55:もしや名案?
翌日。
ルイ王太子に、昨晩思いついた作戦を、話したくて話したくて、しかたなかった。だが。みんなで朝食をしている時に話すのは無理だ。となると午前か午後をルイ王太子と過ごせたら……と思ったけれど。当然といえば、当然。午前中はロバート、午後はディオンと過ごすことが発表された。
しかも残念なことに。ルイ王太子は今晩、夕食の後、王宮で開催される舞踏会に参加することになっていた。これは公務なので仕方ないのだが……。
朝食で出されている焼き立てのパンを頬張りながら、ふと思い出す。
そうだった。
ルイ王太子と確実に二人きりで話す機会を作る方法がある。
それは。
「特別指名権」だ。
クリスタル・パレスで男性達と過ごし、そこで気になる男性ができた時に行使できるカード、それが「特別指名権」だ。いきなり当日行使はできない。少なくとも前日の朝にメイド長へ、「特別指名権」を使いたいことを告げ、相手の男性の名を伝えれば……。翌日以降、確実にその相手と過ごせることになる。
この「特別指名権」が行使され始めると、聖女の心は特定の男性に向かいつつあるということで、ライバルとなる男性達には大きなプレッシャーになるのだが……。
あれ?
冷静に考えると、「特別指名権」を使えば、どうやら聖女は伴侶を決めつつある、ということが、自然と皆に伝わるのではないか。つまり、ルイ王太子に相談し、本命のフリをしてもらう必要はない。落ち着いて考えると、ルイ王太子は全身全霊で私を好きだと言ってくれている。そのルイ王太子に対し、本命のフリをしてくれと頼むのは……酷だ。
良かった。
ルイ王太子に頼む前に、「特別指名権」の存在に気づけて。
いや、待って。
問題が、三つないか?
まず、「特別指名権」を行使する相手は、誰にする?
行使された相手は間違いなく、自分が今、本命の可能性があると喜ぶはずだ。もちろん、行使した後に気が変るなんてざらにあると思う。だから「二人きりで出会う機会を増やしたけれど、あなたではなかった、ごめんなさい!」になっても、問題はないはずだ。
問題はないはずだなのだが……。
本当に好きかもしれないと思った相手に行使して、結果的に違っていた、ならまだ許されると思う。でも今からやろうとしているのは、フェイクのための「特別指名権」の行使なのだ。行使された相手に対して、とても申し訳なく思ってしまう……。
次に、「特別指名権」を行使して、暗殺者が現れたらどう対処する?
もしルイ王太子にこの作戦を相談できれば、暗殺者……間者のあぶり出しに成功したということで、捕えてもらうことは可能だろう。でもルイ王太子に頼らないとしたら……。
警備の騎士が守ってくれることに期待するしかない。
でもそれは……あまりにも心もとない。
もちろん、警備の騎士は優秀だ。
優秀だと思うのだが……聖女アメリアは暗殺されているのだ。警備の騎士だけでは足りない……と言わざるを得ない。
ルイ王太子に作戦を打ち明ければ、彼の近衛騎士の協力も仰げる。それはどんなに心強いか。ジェームズ副団長に相談できれば、さらに心強くなる。
でも、そうなると、当然二人にはフェイクで「特別指名権」を行使すると明かす必要がある。自分の身を守るために、男性の気持ちを弄ぶ女……そんな風に思われ兼ねない。
いや、そこは百歩譲り仕方ないとしても。
ルイ王太子とジェームズ副団長は、「特別指名権」に協力してくれるだろうが、それはイコール私は本気ではないが、作戦のために協力してほしいということを意味するわけで……。あなたに気持ちはないと言っているようなものになる。それは本当に申し訳なさすぎる……。
最後に「特別指名権」を行使したら、それは私に本命候補ができたと、皆が知ることになるが、それでいいのか、という問題がある。
つまり、宰相ピアソンとランドル総神官長、ひいては国王陛下も、「特別指名権」が行使されたと知ることになる。いよいよ聖女が伴侶を決定しそうだと、期待をもたせることになるのだが……。実際は選ぶことはない。もちろん、必ずこれでゴールインする必要はないが、無駄に期待を持たせるのは止めた方がいい気もする。
結局、名案を思い付いたと思ったが、「特別指名権」の行使はいろいろとリスキーというか、問題がある気がする。
となると、やはりルイ王太子に相談がいいのだろうか。いや、でもそれは彼の心を傷つけるから……。
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本日全国的に雨のようです。
通勤・通学の方、お気をつけていってらっしゃいませ!
これから家事の方、頑張りましょう~
また更新しまーす。
引き続きよろしくお願いいたします。





















































