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聖女の初恋はブラウン管のカチカチ音と共に

作者: くらげ

なろうラジオ大賞用に書いた作品。お題ワードを全部ぶちこんだら規定をオーバーしてしまいました。

偽物認定された大魔王が日本にたどり着いて一週間。


「く。なぜ私が偽物認定されるのだ」

「建物がショボかったからでしょ」


傷心の大魔王の傷をドラゴン(オス)がえぐる。


「なぜ、私が伝説の剣持って大魔王(偽物)を監視しなければならないんです?」

「だってあんたの世界の魔王でしょ。なんかあったらどうするの」


途方にくれる聖女に、本を読んでいた少女が眼鏡をくいっとあげて答える。


「そこのあなた。申し訳ありませんがこの剣持っていただけますか? この中で一番強そうですし」


サラリーマン「(公安から派遣された忍者にそんなこと期待されても。まさかの身ばれ?)ちょっとスポーツをかじっていた程度ですよ」


少女の知り合いの探偵「小林少女。コーヒーにはたっぷりミルクを入れてくれ」


「変なあだ名をつけないで」


そう言いながらも、少女は重い腰をあげて、台所に向かう。


「この剣、日本刀ですね。ちょっと抜いてもいいですか」

「ええ」


聖女の許可を得て刀を抜いたサラリーマンは銘を見て目を見開いた。


「こ、虎徹!?」

「コテ?」


魔王と聖女とドラゴンが首を傾げる。


「幕末の新撰組という治安維持部隊?の局長が持っていた刀。偽物多し」


「偽物だな」

「偽物だな」

「偽物ですね」


「ああ、入道雲がきれいだなー」


探偵がコーヒー牛乳を飲みながら呟いた。


「にしてもどんだけひどい魔王城だったのよ」


「それが、維持費をけちってほったて小屋に住んでいたのよー。ほんと困った大魔王様。そこが放っておけないんだけれどね~」


「じゃあバージョンアップしたんじゃないですか。0.1BEAくらい。良かったですね。“大”魔王さん」


「うう。なんと棘のある言い方」


「だって、ひとんちの境内ににいきなりボロいアパートがたったらぶちきれるでしょ?」


「森の端っこにちょっとくらい魔王城があってもよかろう」


「よくないです!」


ちょうどそこに毎年新米を奉納してくれる農家のおじいさんが立ち寄ってくれた。


「都会の風に染まっちまって、おにぎりでもどうだ。もうすぐで三十路だろう。それともそこの銀髪の美人さんがお嫁さんなのかい」


「私はあの、そんな、神に仕える身で。でも大魔王もかっこいいかも」

「え?」


聖女が頬を染めると魔王(偽物)も視線をさ迷わせ顔を真っ赤にした。


「神様に仕えているからって、結婚しちゃいけんということはなかろう。君がどこの国の人か知らんが日本の神様は巫女の結婚にごちゃごちゃ文句をつけないさ」


「そ、そうなのですか。ですが、やはり宗旨代えするのは問題が」


「別に神様は君がなんの神様を信奉してても怒ったりしないさ」


「あの自称魔王さんよりか怖い目付きをされているような」


サラリーマンが少女の様子に気づいて呟く。


「ふ。小林少女は私のことが好きなのだな。悪いが私たちの間には青少年ー」


「ち、違います!」


おにぎりをぺろりと食べた大魔王の参謀ドラゴンは羽をはばたたかせ始める。


「まったく聖女の小娘にころりと落ちるなんて」


「そこのUMA。勝手に飛んで行くなー」


「三kのブラックな魔王城に嫌気が差していたのよ。それでも付き従っていたのは大魔王様がいらっしゃったからなのに~。ひどいわ~」

「そうか。今まで世話になった」


「幸い餌になるヒトはいっぱいいるようだし。食うに困らないわ」


「食うな!必殺殺虫剤!(よいこはまねしないでね)。つうかあっさり過ぎだろう魔王。飼い主ならしっかりペット世話しろ!」

「誰も彼の自由を阻めない」


「くきゅうー。」


「この害獣とりあえずキャリーバックに放り込んでおきますね。」


まさに飛び立とうとしていたドラゴンは、サラリーマンの殺虫剤攻撃にやられ、蚊のごとくぽとりと落ちた。それをすかさず捕獲したのは少女だ。


「そういえばこら、えらい古いテレビだどもつくんかいな」


農家のおじいさんが暇つぶしにカチカチとブラウン管テレビのつまみを回し始めた。



BEA...メー○ーの民の「建物の単位」。わからなくても大丈夫。


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