どれがすき
雪が積もった日の夜も好き。
普段は暗い町並みも、街灯や家の灯りが、雪に反射して、まるで町が浮き出たみたいに明るく見える。
見えない物が見えているようで、不安を和らげてくれる。
そして、いつにも増してしんとして静かで、音のない世界のようだから。
曇りの日のどんよりとした雰囲気も好き。
空に蓋をした鈍色の雲が、もやもやしたっていいんだよ。
そんな時があったって、いいんだよって、共感してくれてるようで。
湿った風が吹いて、流れる雲を見ていたら全部包み込んでくれる気がするから。
雨の日のしっとりとした空気も好き。
霧が山から立ち上って、光が少ないから、色が抜け落ちたように見えるけど、滴をまとった花は鮮やかに見える。
雨の匂いや音を聞いていると、なんだ落ち着く気がするから。
いつのまにか、考えごとも静かになっている。
雨が降った次の日の空って好き。
澄んだ青色をしていて、どこまでも高くて、ふわっとした白い雲が漂っていたら、誰かに「きれいだね」って言いたくなる。
心の汚れをさらってくれたみたいで。
もちろん、晴れた日も好き。
陽射しを体いっぱいに浴びたら、元気になれる気がするから。
結局、全部好きなんだ私。
拙文、読んで下さりありがとうございます。
*写真は作者が撮影したものです。