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女神の作戦

平城たちの転生した世界で

テンセイヌは民家に落書きをしていた。

『魔王、平城参上!』と。


「ククク……あいつの評価を地の底に落としてやる」

与えた役割である、魔王として仕事をしない彼にテンセイヌはむかむかしていたのだった。


「あ、何してんだアンタ」

「ひィ!?」悪いことをしているところを女の人に発見され、テンセイヌはびっくりした。

「な、なんですか?」

「あっ、なんだこの落書き!」

「そ、それは……」

「っていうか、お前私をこの世界に転生させた女神だろ!あんた女神のくせになにやってんだよ!」


テンセイヌは、怒られる前に逃げようとしたが

「逃げんな!」

足を引っかけられ、転び。

「ちゃんと消せよ!」

落書きを消す道具一式を強引に渡されたのだった。


テンセイヌは落書きを消しながらぶつくさと呟いた。

「クソ……平城め……アイツのせいだ……許さない!」

落書きを消す作業をしているのは自己責任なのに責任転嫁していた。

「ッ!そうだ!」

思いついた!

平城の評判を落とす方法を!


翌日、早朝。

ちょっぴり牛乳に雑巾をこぼしてさらにドロドロな大便をかけたようなにおいがする宿屋で

テンセイヌはがたがたと膝を抱えて震えていた。

最近、勇者・魔法使いのコンビとして知名度を上げてきたマリアと久川の部屋での出来事だった。



「もお~!そろそろ元気出してって!」久川がポンポンとテンセイヌの肩をたたく。

「ひい!触るな!」怯えるテンセイヌ。

久川は、マリアをにらんだ。

こうなったのは、マリアのせいなのだ。


まず、テンセイヌが部屋に「勇者久川!」と声を張り上げて入ってくる。

そして、マリアが「侵入者じゃと!?」とテンセイヌを魔法使いらしく、魔法でボコボコにした。

以上が起きた出来事だ。


「ひぐ……ひぐ、あの、あのですね」テンセイヌは泣きながら用意してきた台詞を言おうとする。

「……ひら、ひらしろ、えぐっ、って、魔王……うぇ……」だが、怖さであふれる涙が中々止まらない。

鼻水もでてきてしまっている。


「あのさあ、無理して喋んなくてもいいんだよ?」

「ひらしろって、魔王・・・・・が」

「平城?最初にこの世界に転生させてくれた時言ってた魔王?」

「わ、悪い奴。ぶえっ。な、なの」

「知ってる知ってる、最初に言ってたじゃんか」


テンセイヌは涙ぐみながら、用意していたセリフを必死で言おうとする。

評判の勇者に、平城の悪評を流す。

すると、勇者を通して平城の悪評が民たちに流れていく……という計画を果たすために。

だがこうして涙ぐんで久川に心配されながらいると、自分が何をしているのかよくわからなくなってきて。


「うぇ、もういい……」テンセイヌは立ち上がって少しふらつきながらも部屋の外に出た。

久川とマリアに別れの挨拶もせずの行動であった。

「ひぐ、ひぐ、ひぐ」マリアに魔法を乱射された恐怖を思い出し、テンセイヌはまた地面を涙で濡らした。


――――――――――――――――――――――

久川たちのへや

「なんであいつ来たんじゃ?」マリアが言った。

「……さあ?」久川が答えた。


明日は生きていればやってくる。

それが良いことなのかはわからないけど。

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