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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
本編2 スキル剥がし編

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36.繋がりは外れない

お読み頂き有難うございます。ご評価、ブクマ、誠に有難うございます。

今回はアローディエンヌ視点に戻ります。

義兄さまが追い出された女子会です。

「……」

「ああっ、アロンさん難しいお顔をされていますね。まさかアレッキオさんに何か…」

「ごめんなさい、別に何も無いわ」


いや、そんな第六感は私には無いわフォーナ…。

離れている義兄さまがピンチに陥っていようが女に絡まれていようが知る術は無い。

モブだしな。

まあ、悪い予感は無いのだけれど…なんか悪どい事をしてそうよね、義兄さまは。

そしてレルミッド様とサジュ様にご迷惑を掛けていないと良いのだけれど。

まあ若干の心配と言えば……女官に絡まれていないといいんだけど。

まあ義兄さまの事だし別に浮気はしないと思うけど…。

ああ厳密には独身だから『浮気』じゃ無いんだっけ?

うん?浮気?

……何だこのイライラは。

…王城で緊張したから胃でも悪くしたのかしら。


今私はサルカニ合戦の館という全力でふざけた名前の建物…いや、コレッデモン王国の大使館にいた。

名前に突っ込まなければ若干ゴツくは有るが、素敵なお屋敷だ。

………入り口に臼が仕込まれてないかちょっと探したけど。


お風呂を頂いて寝間着を貸して頂き、フォーナと椅子でお茶を頂いているところだ。

そして貸して頂いたヴェールを被っているので若干飲みにくい。

…汚さないかヒヤヒヤするわね。


フォーナも勿論男装を解いて、お風呂上がり。

うーん、頬がピンクに染まり大変な美少女っぷりだ。

熱い飲み物をふうふうしている姿は大変庇護欲をそそるタイプの美少女だ。…流石主人公は違うな。

ロージアと違ってガン見しても苛立たないしね。って比べるのは失礼だな。

本当にちょっとアホの子だけど、可愛いわーフォーナ。可愛いんだからもっと可愛い格好すりゃいいのに。

モブの癖に寝間着にヴェールだなんて厨二病患ってる格好な私とは雲泥の差だわ。

……貸して頂いている身で贅沢ね私。でもこんな素敵なヴェールは私には勿体無さ過ぎる。


しかしスキルが剥がされるって大変なのね。義兄さまから聞いたときにもっと関心寄せれば良かったわ……。薄い反応で後悔している。被害に遭った方御免なさい。

でも、こんなもんで済んで良かったというべきなのよね。もっと酷い目に遭われた方もいるだろうし…。どんな被害状況だったんだろう。もっとちゃんと聞いておけばよかった。

…こんなに物騒な世界だと言うのに、平和ボケし過ぎね。長年培われた引き籠り気質が恐ろしいわ…。


でも……何故フェレギウス皇太子は私から奪うときにあんな申し訳なさそうにしてたのかしら。

眉を寄せて、泣きそうに潤んだあの灰色がかったピンク色の目が思い浮かぶ…。メイド服も思い浮かぶ…。女装男子に初めて出会ったが、似合ってたなあ。

フォーナも男装似合ってたし…血が繋がらないとはいえ、異性装似合う姉弟か、オイシイな…。

ってそうじゃないわ、何だかあの子、憎めないのよねえ。義兄さまは激怒してたけど。

まあ、考えても仕方ないわよね……。今目の前にいる訳でも無いし。

お風呂に入ってリラックスした時に考える事でも無いわよね…。


あ、お風呂だが、フォーナと一緒に入ろうと思ったらフロプシーが追い出した。

…何でや。

まさか義兄さまに何か言われたの?

いや、嫌いだからか?

本当に…どうしてこの子はフォーナを嫌うのかしらね。この嫌いっぷり……マジでどうしようもないな。

因みにフロプシーは水は平気らしい。気持ちよさそうにしてたし無抵抗だったし。

よきにはからえオーラすら放ってるしな…。もしかして元々が野生の動物じゃ無かったのかしら?

謎なウサギ?だわー。

この館の素敵で豪華なお風呂でも何時も通りもしゃもしゃ洗ってやったら大人しかった。

羽も触って大丈夫だったし。耳ぐらいだな、気を付けるのは。

今は乾かして、ブラッシングをしたらモフモフのフワフワ感が増して、私の膝で微睡んでいる。


「フニュギギゥ…」


うーん…頭から背中にかけてのラインが可愛いな。尻尾もモフッとしているし。

このどうやって生えてるのか分からん羽も畳んでると可愛い。

ペットもいいもんだな…。


「アレッキオさんも心配ですが、レルミッドさんもお疲れでしたね…大丈夫でしょうか」

「レルミッド様は心配だけど、それよりもサジュ様が心配だわ…。あのお二人を結果的には押し付けてしまって…。それにルディ様も…。…義兄さまは多分大丈夫でしょうね」

「ルディちゃんとレルミッドちゃんはー兎も角ー、サジュちゃんはー頑丈だからー大丈夫よー。アレッキオちゃんはーいいのー?贔屓してあげないとー泣くかもよー?」


マデル様がメイドを付き従えて微笑みながら入って来られた。

白っぽい紫の髪を降ろされて、私達と似たような柔らかいドレスをお召しの姿は…うーん美女だなあ。

どうしても豊かな胸に目が行ってしまうが…あ、フォーナもそうみたいね。

……滅茶苦茶涙目だわ。……分かるけどさ。特に私たちと違う前見ごろの布面積の多さ…。

有り体に言えば、でけえーの一言に尽きる。


「マデル様、ご歓待頂き誠に有難うございます」

「すごく気持ちよかったです!!」

「喜んでー貰えたー?雨のお花ちゃんのー明日以降のーヴェールはー何色がいいかしらねー」

「それこそ別に紙袋でも構わないのですけれど」


目だけ開けてな。

義兄さまが被るにはおかしいが、私なら別に構わんだろ…。

まあちょっと不審だけど、美形だらけのオーラに紛れて意外と目立たないだろうしな…。

何せ王子様と居ても目立たなかったぐらいだし。


「紙袋ー?それは普通にー人とー目が合うでしょー」

「あ、そうでしたわね」


…覗き込んでくる人もいそうだしな。

義兄さまとか義兄さまとか義兄さまとか。

しかし別にモブにそんなカラーバリエーションとか要らないのでは…。

そう言うのはミステリアス美女の担当よね…。

黙ってたら退廃的美女なんだから、義姉さまが被ってたらスゲー似合いそう。

…想像するとちょっと見たいな。

でも見たいとか言い出したらおんなじ格好しそうだ。

…面倒くさい展開にしかならない気がするわね。却下だな。


「あのあの!!お服に合わせるのは如何でしょう!!」

「それはーいいわねー。と言うかー何枚かーアレッキオちゃんからー届いているのだけれどー」

「…はい?」


何枚か?

義兄さまが?

ま、まあ服を届けて貰えたのは有難いけど…おんなじ王都内に居るのに、お借りするのは心苦しいし。しかしいつ手配したんだ。私が寝てた時か?いやでも此処に行くの決まってからか…。

……どういう伝達手段なんだ。


「明日のー雨のお花ちゃんのードレスとかーヴェールの御仕度がーさっきー届いたのー」

「……え、我が家からですの?」


……服は兎も角、ヴェールは何でや。よくウチにそんなものが有ったな。

あの家にそんなの被ってる人間居ないのに。そんな人居ても困るけど。

私は渡された鞄を開けた。

…軽いけどでけえな。

て言うか服なんか適当に1着でいいんだけど。どうせ明日は家に帰るんだし…。


サラサラした生地が指に当たる。

…あ、コレはヴェールか。薄い青い糸で刺繍のしてある白いヴェールだ。

あれ?この青に白いスパンコールだらけのもヴェール?

………真赤、かと思ったらびっしり刺繍がしてあるのもヴェール?


「……わあ、素敵なヴェールがいっぱいですねえ!」

「……多い!!」


10枚以上入ってんのかよ!!要らねえよこんなバリエーション!!

こんな沢山何に使うのよ!!売るのか!?

頭は1つしかないわよ!?全部巻けとでも!?


「ドレスもー10着ー来たわよー下着とかもー」

「何故!!一揃いでいいのに!!ああもう義兄さまの馬鹿!!

ああ、お受け取りのお手間をお掛けして本当に申し訳ありません!!」


しかもこれ+ドレス10着!?何時の間にそんな物が運び込まれてきたんだよ!!

何やってんの義兄さま!滅茶苦茶迷惑じゃねえの!!


「まあー普通ーだと思うけどー?ドレスを選んだりー着飾ったりーしたくないのー?」

「……特にしたくは御座いませんわね」


貴族の女の癖に…なんだろうけど、本当に興味ないんだよな…。

目の前にある服を着たらいいと思うタイプなんだよ……。

だってモブを飾ってどうなるのよ?派手めなモブが出来上がるだけだよ。

さっきまで着てたドレスだって…ああでもルディ様からはお褒めいただいたんだっけ。

但し義兄さまとお揃いじゃ無ければって言われたけどな。

ルディ様のあの笑顔にあの目、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いを地で行っていたわね。


小さい頃は義姉さまとお揃いだったし、特に抵抗も無く着てしまったが…。

今は私の服は義兄さまが殆ど選んでいるな…。

……まあ義兄さまもウキウキ選んでるし、私は楽だし…って、駄目だろ私!!女子力が無さ過ぎるわ!!


「私よりフォーナが着飾りましょうよ」

「あ、私は動きやすいのが好きです!」


……可愛く着飾ってイベントに挑む筈の…乙女ゲーの主人公の筈なのに、明るく拒否られたわ。

こんな所にもゲームシステムの崩壊が…いやもうゲームじゃないんだろうけどさ…。

まあ動きにくいの嫌だってのは分からんでもないけど。

私も貴族の女として育ってなきゃTシャツにジャージがいいわ…。

この世界にジャージ無いからもっと緩い既成服が欲しい…。

…まあ、緩い服も有るんだけどさ、この寝間着みたいに。

この前楽そうだからと家で昼間から着てたら義兄さまに剥か…いや何でもない。

思い出してなんかない。こんな健全な場所で思い出していい話じゃない。


「若くてー可愛いのにー貴女達はーちょっと残念可愛い子ちゃんねー」

「いえ可愛くは御座いませんが、ご期待に添えなくて申し訳御座いません」

「はううすみません」

「いいのよー。明日ーちょっとー私のー着せ替え人形ちゃんにーなってくれたらー」


え?

何だと?

着せ替え人形?どういう事?


「どうせー今頃はー恋を愛する女神の祭事の時期じゃないー?」

「何でしょうか、それは」


あの怖い顔の女神像を祭り上げるイベントが有るの?

……全く知らんかったな。

と言うかちょくちょく出てくるのね女神像……。

そんなにこの世界…いや国では重要なのだろうか。

それにしてはやたら道端に有るけれどな。放置されてんのか分からんような場所にも有った気がする。

路地の裏とか。


「ええとですね、この日だけは恋を愛する女神像前を早歩きで通り過ぎながらお祈りしたら、たまに愛が成就するかもしれないそうです」


フォーナが説明してくれたけど、何だそりゃ。

早歩きで通り過ぎる?立ち止まって祈るんじゃ無くて?

しかも、たまに成就するかもしれない…って…。

いやまあ神頼みとはそういうものかも知れないのだけれど…。

私の頭が固いのか?

…色々聞いてもこの世界の宗教観が全く分からんな…。

と言うかあの女神像直に見ても顔怖いしな…。単なる面白ネタじゃ無かったのね…。


「……ふわっとした日ね。休日なの?」

「いえ、普通の日です」

「それにーかこつけてーお店がー安売りしたりー、恋人達がーいちゃついたりーする日ねー」


えー何それ緩いなー。

現代日本のクリスマスみたいなイベントだわね。

……ああ、もしかしてコレが恋人たちの祭典?

しかし……聞けば聞くほど訳が分からんな…。今の所私には全く関係が無さそうね…。


「…変な日ですのね」

「まあーウチのー変人の日もー大概変だしねー」


マジで有るのかよ変人の日も!!

しかもコレッデモン由来だったの!?ちょいちょい放り込まれる日本昔話と言い、益々謎だなコレッデモン王国!!


「……それは何でしょうか」

「ええと、人じゃ無くなる……人が変わる仮装をして…何でしたっけ」

「獣人のー気分をー味わいましょうーって日ねー。

何でだかー死人のー仮装がー多いけどー。

変わる人の日でー変身の日からー変人の日ーにー変わったんだったかしらー」


変身と変人は大分違うと思うのだけれど!!

でもそれ……滅茶苦茶色々おかしいけど、ハロウィンじゃないの?!

しかも日本のハロウィンぽい!!

て言うか獣人!?

そんなのも居るのこの世界!!うわああファンタジーだ!!見た事ない!!見たい!!


「獣人…」

「数はー少ないけどーウチの国にもー何人かー居るわねー」

「まあ、お会いしてみたいですわ」

「まあー…見る分にはーいいけどねー…。ややこしいのよねー」


マデル様にややこしいと言われる獣人。

何か有るんだろうか。


「はわ、獣人さんはお見掛けしたことが有りますし、私のお祖父ちゃんもそうだったんですよ!」

「え!?そうなの?」


何と言う事だ新事実。

ケモナー属性迄有るのだろうか、フォーナは。何処まで積みあがるんだ、属性過多…。


「でもー変身はー出来ないわよねー?」

「はい、全く!」


え、そうなのか。ウサギ耳フォーナとか可愛いと思うのだけれど。

ちょっとガッカリしたけどしょうがないわよね…。

膝の上のフロプシーがもぞもぞしてるからついウサギ耳で想像してしまったな。


「そうなの…。でも、お祭りは楽しそうですわね」

「そうですね!お祭りで亡くなった方の仮装ですか?は大変そうですね」

「お陰でー其処らがー水とかー焦げとかー泥とかで汚れるのよねー。嫌だわー」

「ほ、本格的ですのね…」


水とか焦げ…!?

ガ、ガチの死人かよ!!しかも穏やかに死んでない感じの!?

そ、其処はふわっとでいいんじゃないの!?


「あの祭事はー滅びたらーいいと思うわー」

「何か嫌な仮装でも為さったんですか?」

「……騎士服」

「はい?」

「……軍の騎士服をー着せられたわー。幼馴染全員でー黒のー…」


あら、お珍しくマデル様の顔が赤くて可愛らしくていらっしゃるわ。

髪を下ろしていらっしゃるから少し幼く見える…。

……ええと、幼馴染が四人お出でなんだっけ。

皆さまサジュ様曰く美女なんだっけ。

その美女達の軍服だと!?

わあー……見てえ、滅茶苦茶見てえ。

ガン見したーい!!


「…まあ素敵。似合われそうですわ…」

「騎士様のお衣装なんて変わってますね」

「滅茶苦茶ー怖がられたわー。死体のお化粧はしてないのにー」


じゃあ単なる軍服コスじゃん!!

こんな美女のコスプレなんて…お金払って拝んでも見られない有難いものを何で怖がるんだ。

コレッデモン王国の人って罰当たりだな…。


「まあー私のーことはいいのー」


にこ、とマデル様が微笑まれた。

……何だ、この蛇に睨まれたカエル的な悪寒は。


「私にはーアホな母親のせいでー、一時期までーあんまり遊べなかった上にー、姉妹もいないのー。

だからー着せ替えっことかーしたかったのー」

「へ、へえ。そうなんですの…。マデル様の妹君がいらっしゃったらさぞお美しかったでしょうね」

「お人形もー好きだしいいのだけれどー、子供の頃はーお勉強ばっかりでねー。母親はー遊びまわってるのにー」


ちょくちょく親御さんへの恨み節が入られるな……。

そんなにお嫌いなのだろうか。

うん、滅茶苦茶お嫌いそうだな。


「可愛い子がーふたりもー居るんだからーかつてのー夢をー叶える機会よねー」

「……あの、アロンさあん」

「……フォーナ、貴女可愛らしいんだから是非飾って頂きなさいな。私には義兄さまから届けて頂いた服を適当に着なければいけない使命が有るから」

「そ、そんなあ!」

「雨のお花ちゃんもーアレッキオちゃんからー届けられた中でーおめかししましょうねー。」


何と言う事だ。

逃げられないの!?


……こうして私は、明日の朝フォーナと着せ替えさせられまくる運命を抱えてこの晩を過ごすこととなったのだった。

おおう。マジなのか。


「はうう……そう言えばアロンさん。装飾品は外れたんですか?」

「…そうだったわ」


そう、忘れてた!!

この頭を振ったり、動いたりするたびにシャリンシャリン煩い奴!!

装飾品よ!!

義兄さまに頂いた、アホほど多い装飾品!!

左耳にイヤーカフ…のようなもの。右耳にピアス。ネックレス。

左手に腕輪。右足にアンクレット!!


全部取れないのよ!!

アクセサリーをこんな力で引っ張ったら駄目だろって位、引きちぎろうとしても取れないの!!

仕方ないから付けてお風呂に入らざるを得なかったけど!!

どう言う事なの何なのよコレ!?呪いのアイテム!?

他のは…まあ我慢できるけど、問題はピアスとイヤーカフ!!

横向きに寝たら滅茶苦茶耳が痛くなるじゃないかあああ!!


何考えてんのよ義兄さまあああああ!!

まさかコレに盗聴器とか仕込んで無いわよねえ!?


呪いのアイテムです。外そうとすると有名な音楽が鳴った上に教会で大金を支払わないと解いて貰えないタイプを目指しました(笑)

実際はとある赤毛の人でないと外せません。

しかし、ピアスしたまま寝ると側頭骨に穴が空きそうな思いをしたことが有りますが、寝てる人は寝相が滅茶苦茶良いんでしょうか…。

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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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