~かしこいシマリスのお話~ 最終話
いつしかアルディはシマリスたちのリーダーになっていました。
見張り役を付けた事でキツネや鳥に襲われる事もほとんどなくなり、
餌集めも効率が良くなりました。
一箇所に集められたどんぐりはみんなに平等に分けられる為、
みんなが裕福になりました。
アルディは本当に頭が良く、
そのうち薬草を使って病気や怪我の治療まで出来るようになりました。
シマリスたち: 『ほんと、アルディは私たちシマリスの救世主だ!』
クルル: 『いやぁ、それほどでもないよ…。』
それから、長い長い時が過ぎました。
アルディ達の子孫は爆発的に増え、森を覆い尽くすほどになりました。
そのうち、どんぐりの木がどんどん少なくなっていきました。
どんぐりの実はシマリスたちに食べ尽くされ、
以前の様に土に埋められたまま忘れられると言う事がなくなったからです。
おかしな病気も流行りだしました。
病気であっても薬や治療のおかげで死ぬ事が少なくなった為、
健康な遺伝子をもったものが不健康な遺伝子をもったものと交わり、
全体として不健康な遺伝子を持ったものが増えたからです。
また、抵抗力そのものも低下してきたのです。
そうして新種の病気の大流行や増えすぎた巣穴による地盤沈下、
どんぐりの木の消滅などで、ついにシマリスたちは全滅してしまいました。
アルディはとても賢いシマリスでしたが賢いってなんでしょうか…。
クルルは愚かだったんでしょうか?
人間とはいったい…。
後書き…
最終回は突然真面目なお話になってしまいました。
ハッピーエンドを期待していた読者の皆様、すいません。m(_ _;)m
私は文明を否定するものではありません。
身近な者が病気になった時、どんな事をしても助けたいと思うし、
生活も出来れば楽に楽しく生きたいと思う煩悩の塊のような人間です。
ただ、人間は愚かだなぁと思い、その愚かさも含めて愛しいと思っております。
終わり。