21:なんてことをおっしゃるのですか!?
「それは、分かるでしょう、聖女アメリア。2曲のダンスの最中に、あなたのファーストキスを奪うつもりですから」
「!? なんてことをおっしゃるのですか!?」
「愛の儀式は、このクリスタル・パレスを出てからです。でもキスは問題ない」
前言撤回!
気遣いができる!?
全然できていない!!
「こ、こんな他の男性もいる前で、キスだなんて、できるわけがありません!」
その瞬間。
スチュワートがクスクスと笑う。
な、何……!?
「承知しましたよ、聖女アメリア。皆の前では困ると。では二人きりの時に。その唇を私がいただきます」
「な……!」
そんな意味で言ったわけではないのに!!
「聖女アメリア。キスはよく分かりました。それで。愛の世界の入口に立った経験は、おありなのですか?」
思いっきり動揺し、スチュワートの足を踏んでしまったが、動じることなく踊り続けている。それどころか余裕の笑みを浮かべていた……。
「スチュワート様、そう言ったお話をするのはやめてください! ダンスに集中できません。無論、ダンス以外の時であれば、そういう話もOKということではありませんからね」
「聖女アメリア、あなたは可愛らしい方だ。そんなに恥じらう必要はないのですよ。ここをあの日の男爵家の仮面舞踏会だと思えばいい。あの場に足を運んだあなたが、今さらかまととぶる必要はないのですよ」
「そ、それは……」
もうその一件を持ち出されると、ぐうの音も出なくなる。
実はそんな舞踏会だとは知らなかった――これで押し通せないだろうか?
「それにしても。せっかく足を運んでも、無駄足だったのでは? あの仮面舞踏会、人の目のない場所で、男女が愛の世界を楽しんでいますが、無法地帯というわけではないのですよ。『聖女聖痕確認の儀式』前の、18歳の誕生日前の女性と何かあれば、大問題になります。ですから身元確認・年齢確認は念入り。エントランスでリボンを受け取り、それを手首につけるよう、言われたと思います。身元が怪しい人物には、グレーのリボンが渡されるんですよ」
そ、そうだったのか。
だから入場できたのに、皆、余所余所しかったのか。
結局あの時、純潔を散らすための相手は見つからなかった。
そこでダンスの一曲目が終わった。
ダンスなんてあっという間に終わると思ったのに。
長く感じたのは、スチュワートがとんでもない質問を私にするからだ。
「聖女アメリア、息が上がっていませんか? 頬も少しバラ色に染まっている」
スチュワートはそう言うと、不意に私の耳元に顔を近づける。
「少し、汗ばんでいて、まるで……愛の儀式を終えた後のようだ」
吐息を耳にかけられ、ゾクゾクするような変な感覚に襲われる。すぐに耳元から離れたスチュワートはイケメンスマイルで私を見る。
「休憩されますか? その火照りをとるために、少し散歩でもしますか?」
するわけがない。
今、庭園に出たら、絶対、愛の世界の入口に無理矢理連れて行かれる!
「け、結構です! さあ、もう一曲踊りましょう、スチュワート様」
もう、とっと終わらせるしかない。
ダンスの最中は、極力スチュワートの言葉に耳を傾けない。
むしろ、こちらから話題をふり、愛の世界の話にはもっていかない!
曲がスタートし、動き出すと同時に、こちらから声をかけることにした。
「スチュワート様はダンスがお上手ですよね? やはり子供の頃から練習をしっかりされたのですよね?」
「ええ、練習をしましたよ。最初はなぜダンスなどを、とも思いましたが。女性を落とすにはダンスが必要と理解した瞬間から。メキメキと上達しました」
しまった。
ダンスなんて男女で踊るもの。
そっち系の話に向かうのは必然。
質問を間違えた!
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続きは22時頃に更新します。
夜遅いのでご無理なさらずで~
明日は朝7時台後半で公開しますね!


















































