4月10日月曜よる8時5分 カフカなる夜の住人
0時に投稿したかったのですが、突如部屋に発生した黒蟻の襲撃にあたふたしてて間に合いませんでした。
暫く突っ立って、信号が青に変わるのを待っていると漸く黄色に成って少しして青に成る。
信号機から鳴るカッコーカッコーの音に何処か落ち着く私がいる。
昼のカッコーは大して好きでも無いのだが、夜の静寂の中聞くカッコーの音と暗闇を薄らと照らすカラフルな信号機の明かりには不思議な高揚感が有り好きだった。
何故だろうかと不思議に思いながらも、夜だからだろうなと言う手前勝手な感想を抱いて白い線路の様な横断歩道の上を歩いて行く。
青信号を渡り終えて何と無しに立ち止まり暗闇を垣間見た。
ちょっとした違和感と経験に基づく直感から、片目を覆う様に手を翳す。
翳した手を下ろす様に落とすと、私の顔には銀のチェーンが付いた銀色の片っぽの眼鏡が着いていた。
たしかモノクルと言うんだったかと心の片隅で思う。
モノクル…「魔術師の片眼鏡」で暗闇を見やると其処にはさっきまでは確実に居なかったであろう黒い二足歩行の人型の何かがいた。
勿論見間違えじゃ無いし、さっきも居たけど暗闇で見えなかったとかでも無い。もっと非科学的でオカルトチックな「ヤツ」だ。
いや、正確に言うならば人型でも無いだろう。大体人の形をしているだけだ。
何かは大凡人間と言える特徴を持っていたがしかし、明らかに人間じゃ無いと確信できる特徴を多数有していたのだから。
闇に溶け込む真っ黒な体は黒焦げた見たいで、少し力を込めて握れば折れそうな線状の腕に脚に胴体をしている。
初めて見た時は一目見て「棒人間みたいだ」と私は思ったのだ。
初めて、そう初めてだ。
この孤独的で拒絶する様なカフカな夜の住人に会ったのは初めてじゃ無かった。
最初の夜歩きした日に「魔術師の片眼鏡」で見てしまったのだから。
まあ、見てしまったと表現する割に後悔も反省も特にして無いのだけど。
ただ、夜の住人…そうだね「カフカ」とでも言おうか。
このカフカに会った時は特徴的な二つの三角頭に目と口の位置にある白くて丸い窪みには驚いて腰を抜かしてしまった。
首はVの字に分かれていてそれぞれの頭は上向きの三角と下向きの三角の二つが有るのだから、私が驚いてしまってもしょうが無いだろう。
そろそろ察してるかも知れないけど「魔術師の片眼鏡」の力は一種の魔眼だ、中二病御用達のあれだ。
私が持って解った事だけど本物の「魔術師の片眼鏡」は名前の通りにとある魔術師から抉り取った片目を素材にして作られたらしい。
とは言え目玉をそのまんま片眼鏡に加工したのでは無く、所謂付与みたいな方法で作り出されたみたいだけど。
本物のがどう言う意味かって?
弟は「くらやみ」から良く神秘を持ち帰ってくるんだけど、何でもくらやみに有る神秘は「過去に有ったけど今はもう無いモノ」と「過去にも現在にも存在しないモノ」に分かれるみたいで「魔術師の片眼鏡」は此の内の前者に値するのだ。
勿論他にも色々と分類もあって、「魔術師の片眼鏡」は一体型の神秘見たい。
因みに「星辰の飴玉」は消費型でそれ以外は外装型に分類される。
黒色のカフカ「さんかくさん」の姿を目に押さえながらも取り留めない事を考えて私は夜の歩道を再び歩き出した。
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