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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
本編2 スキル剥がし編

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29.その視線に耐えられない

お読み頂き有難うございます。ご評価、ブクマも有難うございます!

マデルによるフォーナへの尋問が開始しますね。

会話は物騒です。

「蝶々ちゃんー、その綺麗なお顔で睨むとー怖いわー。フォーナちゃんが小刻みに震えてるわよー」

「舌切り令嬢、その呼び方止めて頂けますか」

「じゃあーアレッキオちゃんでー。私もーマデルでーいいわよー」

「……分かりました、マデル様」


……あ、超珍しい。義兄さまが敬語使ってる。オマケに素直に話を聞いてる……。超珍しいわ…。

槍が降るとか異常気象とか起こらないかしら。…此処異世界だし降るかもしれないわね。


しっかし本当に珍しい。

場合によっちゃあ、私の話ですら聞いた上で論破してくんのに。

……と言う事は、真剣にマトモなのか、はたまたヤバい人なのかもしれない。

でも義兄さま、基本ちゃんとする人にはちゃんと返す…時も有るからな。私の社交範囲では、ルーロ君とドートリッシュ夫妻…にしかちゃんとしてるの見た事ないけど。

……さっき現に騎士様方にぞんざいだったしな。

でもマデル様にちゃんとしてるってことは、年下だけでは無いのかな…。


「それで、綿毛神官、選んでいいよ。

気道の中から炙り殺されるのと、マデル様に舌を切られて風で切り刻まれるのと、其処の騎士サジュに切り殺されて運河に沈むのとどれがいい」

「ブギウグググ」

「ふひええええ!!!!!」


怖ああああ!!!

ひっでえ、その三択!!

デッドオアアライブじゃなくて、デッドオンリー過ぎるわよ義兄さま!!

そんな物騒な事を言いだしたら反対意見が……何てことなの、サジュ様迄も異論を仰らない!!

仕方ねーなーみたいなお顔されてる!!

そして何故フロプシーがご機嫌そうにたしたし私の手を叩くの!?嬉しいの!?酷いな!!

やっぱりこの子、人の言葉分かってるわよね!?ど、どうしてフォーナを嫌うの……。


ってそれどころじゃない。

…甘ちゃんかもしれないけど……フォーナが誘拐に関わってると決まったわけじゃないのよね!?

って言うかヒロインよこの子…と言いたいけど、ロージアと言う限度見本が有るからなあ。

……うう、何故此処は普通にヒロインがいい子だと、信じて暮らせる世界じゃないの……。


「に、義兄さま。お話を聞かなくてはいけませんでしょ」

「えー、別によくない?」

「いや、オレの正式な立場上一応聞いてから、処断しねーといけないし」

「私もー色々聞いておかないとー。無駄足踏むのはー嫌よー。こう見えてー令嬢だからー長く歩くのはー苦手なのー」


怖ああああああ!!!!

この3人、人をいたぶるのに…痛め付けることに全くの躊躇いがない!!

慣れてやがる!!!知ってたけど!察してたけど!!

目の当たりにすると超怖ーーーーー!!!!

恐ろしすぎて、背中と締め付けたコルセットの中が汗びっしょりなんですけど。

何故!?さっきまで未だ…物騒だったけど、お互いの雰囲気は和やかだったじゃない!!

何で私とフォーナ以外が殺意に満ちてしまっているのよ!?

そりゃ…私に向けられてはいないけれど、恐ろしすぎるわこの面子……。


「たたた助かる第四の道をお示しくださいいいいい!!!」

「じゃあー、きれいさっぱりー洗いざらいー、知ってる事をお話ししましょーねー」

「まあ、聞いてからでも遅くないですしね。

つかアレッキオ卿、一応オレ軍属だから目の前で堂々とした私刑は困るんだけど」


……うん、此処は乙女ゲーの世界じゃないのかもしれない。だが心を大にして心で叫ぶ!!

全年齢の乙女ゲーの攻略対象様が、私刑言わないで欲しいんですけどおおおお!!残酷担当は義兄さまだけにしておいて欲しかったなああああ!!

義兄さまに睨まれ、マデル様に微笑まれ、サジュ様に何の感情も浮かんでない目で見られ…フォーナが音を上げるのは早かった。

……そりゃそうよね。向けられてない私でも冷や汗でぐっしょりよ。風邪ひきそうよ。

私なら泣くわ。でもあんまり過去に涙出た覚え無いから、ギャン泣きは無理なのかもしれないけど……。


「アローディエンヌ、どうして汗かいてるの?冷えちゃうよ」

「あらー、空調が暑いー?」

「表情変わらねえけど具合悪いなら言えよ、義妹殿」

「いえ全然全く元気です。私の事は背景だと思って下さいませ」


アンタらがマジ恐ろしいからだよ…と素直に言えばスッキリするだろうか。義兄さまだけなら兎も角、とても言えんわ。

小市民根性がバリバリ出てしまうわ……。

でもこれ、命を守る上で大事な感性よね!!恐怖を大事に!!


「じゃあアローディエンヌの為にサッサと終わらせようか。焼いて刻んで沈めたらいいよね」 


増えとる!!!増やしとる義兄さま!!


「ふえええええ!!!神よおおおお!!!」

「フォーナ!!」

「ブギギギギギ!!」

「義兄さま元気ですったら!!止めてあげて下さい!!義兄さまくっつかないで!!」


フォーナを庇おうと手を伸ばそうとしたらフロプシーがダシダシ手を叩き出すし、義兄さまには後ろから抱えられるし!!

義兄さまに対抗できないのは兎も角、フロプシー結構力強いな!!

ウサギ?にすら負ける私って本当にモブ!!


「義兄さま!!離してください!フロプシーも落ち着いて!!

人前でくっつかないよう言ってますでしょ!!」

「いや、オレらの事はそれこそ背景だと思って気にすんな。

義兄ちゃんに抱えて貰っとけよ、義妹殿」

「そうだよアローディエンヌ。偶にはいい事言うね、騎士サジュ」

「そうよー、別に関係は知ってるしねー。アレッキオちゃんに凭れちゃいなさいなー」

「ご、ご無理なさらないで下さいーアロンさん!」


フォーナ迄!!涙でぐしゃぐしゃなのに、立ち直りが早くて貴女も怖い!!どうなってんの!?

あ、え、さっきマデル様何て言った!?

関係は知ってるって!?他国にまで知られてんの!?

この意味分からない爛れたような風にも見える関係が!?

嫌あああああ!!!嫌だ恥ずかしい!!恐ろしく恥ずかしい!!聞きたくなかった!!

そしてそんな豪華な背景は困ります!!話を聞いて!

後、普通に椅子の背凭れ有るのでそっちに凭れたいです!!


「取り敢えず茶でも頼んどくわ。そっから話そうぜ、ええと、フォーナ?」

「は、はいい……」

「いや、怯えんなよ。心配しなくても、今はまだ自白剤とか盛らないって!」

「ひぃええええええ!!」

「煩いし大袈裟」


自白剤に怯えるのは全然大袈裟じゃないわよ義兄さま!!私もフォーナと一緒に叫びたい気持ちで一杯よ!!

何なの王城って!私の思ってたのと全然違う!!

いや、この3人が極端に物騒なだけよね!?サジュ様も忘れてたけど戦闘狂がちょっと暴走しただけよね!?

ああ、お茶を頼みに扉の所まで歩いて行かれるそのお姿は、普通にイケメン騎士なのに…。


そして…フォーナの尋問が始まった。

……私が緩衝材になったからか、若干義兄さまの殺気が収まったわ。良かった……。


「それでー、身の上を正式に名乗って頂けるかしらー?」

「ええとですね、私は…お母さんが第四側室キャスでして、その、正義を掲げ携える御神神殿の神官なんです……。皇籍は抜けてます…」

「それはー、自分から出たのー?出されたのー?」

「ええと、よく分からない内に神殿にてお勤めをしてました。た、多分兄弟が多いのと、私お父さんの…皇帝陛下の実の子では有りませんので」

「…ひっでえな。じゃあフォーナは皇女生活でゼータクしてねえのか?」


サジュ様の言葉に、フォーナは紺色の睫毛をぱちぱちと瞬いた。

……美少女だな。と言うかサジュ様と一緒に居るのを見ると、寒色系統で色合いが合ってるな…。

レルミッド様とも色合い合ってたし…って私の萌えはどうでもいいわね。


「え、贅沢ですか…。皇太子宮殿の一角に居た事は有りますが…豪華なごはんでお母さんとお腹を壊しましたね。アレは困りました」

「そ、そう……それは辛いわね」


食べ慣れない物で体調崩したのね……。お母さんも庶民の様だし、大変だっただろうな。

しかし、困った内容が…イマイチシリアスでないのはフォーナの人柄なのか、ボケっとしてるからなのか分からんな。


「有難うございますアロンさん!でもですね!今は日々の糧が程々に頂けて健康なので、贅沢には代えがたい事だと思います」

「……ふーん、まあー苦労してきた感じねー。

喚き蝙蝠はー、ウチの国で食器の色が気に入らないとかでーテーブルの料理を全部叩き落としたからねー」

「……それ、マデル様だけの前でですか?」

「4人とも居たわよー」

「……あ、姫様は居なかったのか、良かったいや良くねえ。

その場に居なくて良かった、オレ…。聞くだけで内臓吐きそうになった」

「吐くなら血か胃液にしといたら」

「そういうの越してるんだよ、分かってくんねえかなアレッキオ卿……」


……凄いストレスって事かしらね。分かるわ……。

私もルディ様と踊ってる時、王妃云々の話聞かされて五臓六腑吐きそうになったし。

ああ、殆ど初対面の方々の人前で義兄さまに後ろから抱きかかえられてるのも、今更だけど恥ずかしくて吐きそう。


「ヒイイイイ!何て勿体無いことを!!私がその場に居たら即お掃除しますのに!!」

「ふうん、小間使いみたいな特技持ってるなら、アローディエンヌの役に立つかな」

「何かお困りでしたら是非どうぞ!!」

「……気持ちは嬉しいのだけれど、義兄さまの言う通りにしなくていいのよ、フォーナ」

「使用人は足りてるから大丈夫だけどー、もしもの時にはー頼むわねー」

「ハイ喜んで!!」

「まあー、ミーリヤが喚き蝙蝠を床と仲良しにしてくれていたからー、夜会は穏やかに終わったんだけどねー」

「マデル様、……逆恨みのような気が致しますわ」

「そうねー、私も罵っといたからー逆恨まれてるのー。だから私とーミーリヤの2人で来たんだけどー」

「……え?何故」


いや大人しくしておこうよ!!他の人が来ようよ!!

更なる憎悪を煽りに来たってこと!?何でよ!!


「堂々とー今度は返り討ちにしてあげようとー思ってー?」

「……」

「は、はわあ……」

「ツッコミてーのは分かるが、黙ってた方がいいぜ、フォーナ……」


サジュ様の言葉に、フォーナが口を両手で塞いでいる……。場違いだけど可愛いと思ってしまったわ。


「まあー、取り敢えずお話を続けましょうかー。お姉さんを止めに来たって行ったわよねー。どれ?」


あ、4人居るんだっけか?


「ええと、ファーレン姉さまです」

「あのファーレン皇女に何がー?ガチガチ真面目でー…まだあの中ではマトモだったけどー、融通が利かない割にーキレたら面倒だけどー」

「す、すみません…私もそんなにファーレン姉さまにお会いしたことが無くて…性格までは」


マデル様のご評価は散々ね…。

と言うかソーレミタイナの皇族はどうなってるんだろう…。


「ええと、先月にですね、ファーレン姉さまが神殿を訪ねて来られたんです。

それまで私はお祈りを捧げたりですとか、岩や石を運んだりですとか神官の勤めを」

「待ってフォーナ!」

「はい?」


岩!?岩を運んだ!?

待て待て待て待て!!何で神官が岩を運ぶんだよ!!

神官って、まさか運送業か建築関係の職業なの!?


「ちょっと待って。急に何故石や岩を運ぶのよ!?どういうことなの!?」

「た、確かに気になりすぎて入ってこねえな…」

「あ、はい。御神像を作るからなんです」

「御勤めの詳しい内容はーいいわー。何でファーレン皇女がフォーナちゃんにー会いに来たのー?血は繋がってないのよねー」

「は、はい」

「貴方がたってー、同母のごきょうだい仲はいいみたいだけどー、違ったらー他人以下の関係だって聞いたけどー?」

「はわ、よくご存じで………」

「ふーんー、フェレギウス皇太子とは同母なのよねー」

「人質にでも取られたんですかね。お家騒動なんか相手を殺して取り返せばいいのに」

「そうねー」


義兄さまは頭が切れる癖に、本当にやる気ない!!挙句物騒!!



その時、ノックが響いた。誰かしら。


「お待たせ致しました、お茶をお持ちしました」


ああ、王城の使用人みたいね。


「取って来て、綿毛神官」

「はわ、はあい!」

「いえ、お話の途中ですから私が行きますわ」


何の役にも立ってない、合いの手入れるだけの無能なギャラリーだしな。

せめてお茶汲み位やらないと。


「義兄さま離して下さいな」

「えーやだよお」

「義兄さまにもお茶淹れますから」

「じゃあ離すう。えへへー僕の為だけにだよねえ」

「違います、皆さんにです」

「ぶー」

「ブギュル」


面倒臭いわね義兄さまは!でも……取り敢えずこんなもんで済んで良かったか。本当に面倒だわ。

何だか、この頃義兄さまの我儘がパワーアップしてきてんなあ。

甘やかさないようにしないと…。

私はフロプシーを義兄さまの膝の上に置くと、立ち上がった。


「はい、今開けますわ」

「失礼致します」


王城の使用人は、ウチの使用人に負けず劣らず気配が無いな……。そう言うものなのかしら?


で、扉を開けた所には騎士様が居たけど、私が出てきて吃驚したようだった。

すんません、出て来たのが私みたいなモブで。


騎士様方の傍に居たのは、ティーセットが載ったワゴンを押してきたらしいクラシカルなメイド服のメイドだった。

可愛いな、褐色の肌のメイドさんとか超異世界って感じ。ウチの使用人はじっと見ようとすると、途端に気配消すのよね…。何でなのかしら。


「!?待ってアローディエンヌ、フロプシーを」


後ろで義兄さまの声が聞こえるけど、いや、見えてるでしょうに……。

過保護だな……。

此処に騎士様方も居るでしょうよ。


「何を気にしておいでですの、義兄さま」

「……ごめんなさい、助けてもらったのに」

「え?」


そっと、背中に何かが触れる。

触ったのが使用人…メイドさんだと言う事は分かった。

何!?


「お前……アローディエンヌ!?」


義兄さまの焦った声が聞こえる。


その時、体のど真ん中に…探られたような違和感が奔った。

何?何これは……。


「……な、に?」

「ごめんなさいっ!!」


メイドさんの目が、涙で濡れている。

その目は……薄い、灰色がかったピンク色……。


「き…みは……」


あの目は、見たことが有る。

見たことが有るんだけど……君、確か……男の子だったわよね?

え、何でメイドの格好?いや、可愛いけど…似合ってるけど……。

私が混乱して、彼の顔をじっと見つめてしまった。

さぞかし間抜け面だったことだろう。


そして、ばきり、と…お煎餅を割るような音が聞こえた。

あ、クッキーとかの方が喩えとして良かったかな……。

私ってこう、ファンタジーの住人として…自覚が……。



意識が有ったのは其処までだった。


ピンク色の頭か目を持った人物が出てくると、大体ややこしい事になるのは拙作の仕様です。


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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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