ポケットにロケットをつめこんで
ポケット、たいへんそう(汗)
ポケットにロケットをつめこんで
あたいは 煤けた星空を
両手でかきわけながら にくきゅう座をさがす
100円玉を何枚いれても
ロケットは飛んでくれないって わめいてた連中は
ポケットには ほかのものをつめこんで
ロケットを飛ばしそこねた100円玉で
プラネタリウムを見に行ったみたい
ポケットにロケットをつめこんで
あたいは ほどけた星座をむすびなおしながら
100円玉のかわりに
ロケットを飛ばしてくれるものをさがす
にくきゅう座の一等星 マルデタランは
あたいたちが ちょっとでも隙を見せたら
もっと輝いてやるぞって たくらんでるから
あたいたちも負けてられないぞ とばかりに
ロケットが飛ぶまで
もう何枚も100円玉をいれたり
かわりに 500円玉をいれて
なんとか飛ばそうとしてみる姿が ちらほらあるうちは
あたいたちはまだ
マルデタランの光を見失わないだろうし
逆に いつまでたっても
マルデタランには たどりつけないって
そうも あたいは思ってる
たぶん 気づいてるのは あたいだけじゃないはずだ
ロケットを飛ばすのは
100円玉でも 500円玉でも
ましてや えらいひとの顔を刷りあげた
紙きれでもなくて
ダイヤモンドみたいに きらきら光る
ガラス玉なんだって
ダイヤモンドよりも 脆くて 儚い
シャボン玉なんだって
そいつが ロケットとはちがうポケット
たぶん シャツの胸ポケットの奥底で
ちっちゃな星座を描いているかぎり
いつか ロケットを飛ばせる日がくるんじゃないかって
そうも あたいは思ってる
だから その日まで
これからもあたいは
煤けた星空を両手でかきわけながら
にくきゅう座を探すし
ほどけた星座を何度でもむすびなおすよ
ポケットにロケットをつめこんで
ポケットにロケットをつめこんで
にくきゅう座、プラネタリウムで見てみたい。
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