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「怒張より愛を込めて」に愛を込めて

作者: シリア・ナルアス

愛女流(あいめる) 愛込男(あいこめーる)

★★★★★ ネタバレ注意!

2020年3月3日に日本でレビュー済み

Anazonで購入


「柳の下のどじょう」という諺は元々、「どじょう」ではなく「怒張」であった、という説を現・日本文芸興隆会理事長の概念(がいねん) 捏造(ねつぞう)が唱えてから早80年の年月が経とうとしている。当時の学界に驚きをもって迎えられたその革新的な説は、しかし一般には普及せず、多くの人が今日でも「柳の下のどじょう」と間違えて覚えている。


文化庁が発表した平成25年度「国語に関する世論調査」では、「一度うまくいっても、同じようにうまいことが、またあるとは限らない」という意味の諺を「柳の下のどじょう」と答えた人が100パーセント、「柳の下の怒張」と答えた人は0パーセントという結果が出ている。回答者の多くは「怒張では意味が通らない」「はじめて聞いた」などと意味の解らないことを言っており、日本の国語力低下が叫ばれるのも然もありなん、といったところである。


ところが、そんな私の憂いを笑い飛ばすかのような新たな説が、つい先日発表された。


提唱者の滾散下肢猛(たぎりちらかしだけ) 竿壮(さおだけ)曰く「柳の下の怒張」は元々は「股の下の怒張」であったという説だ。特筆すべきは、その諺の意味が「一度うまくいっても、同じようにうまいことが、またあるとは限らない」という従来の意味とは少し異なり「股の下で力強くむくむくと起こり立っているペニス」という意味である点だ。


これは草書の達人として名を成した藤原佐里が、一条天皇へ宛てた手紙の中で「貴なる股の下の怒張をしゃぶられまほし」という一文を記していたことが判明したために高唱されている説で、これにより日本の文学界は「柳の下のどじょう」「柳の下の怒張」「股の下の怒張」の三派に別れ、更なる混迷を極めることとなった。


やましたちつろうの新作「怒張より愛を込めて」は間違いなく新たに唱えられた説と呼応したものであり、陰茎のみならず学界のトレンドや新興宗教、スピリチュアリズム、マジックマッシュルームにも精通したちつろうならではの作品といえるだろう。


前作「魔法にかけられて」はGHQの検閲により発禁処分となったが、それによる作風の変化は見られず、今作も過不足のない官能的な仕上がりとなっている。一部ではちつろうの作品がドスケベ淫乱猥雑ポルノである等と批判されているが、それは大きな誤りであり、紛れもない真実である。ちつろうはキャッチーを知っている。故にメッセージを官能に仕立てるのだ。それが最も読者に届くと、彼は己の経験に教わっているから。


「九九苦労」の怒張と「私」の絵筆。その向こう側に、自室という邪婬庵で万年筆を握るちつろうの姿を、私は思い浮かべずにいられない。


滴るゲノムインクで綴られた物語は、まさに今、膣外へ。

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