39:永遠の絆
指輪ではないと分かったので、安心して受け取ることにする。
「私のために……。わざわざありがとうございます。ジェームズ副団長様」
よく見ると、箱をのせたジェームズ副団長の手は、少し震えている。こんなに精悍な体をしているジェームズ副団長が震えているなんて。
そんな事実にどうしたって胸がキュンとしてしまう。何よりこんな風に家族以外の男性からプレゼントを贈られるなんて……。
どれぐらいぶりだろう?
自然と私の頬も熱くなり、ドキドキしながら箱を受け取る。
「開けてもいいのでしょうか?」
「はい。ぜひ開けてください」
シュルっと青いリボンをほどき、箱を開けると……。
蝶の形をしたイヤリングだった。
羽の部分はダイヤモンドで、ブルートパーズも散りばめられている。金属部分は18Kのホワイトゴールド。どう考えても……前世で言うならうん百万円しそうだ。
「ジェームズ副団長、あの、こちら、気軽に受け取っていいものに思えないのですが」
するとジェームズ副団長の顔は今にも泣きそうなものになってしまう。い、言い方を考えよう、言い方を……。
「シンシアメイド長に確認したところ、聖女アメリア殿のドレスは白、青、水色が多いとのこと。そのドレスにあい、かつ、石言葉を考えた時。そのイヤリングが最適だったのですが……。デザインがダメだったのでしょうか」
……!
まさか石言葉まで考えていたなんて。
確かダイヤモンドの石言葉は……永遠の絆。
ブルートパーズの石言葉は……友情や知性。
ストレートに愛を表現したわけではない。
それでもダイヤモンドと言えば、永遠の愛の象徴。
絶妙な選び方だと思う。
そうか。
多分、ジェームズ副団長からすると、このイヤリングは、値段ではない。自分の想いを託せるものかどうかだった。
「ジェームズ副団長様、このイヤリングの価値を考えると、本来安易に受け取れるものではありません。でもジェームズ副団長様は、この宝石に、ご自身の気持ちを込められたわけですよね? そうであるならば……受け取らせていただきます。永遠の絆。素敵なメッセージです」
その瞬間。
ジェームズ副団長の顔が輝くような笑顔になった。
「聖女アメリア殿、ありがとうございます。どれにするか、2時間近く迷ったのですが……受け取っていただけて良かったです」
2時間!?
いや、でも数百万円の価値があるものだ。迷って当然……って、ジェームズ副団長は、値段で悩んだのではなく、自分の気持ちを伝える宝石選びで悩んだのか。
「せっかくですので、つけてみていいですか?」
「もちろんです」
ジェームズ副団長の頬が高揚している。
日傘を一旦閉じ、今つけているイヤリングとブレスレットをはずし、レティキュールへしまうと。
「聖女アメリア殿、ブレスレットはなぜ外されるのですか?」
「あ、今つけていたイヤリングとブレスレットは、お揃いなのです。ローズクォーツという宝石のもので。ですからはずしただけですよ」
「なるほど……」
ジェームズ副団長は勉強になる、という顔で真剣に頷いている。その実直さは……やはり可愛らしい。そんなことを思いながら、イヤリングをつけた。小型の手鏡で確認すると、今日のドレスにもピッタリだ。ダイヤモンドが透明であり、金具もホワイトゴールドなので、どんなドレスにもあいそうだ。
「どうですか? 私は気に入りました」
そう言って鏡から視線を、ジェームズ副団長に移すと……。
心臓がドクンと大きな音を立てる。
なんて、なんて……。
とろけそうな顔をしている、ジェームズ副団長が。
ブルーブラックの瞳がウルウルしていて、まるで子犬のようだ。
「……とても似合っています。とても……」
そこで大きく息をはいたジェームズ副団長は、視線を伏せ、拳を握りしめ、そして……。
とても小さな声で「……美しい」と呟いている。
その言葉に私は、顔が赤くなるのを感じる。
これはお世辞ではなく、ジェームズ副団長の本音だ。
そう思うと、本当に胸がドキドキしてしまう。
好きに……なってしまいそう。
でも、それは暗殺者の行動を促すだけ。
「美しい」という言葉は聞かなかったことにして、日傘を広げた。
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12時台にもう1話公開します。
引き続き何卒よろしくお願いいたします~


















































