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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
本編

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6.『義姉』との関係

お読みいただき有難うございます。

大きくなった悪役令嬢が出てきました。

すみません、途中で投稿されていたようで、差し替えました。

そんなに話の展開は変わっていませんが。

此処はアローディエンヌこと私の自宅。ユールの家。

私の定位置は自分にあてがわれた部屋。

ゲームで主人公が訪ねてくると、長椅子に私は座って主人公とお話をするんだね。

まあ、そういうスチルが有るんだわ。序盤にね。

今だと3~4か月前になるかな?

まあ、スチルの現場に居たから、主人公ロージアを眺める位しかなかったんだけどね。


あの時は楽しかったなあ。心躍ったなあ。

……ちょーーっと季節が変わっただけなのに…。


今この時期に、バッドエンドフラグを踏みそうなロージアを…ハラハラドキドキイライラビキビキ見守る羽目になるとは思わなかったわ…。



で、そんなゲームが始まって序盤~中盤に差し掛かる今日。

外部から誰も訪ねて来ない…つまりロージアが訪ねて来ない、今…。

私は他の訪問者を迎えていた。

と言うか呼びもしないのに勝手に来たんだけどな。


普通、長椅子に並んで座るなら、拳一個分位は隙間を空けると思うんだ。

パーソナルスペース的にね。

気心が知れててもね。

普通はね。

肘が当たらない距離感って心の平安を生むよね?


今、私の横には…短く切られた、赤いフワっとした髪の貴公子が座っています。

座るだけならいいよ。

すっげえ近い。

いや、最早くっつかれている。べたーーーっとずーーーーっと。

暑くないのか?

私はとっても季節がらも有って今暑いんだけど。汗かいてきたんだけど。


そんな気持ちを込めて…避けようとしたら詰めてくる。

寄ってくる。凄く寄ってくる。

……諦めるしかないよな、長椅子の端に追い詰められてはさ。

お陰で今私はわずかな身動きすら取り辛い。

私の服は彼のお尻の下やら足の下やらにがっちり敷かれている…。

物理的に逃げられないんだけど…。動きづっらあ!!


そんな苦行を人に強いておいて…彼の人の唇は楽しそうに動き、薄い、青い目は澄んでいて甘く微笑んでいる。

……うん、まあ…黙って座ってれば甘い耽美な美形だな。

すっごくデレデレしてニッコニコしてる。

ゲーム中では全く見た事ない表情だけど、今の私にはすっげえ見慣れている顔…。

寧ろ一緒に住んでいると言うのに、ゲーム中の表情にお目に掛かれていない…。

その顔に、シリアスが居ない。



「美味しいねえ、アローディエンヌ」

「義兄さま…カップケーキがついてますけど」


はい、義兄さまです。

私の前世の推し、バッドエンドの裏ヒーローですよ!!

裏ヒーローなんですよおおおお!!!

…いかん、自分でも凄く信じられないわ。間違いなく本人だと言うのに。


……まあ、大体想像つくよね。私を訪ねる人なんてさ。

私は仕様・引きこもりのサポートキャラなんだから。

悲しい事にね。人脈を築く余裕もへったくれも無かったのよ。

友達百人出来ないよ…と言うか人の忠告効かないロージアしかいないよ。

しかももう一人は身内…本当に虚しいな。


まあ、私はサポートキャラ業務に就く前に、ゲーム始まる前即ち幼少期この人に、ずーーーーーっと張り付かされる業務を請け負わされていたのよ。

何か有ればすぐに駆け付ける日々だったからね。

一時は某セキュリティサービスとタメ張れるくらい出動して、運ばれたり走らされたりしてたよ。

主に、家の中でな。

廊下を走っちゃいけませんって言う標語はこのユールの家には無いのだよ。

代わりに、『客の見えないところで廊下は走れ』と言う使用人の標語なら有ると聞いて愕然としたわ。


まあ、どうしても外せないお誘いとかで、外に連れ出された時もちょっとだけ有ったけど…。

外は困ったわ…。

あれは常に腕に貼り付かれてたからな。

最早もう暑かったとしか記憶にないわ。

多分、この家に引き取られてから、自前の汗と義姉の涙鼻水その他塗れになって生きてきた気がする。


そして……私が努力して、我慢して、忍耐を重ねた結果…。

何と!6歳の砌!

義兄は自分の力で魅了を抑えられるようになっていました!!

犯罪を誘発するような無自覚の無差別魅了は封じられるように!!

二度見されてガン見されてポーっと観られるくらいに落ち着いた!!

実害が無い!!

これでただの凄く美形な男子として、いや、凄く美貌の女子として!!

普通の生活が送れるようになった!!

目出度い!!


そして、何と!!私が居なくても外出が可能!!

おひとり様で令嬢教育受け放題!!あ、令息教育も受けてたんだっけ。

とにかく凄まじい速さで色々モノにしたらしいよ!

流石!ハイスペック極まりないね!!悪役令嬢凄い!!


…まあ、それでも何かの有事の時の為に私は家にずっと置かれて、

義兄の精神安定剤係として張り付かされる業務は続いたんだわ。

…魅了抑えが出来るようになる前と何が違うって?

四六時中呼ぶ→暇な時間は張り付かれるくらいに変わったよ。

…そんなに変わってないじゃんとか思うよね?私もそう思う。


そして!!

何故か!!

何時からか!!

義姉は私の前で義兄としてしか振舞わないようになっていました!!


何でや。

おかしくね?

…解せぬ。マジ解せぬわ…。


「取ってえ」

「……取り、ますけど…」


最早恒例行事となってきたわ。

いつも通り、使用人から濡れハンカチを受け取って、私は義兄の顔を拭いた。

何処をどうしたらこんなに顔じゅうに付けるんだよ…取れないな…。

いい歳の大人の男がどういうことだ。

仮にも令嬢教育と令息教育受けてんだろ!?

何で溢すんだよ!!カップケーキ位ちゃんと食えよ!!


「優しくしてー」

「してますでしょ…。」


私の想いがハンカチを握る手に込められてしまった故、つい義兄の頬をぐりぐりしてしまった。

意味が分からないわ、何ニヤけてんだ。

まあ、昔みたいに泣かれるよりは……ってこの歳で泣かれたらたまらんわ。

この絶世の美女…いや、耽美な美形の見た目の義兄がギャンギャン泣くとか、考えただけでげんなり来るわ。

もし泣くならもっと萌えるように泣いてほしい。

見た目は推してるんだから。


…妄想に浸ってる場合じゃないわ。

…おかしい。ユールの家に引き取られて何年も経つが、

私は義兄…いや、義姉と全く仲違いしていないじゃないか。


例えば、学園から帰ったであろう義姉さまを…廊下で赤い髪をチラッと見かけたとする。

まあ一緒の家に居るんだからすれ違いもするさ。

後、声を掛けないと煩い…いや、家族としてね、当然だからね。


「義姉さま…?」

「僕に用ー?アローディエンヌ?」

「あ、…義兄さま」


『義姉』を捕捉すら出来ないのはおかしいだろ。

学校から帰って来たんだから、義姉の筈なのに。

義姉と接触したと思っても、必ず義兄としか接触しない。

…どうなってるんだ。隠れ蓑かステルス機能でも持ってるのか。

…このハイスペック義兄ならやりかねないけど…何の為だ。

意味が分からない。


これでは義姉と仲違いしようがない。

だって、ずっと義兄だから。

…何でや。考えてもややこしいな。


幼少期のとある日から、私は『義姉』と話していない。

学校へ行く前からだ。この何年か、ずっとそう。

異常じゃないか?


ユールの家は、王族に繋がる家だ。

だから、外部からたくさんのお客様を迎えているのは知っている。

でも私は昔から、よっぽどのことでもないとそんなお客様の前には出ない。出されない。

私は『義姉の精神安定剤係』だから、私に何かあっては…つまりうっかり死んじゃったりしたら、義姉を抑えられる人間は居ない。

絶滅危惧種扱いされてたからな。

因みに未だに私もご同輩つまり『魅了無効持ち』にお目にかかった事は無い。

意外だわ。

絶対その辺に一杯潜んでると思ってたわ。

て言うか学者だったか医者だったかの力説を疑ってたわ。

でも謝らないわ。5回位採血失敗されたのを未だに恨んでるからな。


で、まあ便利な私を身勝手に、都合よく扱おうと考えちゃったんだろうな、義両親は。

お陰で私は怪我をしないように病気をしないようにと…大して何処にも出されずに、隠してないけど隠されて育てられましたとさ。

家で義兄に振り回されてるので全然隠れて無いけど。

そして義両親にはお役立ちだと感謝もされてないし、とても放置されていたよ…。


だから、私はこの家に居るようで、居ない。

それが義姉が魅了封じ出来るようになってからも、ずっと続いており…家人以外は…つまり客である人達は私達『義理の姉妹』が一緒にいるのを見た事が無い筈だ。


変な噂話にでも発展していそうだな。

どうしよう。

『義妹の方って妄想逞しい変人に成長してるわ。

あれじゃあ人前に出られないわクスクスギャハハ』とかって勘のいい人が気付いた挙句噂を流されてたら。

本当の事を噂されてたら誤魔化しようが無いじゃないか…。

ゲーム知識のみ引っ提げて鳴り物入りで生きてるつもりだけど、

世間知らずに育ってしまったから、噂も確かめに行けない。

でも本当に言われていたらショックだから確かめに行きたくないな。

あーあ家からあんまり出れないだろう仕様が憎いなー。

そして立派な世間知らずの引きこもり=私が出来上がったと言う訳だ。


…ちょっと自分のせいもあるんじゃないかって?

…いや、きっと仕様なんだ。そうに違いない。そう思いたい…。

そうだそうだどういう現実なんだー。

そんな展開聞いてないんですけどー!?

もっとサポートキャラに関心を持って設定資料集書いてよ!!

光を当てとけよ!?

……ダメだ、最近本当にゲーム知識が役に立たない。

主に自分に対しては全然役に立たない。

義兄に関しても全く役に立たない!!

…昔からか。もーーー!!!


……憤ってもしょうがないか。

だってロージアだって話聞きやしないから、上手くサポートできないんだし…。


傍から見たら義理の姉妹が仲違いしていると思われても仕方がないのかな。

だからゲーム中で『義姉の話』がきょうだいの割にサポートキャラから出なかったのか。

義兄と義姉は同一人物だけど…ああややこしい。

ここでは悪役令嬢らしく無いんですが、外では悪役令嬢しています。

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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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