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土人形、賢者に教えを請う  作者: 愛羅武勇伝
1/1

魂について理解を深められる祭りとは

初めて書きました。どうぞ、生暖かい目でいいので観てください。

土人形は目の前の女性を見た。

耳は長く、

黄金色の頭髪は短く切られていた。

彼女はエルフ。そして…

「この辺りに住んでいる賢者…名はゴールド…」

土人形が主人に吹き込まれた情報の中から彼女に結び付く物を探し出し、

彼女を賢者ゴールドと断定した。

パチン! 

「正解だよ、土人形くん!ちゃん?」

エルフが弾けるような音を指で放ち、

その発言を肯定した。

「聞いたよ。私の馬鹿弟子が土人形(ゴーレム)に魂を吹き込む非道な実験をしたってね。」

土人形は通常、魂を持たぬ無生物。動く土塊。だが目の前にいる土塊(ゴーレム)は…

「…本当に入ってるね。やはり君が件の個体らしい」

ゴールドはそれの胸に触れ、

その魂の鼓動と存在を確認した。

無色の魂は色を求めるようにゴールドの華奢な指に反応した。

今、この土塊には生物として最低限必要な情報だけが込められている。

「今の君は何色にも染まれる。」

「神々しい黄金にも…」「禍々しい醜悪な鈍色にも。」

「君を放置するわけにはいかないね」

土人形が少しずつ首を上げ、ゴールドと目を合わせた。丁度、目線は彼女と同じ高度だった。無機質な口が言葉を紡いだ。

「…貴方が…私の新たな主人?」

「その通りだとも。私が君の新たなご主人様だ」

「…」

ゴーレムは僅かに、思考を巡らせた。今の自分には主が存在しない。このまま前進し続けた所で何も起きない。変化をもたらすのは如何なる時も…

「貴方が、私の、主人。」

眩い異分子だ。

「契約を更新。指揮権を『ゴールド』へ譲渡。」

ゴールドは長い睫毛に縁取られた碧眼を細め、

「よろしくお願いね。シルヴァー。

それが私の子としての君の新しい名前だよ。」

そう、笑うことのない筈だった土人形に、名前と笑顔を教えた。



それから一年の月日が過ぎ去っていた。

偉大なるエルフの賢者は今日も…

「あ〜そこそこ!気持ちいー♡」

主人に絶対の忠誠を誓うシルヴァーに肩を揉まれ、

蕩けるような、否、溶けている顔をしていた。

エルフの賢者とゴーレムの未熟者の出会いからかなりの時間が経過し、

シルヴァーは一応人並みの感情を得た。最も、無感情に近い状態が多い正確だが。

「そうですか。それは喜ばしい事ですね。ご主人。」

シルヴァーの外見は、

人の顔を人形と取り替えただけのツギハギな見た目ではなくなり、

サラッサラの銀髪を持つ中性的な見た目になっていた。男女関係なく好まれるであろう風貌になったのは勿論…

「いや~もう一年経ったのか!シルヴァーも見違えたね!」

この賢者、言い替えると魔法の知識と万物に欲情する変人の仕業である。

「あれから一年」

シルヴァーがゴールドの髪を梳く。

「あれから一年…」

シルヴァーが紅茶をティーカップに注ぐ。

「あれから一年…?」

シルヴァーが茶菓子を用意し…

「一年んんんんんんんんんんん!!!!????」

ゴールドが叫んだ。

たった1行で済ませられた一年。色々な事があった。

シルヴァーの外見…他には…

「……………尽くされてばっかりだ…」

様々な事を思い出したが、シルヴァーに尽くされてばかりで、ゴールドがやった事と言えば、まともに会話できるようにしたことと、魔法の基礎を教えたことだけ。

「思えば会話が成立するようになってから性格が一向に虚無状態じゃん……ごめんね………役に立たなくて…」

「私は現時点で幸せです、ご主人」

「んもぉー!なんていい子なの!」

とはいえ、このままではシルヴァーの感情が健全に育ってくれない。多人数へのコミュニケーション能力も鍛えなければならない。

ならばうってつけの場所があるではないか。

「そうだ!シルヴァー、学校に行かない?私より教えるのが上手な人がいっぱいだよ」

「学校?」

「そう、学校。魔物が通う学校。」

二ヶ月後、魔物が通う学校…『メフィスト・フェレス魔術学園』の入学試験が始まった。

「行ってらっしゃい、シルヴァー、試験はあなたに取っては単純作業だけど、ミスはあるかもしれないからね。油断しないように」

「はい、油断しません。では、言って来ます」

試験内容は筆記試験…魔術の基礎について問われる問題だった。

メフィスト・フェレス魔術学園 魔術科 筆記試験

この試験用紙には教師の許可が降りるまで触れてはならない。

試験時間は1項目につき一時間とする。

氏名、種族の記入を忘れないこと。

試験中、違反行為が発覚したものは即刻失格とする。

「始め!!」

試験開始の宣言がなされた。

シルヴァーはスラスラと問題を解いていく。


問一 魔力について、具体的に説明しなさい。


・万物に宿るもの、全ての根源、生命の源泉。

特に、魔物にとっては自らのエネルギーであり、生命を維持する為に必要不可欠な存在。


問二 それぞれの属性の説明の空白を埋めなさい。


『火』 (温度)を司る属性。(火)属性魔法、(氷)属性魔法は分けて考えられる場合があるが、基本的には(本質が同様である)という理由で、同じ属性であるこれに分類される。(魔法学)では、未だに区別するべきかどうかを話し合い、日々論争が続いている。


『水』 (生命)を司る属性。(回復)魔法がこれに分類される。(自己回復能力を持たない種族)に重宝されている。使い手の数は(少な)く、また、(四肢を元通りにできる)術者は指で数える程しかいない。


『風』 (大気)を司る属性。(飛行)魔法などが分類される。魔力の消費が(激しい)。これを活かした技術は、(飛行船)や、(闘技場)に利用され、今後、さらなる活躍が期待されている。


『土』 (大地)を司る属性。(岩石)魔法や、(鉄鋼)魔法などが分類される。最も適合者の多い属性で、(建築)業に利用される事が多い。また、数多くの(芸術作品)は、この属性を利用して作られている物も多い。


問三 メフィスト・フェレス帝国の歴史について、空白を埋める語を語群から選びなさい。


(六十六年)前、上位魔神メフィスト・フェレスが契約者の人間ファウストと(ティータイム王国)に反旗を翻して創り上げられた王国。

初代帝王の(ファウスト)は(契約の代償)により六十年前に死去。

以来、現在に至るまで二代目帝王上位魔神メフィスト・フェレスは幾度の反乱を跳ね除け、この国を統治し続けている。

魔神の強大な力により、他国の(文明レベル)に凄まじい勢いで迫り、(三年)後、この国は世界一の経済大国になると予想されている。

このメフィスト・フェレス魔術学園は、世界最大の(分け隔てなき学園)とされており、様々な(種族)が通っている。

ここまで(分け隔てなき学園)と呼ばれるようになった所以は、それまでの(血統)による優遇を消し、個人の(努力)や(実績)によって位が決まるように改革が成されたからである。

我が国は世界でも有数の(軍事力)を有しており、これまでに起こった(三度)の戦争に(犠牲)という面で大差をつけて勝利している。


問四 魂について…

「…………………………………………………、

             …………?……、…、…、?」


ピタリと、それまでの勢いが殺され、シルヴァーの筆先が止まった。大問四、魂についての問題。

感情。

それの揺らぎ。

それの具体的な知識。

全て、全て学んだはずだ。

それなのに、何故この手は、こんな問題が解けないのか。


「………」


試験官の吸血鬼(ドラキュラ)が、その様子を赫い眼を光らせてじっと見ていた。


試験終了後。

とぼとぼと、シルヴァーは試験が終わるまで待っていてくれたゴールドの元へ向かった。ハッキリ言えば、出来は良かった。恐らく、この試験の九割を確実に正解できたという確信がある。

だが、魂の問題。

あれだけが、あれだけが気がかりだった。


「いつもに増して浮かない顔をしているじゃないか」

ゴールドがシルヴァーの肩に優しく手を置いた。土人形の冷たい肌が、エルフのしっかりとその存在を証明する体温で温まった。

「分からなかったんです。魂の問題だけが…」

「あー、テスト中に頭真っ白になるやつ?

あるよね~たまに。

私も千年間で何度も学校みたいな所に行ったからさ…」

「そうではなく…私の魂が魂を理解していないんです。

頭で理解していても、その根底にあるものにその理解が届かないと言うか…」

「そっか…」

はて、どうするべきかと、土人形の師は少々雲の架かった天を見上げた。遠くで竜が縄張り争いをしてぶつかり合うのが見える。命を賭けた、魂のぶつかり合いを…


    ………………魂の、ぶつかり合い?






        そ

        れ

        だ

        !

        !

        !







天高く響く、よく澄んだ、通る声。

会場の全ての視線を集めたことなど気にも留めず、

ゴールドはシルヴァーの肩を引っ掴んだ。

「午後から魂の授業だ。シルヴァー!」

「…具体的に何をするのでしょうか?」

「この学園には入学試験の日の午後に特大のお祭り騒ぎがあってね…!それなら君も少しは魂について理解を深められるだろう!」

「具体的には…?」


「それはねぇ…!」










         「決闘大会だよ」









…次回、バトル展開。

いかがでしたでしょうか?国語力にまだ難があるとは自覚しています。今後の自分に期待を込めるとしましょう。

感想聞かせていただけると幸いです。

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