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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
本編2 スキル剥がし編

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9.騎士様からの忠告

お読みいただき有難うございます。

悪役令嬢に閉め出され、廊下に出されたサポートキャラ、騎士、崖っぷち夫人の会話です。

すみません、何故か途中で投稿されていました。

お詫び申し上げます…。


外では何だか空がゴロゴロ鳴っている。

閉め出された扉の前で私達は暫く立ち竦んでいた。


しかし、やりあうって…一応暴力沙汰は禁止しといたし、

口喧嘩なら別に私達3人を閉め出さんでも良くない?

よく考えたら…何で閉め出されたんだろうな、マジで。

悪巧み?

いや、あのメンツ的には無いわね。

義兄さまだけなら兎も角。


しかし廊下で突っ立ってても地味に肌寒いわね。

オマケにドートリッシュとサジュ様が居られるし。


「ええと、それで…どういたしましょうか。

何かご用意しましょうか?」

「あー…えっと、うん…」

「サジュ?」

「ああ、すまん姉さん。…あの二人が微妙に心配でな」


……流石に殺人事件が起こらないと信じたいんだけど。


「若様なら負けないと思うのだけれど、二人掛かりだものね…あの赤フードも何か只者じゃないわ」

「え、分かるの?」

「見た目はギャンギャン煩いですし噛ませ犬っぽいのは分かりますけど、王子の横に居るってだけでおかしいですわ」


そんな滅茶苦茶な理論…。

中々力押しな考え方ね、ドートリッシュ。

そして凄く失礼だわ…噛ませ犬って。


「アローディエンヌ様、此方へ。別室にお茶のご用意を致しております」


あ、忘れてた。

……気配を無くすのに徹底し過ぎじゃないかしら、ウチの使用人。

て言うか義兄さま何時頼んだのかしら。



「……でもなあ、オレ別に義妹殿に聞くことねえんだけど」

「何でよ。騒ぎの事は?」

「いや、アレッキオ卿が報告してんだろ?…二重に聞いてもなあ」

「当事者の意見も大事だと思うわよ?私は頭に血が上ってたからサッパリ忘れたけど!!」

「ハナから姉さんの細かい記憶はアテにしてねえって…」

「滅茶苦茶失礼ね!!」


何と言うか、打てば響くと言うか、ポンポントークが後方上部で弾んでいるわね。

よく見ると…確かに顔は似ていないけど、雰囲気がソックリだわ。

それにしても何故か私が使用人の後に続き、先頭を歩くことになってしまったわね。

…まあいいか、一応この家の者だし。

ちょっとは貴族らしくしないとな…。

遥か昔に習った貴族の習慣を思い出せ私!


「それにしても此処も広いお部屋ですわね!!高そう!!」

「此処が一番狭いらしいわ…」

「筆頭公爵の家ってスゲーんだな…」



使用人が案内したのは一番手狭な客間だった。

ここの色調は淡いのよね。

壁が薄いブルーで調度品が白。

ちょっと可愛い感じだけど…誰の趣味だったのかしらね。

エピソードも由来も知らんな…。

まあ…確かに大きい部屋よね。

他所の貴族の家にお邪魔したことが無いから…貴族レベルでは分からんけど。

前世は庶民だったからそのレベルで考えると、ひっくり返りそうな位にでっかいのは分かる。

幼少期に考え出したら熱出したし、考えないようにしてたけど。

……あの時現実逃避せずに、もうちょっと世間ってものを学ぶべきだったのよね。

積極的に外に出るとか…出されなかったけど…。

ううむ、考えれば考える程私の今までの引き籠りライフに隙も突破口も無かったな…。


「どうぞ。お楽になさって下さいませ」

「うーん、無理だ…」

「無理ですわね!」

「そ、そうですか…」


取り敢えずお菓子を勧めたら、そっちは遠慮なしに食べてくれた。

……この姉弟、胃袋から和ませた方がいいみたいね。



「それにしても驚きましたわ、ドートリッシュの弟ぎみがサジュ様だなんて」

「オレも驚いたな」

「世間って狭いわよね」


予想以上にね。

もしかして、実は私の知り合いか血縁で溢れていたりするのかしら。

まあ…そんな訳無いか…。


「でも、前から疑問だったが…義妹殿は何でオレの事知ってたんだ?」


サジュ様の、秋の木の実のような赤茶色の瞳が私に向けられる。

うっ、見つめられて嬉しいけどそうじゃないわ。

……此処は慎重に答えないとな。

サジュ様は騎士…つまり、警察のような事もなさっておられる筈。

そんな人にアタマおかしい人扱い…駄目だわ。

心がとても耐えられないわ。


「ルディ様にも申しましたが、……ロージアに、協力を致しておりましたの」

「あのチンピラに!?」

「姉さん声がでっけえよ。そんで?」

「ええ、知り合ったのは1年半ほど前でしょうか」

「まさかチンピラが家に押し入ったんですの!?」

「い、いえ…。

偶々外出していたお菓子屋さんで普通に会いました」


ゲームのチュートリアルの流れでな…とは言えないな。

て言うかロージア、人んちに勝手に押し入るような真似すると思われてるのか…。それどんな強盗だ。

ドートリッシュの呼び方がチンピラなのはそのせい?

一体何をしたの、ロージア…。

いえ、彼女が大分非常識なのは分かってたけれど…。


「そんで?恋愛相談って…オレの?」

「……言いにくいのですけれど、サジュ様、ルディ様、レルミッド様とウ…」

「?」

「た、旅の方らしき方…」

「誰だそれ」

「……わ、分かりませんわ…」


危ない!!素直にウォレム様って言いそうになった!!

ヤバいヤバい!!その名前は流石にヤバい!!

現国王陛下にキャアキャアと小娘が掌で転がすような手伝いをしましたなんて!!

ルディ様より不敬罪が近い!!


……いや、でもどうなんだろう。

小娘の妄想で終わりそう?

……何か物理的にした訳じゃ…無いし…。


「……よりによってその面子ですの!?

あのチンピラ、予想以上に趣味が悪いわ」

「オイどういう意味だ姉さん」


ええーそんな事は全くないわよー。

皆さんイケメンだし…中身は大分…丸ごと違う方もいたけど。

それも何て言うかスパイスって言うか…。

まあ、モブによる他人事だけどな。

他人の恋愛を応援するの超楽しかった…僅かな間は。


「……それで…友達だったので、恋愛相談をしていましたの」

「知らん人とのか?よく出来たな」


うっ、そう言われると知らん人でもないのだけれど。

どう言ったもんかな…。

サポートキャラになってヒロインを応援したかったですってそのまま言う訳にもいかんし。

流石に面と向かって頭おかしいのかって思われたくない…。


「……その、憧れていましたので、

そういう…女の子同士のお喋りを」


く、苦しいかな…。しかも若干ニュアンス違うし。

…嘘つけえーって私なら突っ込むレベル…。

でも間違っては無いんだけど…大きな括りで見たら。


「何て不憫な義妹姫様!!」

「……うーん、本当にそれだけなのか?」

「え、それだけ…ですか?」


ドートリッシュは納得してくれたみたいだけれど、サジュ様は無理か…。

……好みの色とか会話の流れとかは示唆したけど…。

会話の流れは兎も角、他はよく考えれば別に私に聞かんでも察したり、他の…例えば、攻略対象の友人なんかに聞けるような内容ばっかだからな。

……一体、何がいけなかったんだろう。

……会話の選択肢のヒントを教えたのが駄目だったのか?

って…実際普通の会話に選択肢なんか出たこと無いからな…。

ますます胡散臭いわね。


悩んでいると、サジュ様はニッと笑った。

え?何!?

普段爽やかでらっしゃるのに

ちょっと悪そうな笑い方になるのカッコいいけど!


「……まあいいか」

「え?」

「オレ、あのロージアって子にそんなに遭ってないんだよな。

姉さんが突き飛ばされたりしたから避けてたし」

「え、ええ!?」


ロージアがドートリッシュを突き飛ばしたァ!?

な、何それ!?聞いてないわよ!!

あの子、傷害まで!?

あ、でもさっきルディ様が毒がどうとかって…。

自分に疑惑が来たのが驚きすぎて流してしまったけど

おいおいおいおい犯罪じゃないの!!

ロージア、何してんの!?


「だ、大丈夫だったの!?怪我は?」

「ご安心くださいな!!結局自分で階段に飛び込む羽目にはなりましたけど、あのチンピラには全く傷つけられていませんわ!!」

「……え?ええ?」


え?何?どういう事?

階段に飛び込んだってどういう事?

それは落ちたのよね?

普通にそれ…重傷よね。


「…結局怪我をしたの?していないの?」

「ちょっと頬っぺたを打ちましたわ!」

「……え」

「……ウチの姉さん頑丈だから」

「アンタだって普通に頑丈でしょうが!!」


頑丈は普通ではないわ…。

……うん、きっとこの姉弟が規格外なだけよね。

きっと普通の人なら怪我をする案件なのよね?

……そこまで世界がぶっ飛んでると思いたくないな。

階段から落ちて頬っぺた…で済んだのも、運動神経が良かったからとかかもだし…。


「……まあ、兎に角、義妹殿は一名除いてそんなに影響力が無いのは分かった…」

「はい?」

「何?サジュどういう意味よ」

「あの…チンピラ?みたいに犯罪犯しそうなねーちゃんじゃ無いって思ったって意味だよ」


ロージア……攻略対象に犯罪犯しそうなねーちゃんって思われてたのね…。

自業自得とはいえ…何か、どうなのかしら。


「う、嬉しいですわ…」

「いや、こっちこそ疑って御免な」


良かった…果たしてボケッとビクブルしてただけだったし、何が良かったかは微妙だけど…。

犯罪を犯しそうな疑惑は少しは晴れたのね。良かったわ…。

でもまあ、未だルディ様とレルミッド様のお考えは…どうなっているかしら。


「サジュ、あんた迄義妹姫様を疑ってたの!?」

「此れがオレの仕事なんだって姉さん」

「ドートリッシュ、その通りよ。騎士さまは国の治安を守ってらっしゃるんですから」

「……あぁ、まあ、な。

…侭ならねーいけすかねー事も多いけど」

「……?サジュ様?」

「いや、何でもねーよ、義妹殿」


若干暗いお顔ね…。


「それよかさ、義妹殿って何か希少スキル持ってるんだってな…」

「え、ええ」


魅了無効のことかな。

さっきの恋の相談役とかってそんなに重要でもなさそう。

…まあ、魅了無効も対して役に立ってないけどな。

義兄さま以外には。


「えーと、新聞にも載ったんだよな…。

あー魅力殺しだっけ?」


微妙に惜しいわ…。

何か日本酒の名前に有りそうで…無さそうね。

読んで字の如くなら魅力を殺して回る人…かしら。

…何気に大変そうなスキルね。


「ハアアア!?違うでしょ!!

あんた義妹姫様をダサいって言いたいの?!」


私がポカンとしている間に、ガコッて音がしてサジュ様が脛を抑えていた。

位置からしてドートリッシュがサジュ様に蹴りを入れたみたい。

ってえ!?蹴り!?蹴ったの!?


「痛えええ!!!」

「滅茶苦茶失礼よ謝りなさいサジュ!!」


い、痛そう…。

て言うかこの姉弟、たまに男兄弟みたいね。

仲がいいのは分かるけれど。


「え、あ…いや、すまん!?」

「あんたねえ!!

だからモテないのよ無神経な事ばっかり昔からあ!!」

「ド、ドートリッシュ落ち着いて…」

「いいえ!!いけませんわ甘やかしては!!

此処で身内がドツいておかないと、調子乗って女の子に物理で叩きのめされるんですのよ!!」


…物理で叩きのめすの?騎士様を?…女子が?

…そんな実力の女子はそうそう居ないのでは…。

いや、姉のドートリッシュが言うならそうなのか?


「コレッデモンの常識押し付けんなよ姉さん…。

ここの女子はまだ大人しいって…」

「確かにチンピラは物理的にはまだ弱かったけどね」


ロージアより?

まあ、パラメータ上げサボり倒してたから物理的には普通の女の子…寄りよね。

普通の女の子のパラメータは知らないけど、かけ離れては居ないだろう。

最初からチート設定も無かったしな。

…中身は兎も角。


…それにしてもコレッデモンの女子って…どんななのよ。

ゴリラっぽい力に溢れた女子の国か何かなの?

聞きたくないような聞きたいような。


「って話が進まんな。

オレが言いたいのはさ、この頃スキル剥がしって犯罪流行ってるの知ってるか?」

「え、ええ…新聞で」


急に私の方をサジュ様が見てこられてキョドってしまった。

す、スキル剥がし?

義兄さまが新聞読みながら言ってた奴よね。


「えっと何だっけ…魅力…魅了無効?」

「え、ええ…」


ドートリッシュの目に怯えながら、サジュ様が話し出す。


「何気に義妹殿の名前、希少スキル…つまり犯罪に遭いそうなリストに入ってたの見たからさ」

「ええ!?」


……嘘お!?

わ、私が?


「何か、5000年だかに一度見つかるかどうかのスキルなんだろ?」

「……ええ!?聞いたこと在りませんけど!?」

「凄いですわね姫様!!」


て言うかそんな前からこの世界で文明が有ったの!?

凄いな異世界!!

…古文書とかに載ってたとか!?歴史に載ってるの!?魅了無効が!?

…ええー急に壮大になって来たな…。

話題になってもすぐさまブーム終わったし

全然役に立ってる覚えも無いし、持ってるのが私だと言うのに。


「あれ、違ったっけ?50年に一度?」

「急に短いじゃないの!!」


急に期間が狭まったのね。

いや、それでも普通に希少っぽいけど。


「まあ、取り敢えず…今までの被害者は急に攫われて、通りに放り出されて、って場合が多いから気を付けろよ」

「は、はあ…お教え頂いて有難う御座います」

「まあ、義妹殿の場合、普通にお嬢だし、身代金目的でも誘拐される可能性高えけどな」


……そうか、案外私って、フラフラ出歩いてるとヤバいんだな。

引き籠ってるのが地味に今まで役に立っていたのか…。


「脅すんじゃないわよ、サジュ」

「脅してねーよ。案外話すと普通だし、常識無いわけでもないし、別に怯えてもいないだろ」

「……私って世間的に何だと思われているのでしょう」

「んー?何かこう…怖めな話に青くなって、ひっくり返りそうな?」


……いや、そんな純粋培養な…育ちなんだろうけど、私中身三十路以下略だし。

犯罪の話きゃあん怖ーいとか言ってたら、本も読めないし。

それにこれでも悪役令嬢義兄さまの義妹やってんだからな…。

義兄さまはなるべく私からエグそうな話を隠そうと…この頃はしなくなったし。

まあ、色々隠してはいるのは確実なんだろうけど。

私もショボいにしろ隠し事色々有るから…お互い様だしな。

サジュ様が首を傾げながら言ったその時雷がゴロゴロ鳴ったのが響いた。


「わあ!!」

「うお!!」


おお、デカい音だな。

この世界って避雷針とか無さそうだから火事にならなきゃいいけど。


「近くに落ちましたわね」

「……普通のか弱いご令嬢は、雷でビビるんだがな。

もしくは腹黒い女なら、近くの男に抱き着こうとするぜ?」

「まあ、それは周りにも迷惑なことですわね」


雷如きで騒いだり抱き着いたりそんなことしてたら、動きづらくてしょうがないな。

仕事にならんじゃないか。…あ、今私仕事してないけど。

そう思ってると姉弟はおんなじ表情で私を見て来た。


「……姉さんと違って筋金入りのお嬢なのに変わってんな、義妹殿」

「動じなさがカッコいいでしょ!!何時も穏やかだし!!」

「姉さんが何で威張るんだよ。姉さんはもうちょっと見習え」


……あら、サジュ様に少しは気を許して頂いたのかしら?

ちょっと雰囲気が…緩くなった気がするわ。

前の話よりは若干緩いですね。

コレッデモン王国の話がちょっと出ました。


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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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