまでに美しい。
太陽を右手に、渡り鳥は自由な空を飛びまわった。
雲を抜け、山を越え、ただ突き進むのだ。これほどまでに美しい鳥を、私は知らない。
「————楽しい」
刹那、獣の目が光る。
気づいた時すでに遅く、渡り鳥は近くに身をひそめていたタカに翼を折られ、そして死んだ。




