ようこそ、我が家へ
ある冬の事
その年は例年より冷え込んでて
肌寒い日が多かった。
でも、その日は何だか朝から少し暖かったんだ。
だからかな起きて直ぐに、家の用事を済ませて
少し落ち着いた僕はもう一度布団の中に戻ってYouTubeを見ようか迷ってた
そんな時、ママから電話が来た。
昨日の夜から腹痛で少し眠れないって、言ってたから
何かあったのか心配になって直ぐに出たよ
そしたら少し苦しそうな声で「産まれそう」って。
実はね、僕はそういう電話は病院から来るもんだろうって思ってたから凄くビックリして
慌てて支度して向かったよ。
8時34分
もう、多くの人が出勤を終えて国道が凄く空いていた
出来る限りの速さで君の元へ向かったのを覚えてる。
道中考えてたのは、着いたらママをどう支えようか?待ってる間にできる事は?そうだ今の気持ちをちゃんと残しておこう…とかそんな感じの方。
こうなる前にずっと沢山考えてたのにね、いざってなるとあたふたするもんだね。
だからとりあえず君への想いはドライブ中に撮っておいた。
これは君が20年後に知れる。
そんな事してたらいつの間にか病院に着いてて
受付の方に説明して分娩室に向かったんだ。
で、部屋の扉を開けた瞬間君の声が聞こえた。
8時55分
本当にタッチの差だった
ママはグッタリしてて、少し汗ばんでた
パパはねその姿を見た時に、何だか神聖なような
美術的なような感覚があって近づけなかった。
助産師さんが声を掛けてくれて、やっと近くに行って
「お疲れ様」「ありがとう」ってママに声を掛けた
「うん」って小さな声で返事したけど、やっぱりなんだか辛そうだった。
しばらくして、君は産湯から戻ってパパの手元にやってきた
2200g
あまりに小さくて、軽くて、暖かい。
本当は色々と言いたい事あったんだ
「ようこそ我が家へ」とか「コレから宜しくね」とか
でもそんなの吹き飛んでしまって
ただただ「ありがとう」って言葉しか出なかった。
だからねコレから宜しく、ようこそ我が家へ




