1.二次元でニヤニヤしていたい
そのまんまのタイトルですね。分かりやすいのが一番ですかね。
捻りたいんですけど…。
乙女ゲーム転生です。
地味に『異世界渡りと片道切符を名乗る令嬢』に乙女ゲームの名前だけ出てきてますが、
特に気にせずこれだけでも読めます。
あ、男女の恋愛です。百合小説じゃありません。
乙女ゲームが大好き。
美しいスチルの可愛い主人公と素敵でカッコいくて美しい攻略対象との恋愛模様を見るのが大好き。
出来れば三次元でも拝みたいけど、二次元が一番。
だってごたごたは画面の中だけなんだよ？
厄介ごとなんて現実だけでお腹いっぱい。
仕事が辛くても、訳分からん人に絡まれても…
そう、これが有れば…私は生きていける…。
「うえええええええん！！」
澄んだ声がする。
だが聞きなれた声で…音量はボリューム壊れてんのかってくらい上がっていく。
私はぱちりと目を開けた。
「できない！！できなああいわあああああ！！」
「お嬢様、落ち着いて！！」
「うえええええ！！アローディエンヌ！！アローディエンヌ！！」
「探せ！！あの方をお呼びしろーーー！！」
う…煩いっ……。
ど、どうも、はじめまして……。
私はモブ令嬢…いや、モブでも役に立つ方のモブ。
何と、乙女ゲームのサポートキャラの令嬢です！！
主人公の味方となり、情報戦の要となる感じです！
やったね！これで望みのイチャラブ二次元が三次元観戦出来るね！！
実際見に行けるかどうかは今分からないけど……。
多分因みに語り手も兼ねてますよ！覗き放題だね！
モブでも勝ち組モブですよホホホホホのホ。
あ、言動が変？言葉遣いが上滑ってる？
……私、前世の記憶があるんだよね！
でもまあ前の自分がどうだったかとか死因とか詳細は、いまいち覚えてないんだけどね！
まあ、それは置いておいて……。
名前はさっきの子供がわめいていた通り、長い名前。
10人に5人は言われる
『アコーディオンみたいな名前』アローディエンヌ。
「ええええええええん！！アローディエンヌううううう！！」
それにしても、声の大きさがオキシゲンでデストロイヤーなあの怪獣並みになってきたよ…。
前から思ってたけど、よくあの大声でこの名前で噛まないな。
あんなに泣いてるのに私の名前で一回も噛んだところを見た事は無い。
他の事では噛みっ噛みなのに。
因みに私は噛みます。自分の名前なのに。
だって私４歳だから。
「あ、お嬢様！！お義姉さまが」
「……」
使用人が絨毯の廊下を滑る勢いで私を見つけ、返事も聞かずに捕獲されました。
俵抱き…少なくとも使用人がお嬢様をお運びする抱っこでは無い。
今の私はラグビーのボールみたいなもんだ…。
……またですか、と言う顔は優雅に隠し…隠さないとそういう雰囲気には敏いんだよ、あの人……。
これ以上大声出されたら死ぬ、主に鼓膜が。
「ごようですか、義姉さま」
直前で降ろされ、使用人がドアを開け、凄いタックルをかまされる。
私は吹っ飛ぶ。泣いている本人込みで…そして使用人がクッション装備で受け止める！！
多分前世でやった事ないけど、アメフトかラグビー？並みの訓練だな。
……これ一日一回ワンセットのルーティーン……。何時もの通り……。
……涙は諦めよう。
鼻水をつけるんじゃない。
視線の端で使用人が着替えをスタンバイしに行ったな。
これもワンセット。
ああ、この服気に入ってたのになー。
ここじゃあお急ぎクリーニングとか無いから勿論、手洗い→自然乾燥→炭火アイロン……。
またこの世界ってフリル用のアイロンとかあるらしいよ凄いねー。
いや、向こうにも在ったかもしれないね。
クリーニング業界とか勤めるべきだったなー。
でもここって汚れ落ちなかったら即古着屋経由で市民の皆さんとかに渡るんだって。
……うん、リサイクルはいい事だけど、別に死にやしないんだから汚れくらいよくない？
貧乏性だから多少汚れても着るよ。
勿論使ってもらえるとはいえポイ捨てとか出来ないよー？
で、私の服で涙と鼻水とヨダレを拭いているこのガキ……この人は……
対外的には私の義姉。
何と将来チートが極まりない悪役令嬢！！
……でもちょっとややこしくて……。
私の義姉は、義兄でもあるのです。
主人公アローディエンヌの性癖は
主人公と攻略対象のイチャラブを見る専門の乙女ゲーマーです。
サポートキャラ令嬢は覗き見可能と言う事で、
転生出来てラッキー！喉から手が出る程欲しいポジションでしたー！！
と言うある意味幸せなひとです。
