表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

超短編集(怖)

親ガチャ失敗

作者: M
掲載日:2022/05/23

 春休み。

 俺達は二人でスマホゲームをして遊んでいた。


「ゲームの課金したいって言ったら、親にめっちゃ怒られた」


 友達が愚痴る。


「俺んちは、お小遣い一万円の範囲ならオッケー」

「いい親だなぁ。ボクは親ガチャ失敗だな」


 しょげる友達を見て、顔には出さないが、俺は親ガチャに成功したと優越感に浸る。

 

 両親はともに大企業の正社員。父は課長補佐に昇進した。

 欲しいものは買ってくれるし、好きな料理が食べられる。不自由を感じたことは一度もない。

 両親は優しくて、少しくらい成績が落ちても怒られない。


 UR(ウルトラレア)とまではいかないだろうが、SR(スーパーレア)親だと言える。


 友達の羨ましそうな顔を尻目に、俺は課金ガチャを引く。


「くっそ! ただの(レア)かよっ」

「ざぁんねん」


 友達の言い方にはトゲがあるが、どうせ嫉妬だ。

 俺はもう一回課金する。


「きたー、UR(ウルトラレア)!」


 俺は勉強でも運動でも友達に勝てないが、ゲームだけは友達の百倍強い。

 課金して友達より上に立てるなら、このくらい安いもんだ。


「さっきの(レア)キャラどうすんの? 育てるの?」

「育てたりしないよ。今引いた強キャラに食わせて経験値にする」

「ボクにくれよ」

「あげないし」


 二人で笑った。「くれよ」のくだりは二人のお約束だ。


「ちくしょー。ボクの親ガチャ、もう一回引けないかなぁ……」

「リセマラ (※1)しかないんじゃない?」

「それって、良い親に当たるまで死にまくれってこと?」

「んー、そうなるな」

「そんなに死ねるかっ!」


 バカみたいな話をして時間が過ぎていく。


***


 夜。子供はもう寝てしまった。


「うちの子は能力低いなぁ」


 子供が貰ってきた成績表を見て、父親が溜め息を吐く。


「子ガチャに失敗したね」


 母親も残念そうな顔をする。


「育てるのにかなり課金したんだがな」


 父親は母親を抱き寄せる。 


「まだガチャは引けるだろ」

「ん…そうね。」

「次はUR(ウルトラレア)が生まれるさ」

「でも、あの子はどうするの? 捨てる訳にもいかないでしょ」


 母親の問いに父親は澄ました顔で答える。


「もうあの子には課金しない。そうすれば反面教師として、次の子のいい経験値になってくれるさ」

※1【リセマラ】

 リセットマラソン(Reset Marathon)の略

 良いキャラやアイテムが出るまで、ゲームアプリの初期化を繰り返すこと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ