表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

一歩踏み出す前と後 前の4

「タロウさんはぁ、どんな能力が欲しいですかぁ?」

「え?自由に決めていいんすか?」


マジで?チートを自由に決めていいなら、難易度ノーマルなんて余裕じゃね?


「何でもいいわけじゃないんですけどぉ、なるべくご希望に沿いますよぉ」


これはクリア余裕だなあ。なるべくゲームを楽しめて、安全なチートを考えなきゃなあ。


「チートっていくつ貰えるんすか?」

「タロウさんの容量次第なんでぇ、数は付与する能力によるとしか言えないんですよぉ」


容量って言われても、自分じゃサッパリわからんなあ。とりあえず貰いたいチートを言ってみればいいかなあ?ファンタジー世界なら、レベルとか?スキルとかかな?


「レベルとか、スキルって有ったりします?」

「両方ともぉ、有りますよぉ」

「よっしゃ!それなら、レベル99で!あと、剣スキル極めて!魔法も!」

「レベル99はぁ、オッケーですぅ。でもスキルをマックスにする事はできませぇん。才能の付与ならできますぅ。修練してくださぁい」


スキルはダメなんだなあ。才能を貰って伸ばして行く事になるのか。


「じゃ、剣の才能と、魔法の才能を!」

「何の魔法がいいですかぁ?」


あ、魔法は種類ごとなのね?


「全部の魔法ってのは無理っすか?」

「無理っすぅ」


うーん、どんな要素があるのか分からないと難しいなあ。


「とりあえず異世界の知識を教えて貰うって言うのは?」

「それはダメですぅ。そこまで知っちゃうとぉ、行く意味無くなっちゃいますぅ」

「ですか」

「ですよぉ」


すっげえ悩むなあ、ちょっと時間貰えるかなあ?


「考える時間って貰えたりします?」

「いいですよぉ。」


「ワレこら!いつまでヤリよんじゃい!」

「ヒッ!?すいません!!」


ヤベエ!悩みすぎて、トワさんがまたビキビキになってらっしゃる!


「すいません!考え終わりました!」

「オドレ、考えるゆーてから長すぎるじゃろうが!」

「はい。すみません。お怒りお鎮めください」

「女の子を、待たせちゃぁダメですよぉ」


どうやら許されたらしいが、口調の高低差が激しすぎて着いていけない。ひとまず脇において、チートを貰えるか聞いてみよう。


俺の望むチートは、

レベル99

剣の才能

回復魔法の才能

水魔法の才能

空間魔法の才能

鑑定

異世界最強の剣と装備

状態異常無効化

だ!よろしくお願いします!


「無理…ですねぇ」

「無理…ですか?」

「完全に無理ですぅ」


くそ!無駄にかわいい声しやがって!見た目とのギャップで余計に腹立たしいな!

結局どこまでならオーケーなんだよ?


「タロウさんの容量でぇ、付与可能な能力を今のご希望からご案内しますねぇ」

「…お願いします」


せっかく異世界で最強の俺!って感じで行けると思ったのに。


「という事でぇ、タロウさんに付与する能力をご案内しますぅ。こちら!」


レベル99

剣の才能

回復魔法の才能(小)

水魔法の才能(微)

鑑定(食料)

健康体(小)

冒険者ザック一式(空間拡張微)

初級冒険者装備

騎士の剣(並)


「…微妙じゃないっすか?」

「素敵ですよぉ。容量の関係で、全ては叶えてあげられなかったですけどぉ、なるべくご希望に近づけたと思ってまぁす」

「…オマケ!オマケのチートは?」

「水魔法ですよぉ」


ショッパイよ!(微)ってなんだよ?!


「装備のオマケは?」

「兵士の剣(粗)からスーパーグレートアップ!ですよぉ」


最高だあ!やったね!こんなんチートやあ!ってならねえよ!


「帰ります」

「ダメですよぉ」

「説明聞いた後でも帰っていいって言ってたじゃねえっすか?!」

「もう、一回行くって言ったじゃないですかぁ?」


あっれえ?


「全然チートじゃないですし!」

「能力の付与ですよぉ?」


トワさん、目が笑って無いっすねえ…これは…


「ガタガタ言わずに早よ行けえやあ!」

「詐欺じゃねえか!クーリングオフを!クーリングオフを要求する!」

「うるさいんじゃ!行け!ビ~ン~ク~ノ~ド~ア~」


トワさんの、いや、トワが微妙なダミ声とイントネーションで呪文の様にピンクのドアを呼ぶと、ヤツの背後からぬるりとピンクのドアが現れ、こちらに滑る様に迫って来る。


「い、イヤだ!オウチに帰る~っ!」

「もう遅いんじゃ!そのドアはくぐると同時に世界を越えるっ!一度お前を素粒子まで分解っ!必要な能力を組み込みながら転移先世界で再構成するっ!」


ピンクのドアに食われる!なんとか逃げる事が出来ないかと、身体を動かしてみるが、これはどうしようもない。

のし掛かるようにドアが上から被さってくるのを、必死で手で押さえて抵抗する。

トワが近づいてきて、抵抗している俺の指を一本ずつ剥がそうとしてきやがった!


「ちょっ!やめろ!」

「安心せえや!死なんと言ったんは、ホンマじゃ!」


ああ、もう限界だ。


「クソがっ!信じるからな!お前、口調ブッレブレだからなっ!このデブっ!」

「ワレこら!二度目は無いけえの!」


尻に強烈な痛みと衝撃が走り、手が滑ってしまう。

振り返るとトワが明らかに邪悪な笑顔を浮かべていた。


バタン


「ぐべべべべ」


ドアが締まる音が聞こえ、俺は顔面から受け身も取れずに荒れた大地に突っ込んでしまった。

日本一有名なコンビニ入店音もなぜか同時に鳴り響いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ