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2.悪役令嬢である義姉の未来はこんな感じ

…一晩でたくさんの方々にお読みいただいているようで…。

悪役令嬢の魅力の凄さに驚愕しています…。

私も好きです。ツンデレ美少女お嬢っていいよね。

拙作の悪役令嬢は今5歳なのでツンデレしてないけど。

何て言いましょうかね。義兄にも義姉にもなれるんですわ、この人。

雌雄同体ってのも違うし、両性具有も違うし……。

物理的に男女変えられるんですわ。

まあ、厳密に言えば、現状は未確認だけど。

今この5歳とはいえ、義姉の服剥いて確認できる訳じゃないから……。

未来はそういうもんなんです。多分。


名前は『夢喰い蝶』って言う種族なんですってよ……。

ちなみに、蝶々と付いてるけど、別に背中に羽は生えてない。

何で蝶々なんでしょうね、そういうもんなんだって。


……知らないよ、只今4歳児なんだから……。

そして設定資料集(前世で限定版を購入済み)に載ってないことまでカバーできませんがな。


女神学園乙女轟ッ!異世界ハートを狙い撃ちッ!!

と言うゲームがありましてね。

女神学園乙女轟ッ♪好きな奴を狩りに往け!の3作目なんです。


……名前が恥ずかしいって?

メーカーに行って申し出てくれそんなもん。

前世でイベント申し込みの葉書やら通帳に記入されたこの単語!!

どんだけテンションを上げ下げしたか!!

やったあ当選してるフゥハーイ!!テンション爆上げー!!……だが見られたら社会的にアウトだろ!!と冷静になった時の急降下凄まじさよ。


まあその女乙轟ッ♪……ゲームの略称だよ。

女が終わっててお疲れ様が轟くねっ♪とかじゃないよ。

実際終わってたけど放っとけ。ネットでもそう言われてたけど大きなお世話だ。


「アローディエンヌううううう!!」

「お義姉さま……こんどは何ですか」

「あのねえ!針に糸を通せないのおおおおおお!!」


知らんがな。

そう言い放つのは簡単。

だがそう言えば半日泣きわめいてべったり張り付かれ、離れられない未来が待っている。

実証済みだから。

私も4歳とは言え、中身三十路……いや、何でもない。

そんな精神年齢の高さでこのヘタレお嬢…ヘタレ坊?に一日を無駄にされる訳にはいかない。

私は使用人に目配せした。


「アローディエンヌ様、此方です」


そこらに転がっていた針と糸を私に差し出しまして…危なっ!!

後で言い聞かせておかないと!!

刺さったらどーすんだ!

この義姉の美貌は気に入ってるんだぞ!!

ついでに言えばゲームでもとある理由で気に入ってたんだぞ!!


「ふえ…アローディエンヌはシュッ、シュッッゴイねえ!何でも出来るねえ」


針に糸を通しただけでこの大絶賛やいかに。

使用人、拍手せんでいい。

大体老眼にまで年齢が達してないのに、この中身三十路以下略が針に糸を通せないなんてあり得るかい。

……まあ、前世はちょっと霞み目とか辛かったけどさ。

それはそれ。今は見渡す限りクリア万歳。

と、実は若干褒められてテンション上がって悦に入ってたら、

刺繍枠を蹴っ飛ばした。

痛い。

大人なら何でも無かろうが、こちとら4歳児。地味に痛い。


「それにしても、5歳で刺繍の習い事とかちょっと早くないの?」

「そ、それは奥様が……」

「ただでさえお義姉さまは不器用でいらっしゃるのよ。

もっとこう……知育玩具から始めるべきでは無くて?」

「ちいくがんぐ、でございますか?」


あ、しまった。

変な事を言ってしまった。

この世界にそんな単語なさげだし、挙句4歳児とは思えぬ発言をしてしまった。


「つ、つみきとか…お義姉さまとしたいなあ……」


……4歳児の話し方ってどうするんだ。教えて前世の私……。

あ、ダメだ、昔過ぎて想像もつかない。


「積み木で御座いますか……」

「あのね、アレキは木馬はとくいだよ」


私の4歳児ぶりっこで誤魔化せたかどうかは分からないが、やっと義姉が涙を止めた。

本当に……自分の名前は言えて無いな…。

それにしてもこの人、成長したら乗馬姿とか超カッコいいんだよなあ。

コケた主人公を嘲るスチルで見たよ。腹立ったけどカッコ良かったよ。

今(5歳)は木馬でえばってるけど。


「アローディエンヌ、木馬すき?」

「いえ、特に」

「いっしょにのろうよー」

「義姉さま、木馬は一人乗りです。私が乗ったら落ちます」


これも何を隠そう先日実践済みだ。

あの衝撃で地味に頭の形が変わった気がする……。

石頭で良かったけど、痛かったわあああ。


「ふええええっ!!アローディエンヌ…一緒に遊ぼうよおお」

「いや義姉さま……習い事の最中でしょ…」


と、義姉を諫めた私だったが…刺繍の道具は影も形も無くなっている。

しまった。さっき積み木がどうの言ったから、義姉の中では完璧に一緒に遊ぶ流れになっている。

こら使用人!!さっさと道具類を片付けるんじゃないっ!!

怒りを込めて私は使用人に聞いた。


「ちょっと、手習いの先生はどうしたの!?」

「先程の騒ぎでお帰りに……」


何だと!?何故帰る!?


「子供一人が泣いただけで!?どんだけメンタルが弱いのよ!?」

「あまりのお嬢様の麗しさに犯罪に走りかねないと……」

「そっちかよ!?5歳の子供に何言ってんだ!!」

「ですがお嬢様は……その……魅了持ちでいらっしゃいますから」


そうだったー、コイツ魅了持ちなんだったよー。

あ、コイツって言っちゃった。もういいや。


さっきも言ったけど、義姉は本人の意思で男女を変えられるんですわ。

そして魅了を使って他所のうら若き貴公子や乙女…?うら若く無くてもいい?から精気っつーか、力?を頂くような…種族なんですってよ。

サキュバスインキュバスって感じかな?

あっちも確か男女無いんだよね……よく知らないけど。

蝶々は有ったはずだよな、雌雄……。

まあそこら辺はファンタジーだろうね!突っ込んじゃダメ!!多分!


まあでも……今本人、5歳だけど。

しかも義妹(今の私)にしがみ付いてんだけど。


で、義姉のスキル『魅了』は……恐ろしい事に無差別にかかる。

耐性が無いと脳内を…まあ、色事妄想で絨毯爆撃されるらしい。

先祖返りって言うの?義姉はすっごく魅了の能力……スキルが高い。

そりゃもう高いのなんのって。

因みに義理の両親はまあまあ綺麗な人たちだけど、この義姉程高い魅了スキルは持っていない。義姉が100だとしたら、1.5くらい?

まあそれでも普通の人より高いめらしいけど……そこは知らない。

義姉の両親の設定は設定資料集でも軽かった。

突っ込んで書いてなかったし。


今、私に分かっていることは…この世界は前世の私がハマってた乙女ゲームの舞台の異世界で、この、人の服をぐっしゃぐしゃにしている子供は……。


ある時はヒロインの前に立ちはだかる美しい悪役令嬢。

キャッチフレーズは『燃え落とす紅の蝶々』


萌え落とすんだ。いや、燃えて落とすんだ。

物騒で……怖い。思い出すだけで物理的に怖い。

因みに二つ名が実に厨二だけど、物理的な意味で燃やして落としていた。


義姉の得意な魔法は火です。他の能力もチートな悪役令嬢です。

天まで焦がす炎をバックに赤い髪をなびかせるその姿…。

…後は分かるね察せるね?


まあ他の事でも優秀で、優秀過ぎてー……あの手この手でヒロインと攻略対象の前に立ち塞がる。

あぁっという間に!!という間に叩きのめすんですわ。

チートだから。

チートだから……!!!くっそお!!


だって…凄い手ごわいよこの人。

ゲームでED直前で何度も掻っ攫われて夜中に涙を流しつつ、眼球と胃が死んでから仕事に行ったか。

はあああ。思い返すだけで頭が超痛い。


そして、制作会社の愛が注がれている事が如実に分かることに……何と、チートが過ぎて、悪役令嬢への断罪イベントは無い。

あっちから罠に嵌められてもこっちが罠に嵌めることは出来ない。

罠に嵌めたいと願う選択肢は有るが、返り討ちバッドエンドオンリー。

ヒロインのバッドエンドが死ぬほど…物理的に死んでるのも多いのに……。悪役令嬢は攻略対象を奪うかどっかへ去っていくかどっちか。

…贔屓と愛が過ぎるぜ、悪役令嬢……(今の義姉)


あ、何でこんなに攻略が鬼なのかと言うと、このゲームは浮気は厳禁なんだわ。

他人のイベントをこなさないといけないイベントは存在するんだけど、ちゃんと好感度を調整しないといけないのです。


『チラ見は結構、ガン見は厳禁。それが合言葉だ…覚えておきな…。』


これが3作目のキャッチフレーズだったっけ。

どうでもいいけど、何でそんなにハードボイルド路線なんだ。

ガッチガチの乙女ゲームの癖に。

……もう出来ないけどな。

寂しい……。4作目出てるかな……。


まあ嘆いていても仕方ない。だって今は4歳児なんだから。

何でここでサポートキャラ4歳児やってるのかは、地味に思い出せないけど……。

アレだね、神の采配?らっきー!


まあ私の前世の愛の苦行はいいや……。義姉の話ね。

追い落としてくるあの手この手の手口はですねえ……。

イケメン好きでは放っておかないでしょうって手も有るんだよなあ。

そう、試してくるんだ。色々と……。


とある攻略対象……もういいや、王子ね。王子。

キャッチフレーズは『孤独に煌めくダイヤの蝶々』……あ、悪役令嬢と一緒の蝶々なのは、従弟だから種族一緒なんだって。

そこら辺は重要じゃないけどね。厨二だね。


で、王子の中盤から後半にかけての王子の誕生日のパーティ会場では、珍しく悪役令嬢の……私にとっては義姉さまがいないイベントがある。

で、そこで「何か企んでるな怪しすぎる注意しなきゃ」と警戒すると…4…超イケメンに出会う訳だ。


赤い髪に、凍るような青い目の、耽美なイケメンが、現れるんだよ!!


隠しキャラ出てきた超ハッピー!ってなるよね。

これまたちょこちょこチラチラ出てくるのよ。

気になるよね。

目が眩むよね?

欲望のままに他を追いかけたいよね?

そうなると攻略対象を追いかけないよね?

体は一つ、選択肢は一つだからね。

すると放置するよね?


「貴女は王子様がお好きではないの?」


サポートキャラ(今は私)が警告してくるイベントが勃発するのだ。

そこで


「正直目が眩みました、反省します」


……そう、ここで反省したらバッドエンド。

主人公が田舎っぽい所の川で足洗ってるスチルが出てくる。

追放されたとかそういう説明も無し。心の内の描写とかもない……。

無駄に綺麗な川のせせらぎとBGMがまた心を抉る。

待ってたら出るかもとか思ってたけど、無い……。

……心折れるでしょ?私は折れたよ。夜中の3時だよ。

綺麗だったけどさあ…。


「ウルセエ私は心の赴くままに生きるぜヒャッハー!!隠しキャラたんサイコームハー!!」


ってなるとバッドエンド。


しかし、普通のバッドエンドとは此処が違うのだ…。

このルートでは、最後の冬の夜会がクライマックスとなる。


最初から盛り沢山だ。

王子は死に、他の攻略対象は生死不明で行方不明。

不審火で燃え盛る王宮で狼狽える主人公を救うのは何と隠しキャラ。

しかも何と隠しキャラは悪役令嬢(今の私の義姉ね)が、男性に性別を変えてここに来たと、告白してくるんだよ……。

後男性の時の名前も教えてくれる。


悶えた。悶えたさ。背徳感で悶えたさ。

悪役令嬢と思ってた人が男性で……ってのもちょっと違うけど、

攻略相手が死んでるのに(言われてないけど多分彼が手を下しただろう)その相手に惹かれるとかさー。

背徳感でゾックゾックでは?

私はした。深夜に画面の前で悶えた。

不審だった?自宅だからいいんだよ。


で、ですわ。

普通に王子とエンディングを迎えた際に、結婚式を挙げる礼拝堂に連れて行かれるんですね。あのスチルも良かったなー。

白い鳥と赤い鳥が飛んでてリンゴーンって鐘が鳴ってたなー。

王子は特に推してなかったけど、

クリアはしたからあれは王道で素敵だったと記憶している。


ああ、それはそうとまたその隠しキャラの恰好がカッコいいんだよ……。

コートは濃いグレーで、闇に紛れてるのに、赤い髪が……また!!映える!!

凍るような青い瞳が、対比で、悶える!!!

主人公はひらひらの白いドレスでね!

コントラストが…対比がまた美しくて…。

そこには立ち入り禁止の塔が在って……塔のてっぺんのバルコニーの囲いに座らせられるのよ。

それから……。


「遊びは終わった?浮気者さん」



燃え盛る王宮をバックに、滅茶苦茶いいスチルと熱くてながーいキスを贈ってくれる訳なんだよ……。

背徳的だねーーー!!きゃーっ!!

また隠しキャラの背中でヒロインの表情とキスシーンが分からないのがいいね!


……その後?

二次創作が捗る展開だろ、そりゃあ…げっふげっふ、私今4歳児なんだった。

まあアレです、多分国を捨てて二人で愛の逃避行でしょう。

大体は。

バッドエンドだから後日談は無いけどね。


で、とまあ彼女は性別を自分の意志で変えることが出来まして、かつバッドエンド限定の裏ヒーロー、なのでした……。

正直一番良かったね。背徳的って魅惑的。

陰ながら推してるよ!



改めて自己紹介します。

私はアローディエンヌ・ユール。


義姉の名はアレッキア・ユール

またの名を、義兄アレッキオ・ユール。

名前が2つあるんですってよ。……今の人生情報。

ややこしい事この上ないって?

本当にそう思うよ……。


きょうだいなのに名前の雰囲気違うのは私達、両親が違うので……。

ややこしい…。我ながら本当にややこしい。



悪役令嬢の義姉はアレッキアさんといいます。

義兄アレッキオにもなれます。

チートが約束された未来ですが、今はただの泣いている子供です。

設定資料集には攻略対象の情報がもっさり盛り沢山なので、

悪役令嬢に関する資料はあんまり書かれてません。


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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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