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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
本編2 スキル剥がし編

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89.何が有ろうと余所見させない

お読み頂き有難うございます。ブクマ、ご評価、拍手誠に有難う御座います。

現場に居るのは……多いですね。

アローディエンヌ、義兄さま、サジュ、レルミッド、ルディ君、ティム、ニック、ブライトニア。そして喋りませんが、『前王の娘』です。

階上にマデルとミーリヤです。11人……ややこしいですが、その内減りますのでお付き合いくださいませ。

「この方が王女……様」


シリアスな場面よね、でも、全然……締まらないわ。

普通こう言う科白って、本人見て呟くもんよね!?おかしくない!?義兄さまに抱えられたまんまだから、顔見れて無いんだけど!!

いい加減下ろして離して欲しいんだけど!!さっきから全然離れないし!!て言うかもう抱えられ過ぎて皆様も突っ込んで下さらないし!!


「違うよおアローディエンヌう。コレは単なる王族だよお?」


そりゃ義兄さまからしたら単なるで済むんでしょうけど!!

何気にこの場、王族の方々多いものね……。しかも此処は他国の皇帝の寵姫のお城で、この方以外に、5人も居られる……。

現実に目を向けると……えげつない場ね。


「正しくは、前王に棄てられた娘だから王族ではあるが、王女の称号は無いんだぞ」

「王女も王子も宣旨を受けないとなれないんですよ、アローディエンヌ。厄介な事に僕も兄上様も受けさせられてるので、今も王子やってるんですけどね」


そうなのか。王子様おふたりからご説明を受けてしまったわ。

王様の子供だから無条件に王子様王女様になれるって訳では無いのか。

色々高貴な方々って面倒なのね。

でもじゃあどうお呼びすればいいのかしら。お嬢様?


しかし、……義兄さまが故意に私の目から王女……お嬢様を避けさせようとして、まだ後頭部の一部しか見れてない……。どういう事なのよ。


「いい加減離してくださいな義兄さま!!」

「やだあ」

「やだあじゃなくて!!大体この方、全く動かれませんけど、どう言う事ですの!?」

「あー、それなあ……。道で野郎とモメてるこのねーちゃんを、アレッキオ卿が気絶させて持って帰ったとしか言えねえわ……」

「はあ!?何でそんな非常識な!!」


さっきから物騒な単語のオンパレードだし、ルディ様にティム様も不穏だったけど、出だしからそんなんだったの!?いや、知らない他人を担いでくる時点で普通におかしいわね!!

義兄さまはお出かけしたと思ったら何をしてるのよ!!


「だってえ、偶然見つけた障害は取り除かなきゃ」

「障害!?」

「そおだよお。こういうのはあ、捕獲しとかないと絶対何かやらかすでしょお!?」

「ハア?やらかす?何をだよ」

「どういうことですか義兄さま」

「こおいうのをー擁立して、僕を追い落とそうとする輩とか出てきたら困るじゃない」


そりゃ困るけど、こんな短期間で他国で結婚式挙げようとする暴挙に、態々やって来て横槍を入れたい人って居るのかしら……。そんな漫画みたいな話が有るの……?

いやでも貴族社会って陰険っぽいもんなあ。事実は小説より奇なりって言うし。


「そんな気概が有るものが態々来るとしたら、面白いな。追い落とせるもんなら是非来たらいいし是非僕は応援したいぞ」

「追い落とされる前に根こそぎ燃やしそうですけどね、アレッキオは」

「ひえええええ!!滅ぼさないでくださいいいい!!ティミーもおにいたまを煽るんじゃないよおおお!!」

「大丈夫よオルガニック!国はどうでもいいけど、オルガニックは生涯あたくしが守り切って見せるわ!!」

「うおええええどうでも良くないいいい!!」

「いやもう諦めろよニック。どう見ても薄着っ子から逃げる対策とかねーだろ」

「サジュ君酷いよおおおお!!ボクとフィオール・ブライトニアの歳の差を見て!!ちゃんと現実を見てよおおお!?」

「色ボケだの何だの面倒臭い奴らだなオイ……」


……ううう!!レルミッド様のお言葉が突き刺さる!!

今どう見ても強制バカップルさせられてるし、滅茶苦茶肩身が狭いんだけど!!


「義兄さま、兎に角、非人道的な行いは止してくださいな!」

「ええー、僕は式をちゃんとやりたいだけなんだよお!こういう面倒なのはサッサと始末するに限るんだから!」

「まあ、血筋から言って面倒そうでは有るな。あの王妃の娘だし」

「……あのババアのかよ……」


レ、レルミッド様迄!?一体前王妃様が何をされたのかしら……。

さっきから動かないこのお嬢様が、式に一体何の被害を及ぼすと言うの……。

もしかして初対面の親戚に突っかかってくるような、そんなヤバい人なの!?て言うかもう義兄さまの方から喧嘩売ってるからちゃんとした理由のある反撃か!!どうしよう!!

ああ、どんなヤバい力を秘めた人なの!?でも、王族って結構底知れないからそうなの!?一般人ベースで考えては駄目なの!?

義兄さまのやる事が意味は有るんでしょうけど、全く分からない!!


「で、でもだからと言って初対面の、何の罪もない女性を拉致するとかどうなんですの!?しかも始末するだなんて!!」

「罪は有るよお?」

「まあ、この娘自体に何かされた訳では無いが……厄介な力では有るな」


ルディ様と義兄さまに太鼓判を押される厄介なお力って一体何なの……。


「いや、まあ……でもなあ義妹殿。ホントに前王の娘なら……オレ的にも放っておいたら隊長達ににドツかれるだけじゃすまねえんだわ。職責的にな」

「そうですね、サジュ・バルトロイズの言う通りです。僕も陛下に怒られちゃいますね、あはは」

「だとしても、道端で相手の奴伸した上に無力化はねーだろ」

「ずっと煩いんだよ鳥番は。大体あんな道のど真ん中で懇切丁寧に説明して逃げられたらどうするの」

「うーん……アレッキオから逃げられる人が居るんですか?どう思います捕まった代表のアローディエンヌ」

「……そりゃ、居らっしゃるんじゃありませんか?」


世界は広いらしいし、逃げのチートが居てもおかしくはないわ。

て言うか捕まった代表って何だ。何故私を気の毒そうな顔で見るのかしら、ティム様は。腹立つな!


「じゃなくて……やっぱり、捕獲じゃなくて誘拐ですわよね!?」

「義妹の言う通り思いっきり誘拐だな。周りの奴らドン引きだったじゃねーか」

「王の血筋に何する戯け者って言っただろ。その辺りから噂が勝手に広がっていくよ」

「ど、どへえ……。でも噂って凄いもんなあ。分かる気がします、おにいたま……」


……その時の通行人、大騒ぎだっただろうなあ……。

でも、この方からしたら、滅茶苦茶誘拐された事実は消えないわ……。

恐ろしいにも程が有ったと思うし。


「しかし、探してないとは言え、生きていた上にこの時点で見つけるか。今までやって来た行いが悪すぎるな、流石アレキだ」

「死ねショーン」

「義兄さま!」


ああまた暴言を!

嫌だわ……義兄さまのルディ様への暴言も聞きなれて来たのも何とも……。

でもルディ様も好き放題仰っているから良いのかしら……。いや良い訳ないな。


「アレッキオの行いは兎も角、そんなに目撃者がいたんなら、どうします?

本当に焼いてしまうと流石にもみ消すのは後が不味いのでは、アレッキオ?」

「おい、目撃者がいないなら、焼き殺してもいいみたいな言い方止めろや」

「あはは、レルミッドは優しいですね。でも後そう思ってるのは、彼女への発言権が無い師匠とアローディエンヌとサジュくらいですよね。階上のご婦人がたも必要ならご決断されますし」

「……あのおふたりならそーだろーな」

「……ええー、そんなあ。この子、ええええ……そんな理由でそんなあ……」


思わず吹き抜けの上を見上げたら、にこやかにおふたりが手を振って下さった。

聞かれた上で……先程から全く意見をされないってことは、そういうことなの!?

立場も分かった上で、宥めもされず、関わられない。

私達がモメてたら、マデル様は今まで止めてくださっていたのに。

綺麗ごとじゃすまされないお立場の……前王陛下のお嬢様のことは、全く口出しされない………。


「しかし、此処まで引っ立ててきたんならキャス妃の耳にも入っているだろう。仕方ないな、サジュ」

「何ですかルディ様」

「その娘を寄越せ」


ルディ様のお申し出に、空気がピリッとなったけれど……サジュ様は直ぐ返事をされなかった。


「………殺されるって分かってんのにですか?」

「今すぐは殺さん」


ルディ様が穏やかに微笑んでおられるのが余計に怖いわ。ちょっと思わず義兄さまに寄ったら余計に抱きつかれたけど!

サジュ様は溜息を吐かれている。


「……先輩、どーしたらいいと思う?」

「って言われてもな……。ルディ、サジュも連れてけや」

「ふむ。構わんが、別に酌量はせんし、聞いたとて不愉快な話を聞くことになるぞ?」

「結構不愉快な話はジャンジャン聞いてますし。

どの道もうオレもドゥッカーノの騎士ですし、戻れないとこまで来てるし……。

これ以上女を見棄てんのはちょっと……大分、寝覚めが悪ぃ」

「ふむ、あっちも別に死んでいないが……まあ、良かろう。着いて来ると良い」

「コレは僕も行かないといけない感じですね……。

あ、レルミッドもどうです?知った上で判断する方が良いと思いますよ?」

「……わーったよ」

「アレキ、『お前の望む円滑な結婚式をする為』にこの僕が手を貸してやるんだ。分かっているか?貸しだぞ?取り立てるからな」

「何を偉そうに」


ルディ様は義兄さまに滅茶苦茶念押しした上で、ティム様とレルミッド様とサジュ様をお連れになって、階段を上がって行かれた……。

サジュ様は、多分お嬢様を抱えたまま……よね?……け、結局後頭部しか見れていなかったわ……。


でも……そうか。

でも、サジュ様……カリメラを救えなかったと、とても後悔していらっしゃるのね……。

何とか、ならないものなのかしら。



そして、何とも言えない空気の中、玄関ホールには私と義兄さま、オルガニックさんとブライトニアが残された。

……何気に悪役令嬢とサポートキャラが残ってしまっているわね。

ゲーム的に考えると有り得ない組み合わせよね、ホントに……。


「……あわわ、ど、どうなるんだろう……と言うか色々起こりまくり過ぎで、しかもこんなタイミング……」

「何と言うか、何て言ったらいいのか……」

「アローディエンヌう、やあっと僕の腕の中だねえ!」

「……義兄さま、口だの頬っぺただの無意味に触らないでください」


やっとって……。

さっきからずっと抜け出したい気持ちで一杯だわ……。いや、もう面倒だから言わないけど。


「あのねえアローディエンヌ?君の憂いは分かるよお?君はとおっても優しいからねえ」

「逆にあの状況で何の心配もしない人の方が、どうかと思うんですが……」


してない方も結構と言うか過半数いらっしゃったけどさ……。


「え、フロプシーはしてないでしょ?」

「あたくし?余所だろうがウチだろうが王族の1匹や2匹の始末、どうでもいいわ」

「いやいやいやいや……アロンたんは、実に常識的な反応だと思うよ!!」

「誰がフロプシーとアローディエンヌが同列だって?」

「安心してオルガニック!オルガニックはあたくしの一番よ!」

「いやそんな事は聞いてないし知らなかったよ!?」

「お子様達とニックちゃーんー。お土産はーこっちに運んでもらったからーお出でなさいなー」

「あっ!マデル様」


上からのお声に気が付いて、周りを見回すと……え、あ!本当だ!

滅茶苦茶沢山有った箱が綺麗にどっか行ってる!!何時の間に!!


「……ボク、お荷物を手放した覚えが無い……。此処の使用人さんマジ優秀だね……」

「あたくしとの住まいにもこういうのを置きましょうね、オルガニック!」

「ええええ……そんな来ない確率が高い未来の話はちょっと……」

「いやだわオルガニックったら!あたくしとふたりっきりがいいのね!?」

「……いや全くそんな事無いよ!!」

「……全く、どうしてこうサッサと結婚式の準備が出来ないんだ。コレも皇帝のせいだ」

「エロダメ親父は仕事が遅い上に出来ないから仕方ないわね」


ブライトニアの皇帝陛下への悪口も……何とも言えないわね……。

あの方がちゃんと止めてくださっていたならば……今回の騒動は起こらなかった、訳でも無いのだけれど。私が憤ってもどうしようもないのかもしれないけど、悲しんだ人も被害が甚大すぎるのよね……。


「サッサと準備が終わればいいのに……。物語なら僕とアローディエンヌが塔で愛を誓い合って確かめ合って、即結婚式なのに。何でこんなにゴタゴタするの!?許せないよお!」

「……お話と現実を一緒にしないでください、義兄さま」


て言うか一週間後でも十分早いわよ!?

普通もっとかかるもんじゃないの!?無茶振りし過ぎなのよ!


「兎に角、マデル様とミーリヤ様の所へ行きましょう、義兄さま」

「………嫌だなあ、想像は付くけど」

「あの、フィオール・ブライトニア。僕貧弱だから降りてくんないかなあ。流石に人を背負って階段は無理だよ………」

「じゃあ姿を変えるわ」

「……いやぜん……んんっ!服……いや、普通にその姿で歩いて欲しいなあ」


……確かにまたウサギ?になったら全裸で戻りかねないもんね……。



「お帰りぃ。これはぁお花ちゃんのぉ衣装ぅ?」

「お土産ー沢山ねー」

「確かに俺は茶菓子ひと箱は貴女がたにお持ちしろと使用人に指示はしましたが、根こそぎ中身を見ていいなんて許可してません。全てアローディエンヌのものなんですが」

「やぁねぇ見ぃて無いわよぉ。箱の形態からぁ察知しただけぇ」


……もしかしてあのお部屋の片隅に積まれてる20個位有るのが……。

い、要らねえ……さっきも思ったけど、滅茶苦茶量多いし!

私はやっと義兄さまの腕の中から椅子の上に下されることになったけれど……横に義兄さまが貼り付いてるし!!

……横の椅子のオルガニックさんも腕にブライトニアが貼り付いてるし、似たような状態ね……。

……考えたく無いけど、まさかサポートキャラって似通った状況下に置かれる呪いでも掛かってるのかしら?


「それよりも、何の用なのマデルにミーリヤ。オルガニックを誘惑しようとしたらぐちゃぐちゃよ!!」

「何言ってんのおおお!?こんな女神二人がモブなボクにそんな事する訳無いでしょ!?」

「あらぁ、そんなにぃ卑下することも無いわよぉ。ニックちゃんもぉ普通にぃ素敵よぉ」

「何ですって!?オルガニックを褒め称えるのは当り前よ!世界一素敵に決まってるでしょ!!」

「ミーリヤー、茶化さないのー。ウサちゃんがー唸ってるじゃないー」

「良いわねぇ其処迄ぇ愛されるってぇ」

「そうでしょう!?オルガニック愛してるわ!!」


……掌返しが早いな。殺意の籠った目が急に変わって、オルガニックさんがビビってるのがよく分かるわ…。


「いや止めてミニアさん!!ボクとフィオール・ブライトニアの年齢差を考えて!!」

「大したぁ歳の差でもぉ無いわよぉ。近所にぃ40代と10代の夫婦も居るしぃ」

「やっぱり愛が有れば障害にならないじゃないの!!」

「フロプシーと蝋燭野郎はどうでもいい。何の御用ですか。俺はアローディエンヌをコレから飾るのに忙しいんですが」

「義兄さま、私は着替えよりもお話を聞きたいですわ……」

「ええー」

「……このお話に納得して終わったら着替えますから」

「約束だよお?」


……正直、これ以上着替えるの嫌だけど、何だかお花も矢鱈積んであるし……何の為にあんなデカい花束が3つも有るの……。意味が分からないわ。

面倒臭い……。心の底から面倒だけど、仕方ない……。情報を得るのも楽じゃ無いわね。


「ルーニアが居ればー細かくー分かってたけどー仕方ないわねー。『甘美なる余所見先』ってー、名前からしてー魅了スキルの一種よねー?」

「……魅了ですか!?」


……魅了!?

え、あの王女……お嬢様、魅了スキル持ってたの!?義兄さまの顔を思わず見上げたら、凄く興味無さそうに頷いてた。


「……やけにお詳しいですね。まるで、アレを元々知っていたみたいですが」

「ふとしたぁ事でぇ、ちょぉっとねぇ。まぁ、偶然だけどぉ」

「言っておきますが、俺がアレを捕獲したのも偶然ですよ」

「……うわめっちゃ二次元的に血筋が惹かれ合うとか有るのかな……熱ううううう!!!失言でしたすみませんんんん!!」

「義兄さま!!」


また火の粉がオルガニックさんに!!早速大人しくしないわね!!


「オルガニック!!何するのよ馬鹿兄貴!!」

「いいいいいいいから!!マデルさんミニアさんお話続けて欲しいな!!ボク超気になってハゲそう!!」

「……ニックちゃんも大変ね。相手を選ぶ時はハラハラしない子を選ばないといけないわね」

「何よミーリヤ、普通に喋れるじゃない」

「あぁらいっけなぁい。ちょぉっと吃驚しちゃったぁ」


……ミーリヤ様が普通に喋られた!!オルガニックさんも目を剥いてる!!

そして凄く私の胸にも刺さるご意見!!主に横の義兄さまとか義兄さまとか義兄さまが!!

……ってまた話がズレるわね。


「それで、『甘美なる余所見先』ってどういうスキルなんですの」

「簡単にぃ言えばぁ、伴侶持ちが引っかかりやすいぃ、愛人さん志望の子には喉からお手々が出ちゃうほど欲しいスキルねぇ」


……意味が分からないのだけれど。オルガニックさんも首を捻っているわ。

伴侶持ちが引っかかる?愛人志望?

ええと、魅了スキルってことは……私も詳しく無いけれど、他人を意図せず誘惑しちゃうってことでいいのかしら。義兄さまの無差別魅了はそうだものね。私には全く作用しないから分からないけれど。

余所見先って事は、元々見てる先が本命?本命がいる人が、余所見する……しやすいってことでいいのかしら?


「危険じゃないの!!」

「だから処理しようとしたんだろ、煩いなあフロプシー!」

「……あのお、それって、妻子持ちさんとか本命さんが居る人が誘惑されちゃいやすいスキルってことでいいのかなあ?」

「そうよぉ。賢いわねぇニックちゃぁん」

「しかしそれがどうして……処分だのに繋がるんですの?」


世の中には色んなスキルが有るのね。

大変そうなスキルだとは思うけど……魅了無効持ってるからか、あまり人より危機感が感じられないわね。


「何いってるのおアローディエンヌ!スキルが治ったとはいえ、まだ万全とは言い難い君が引っ掛かったら僕は一瞬でも許せないよ!!忘れたの?只でさえあのクソガキ共に良いようにやられたんだからね!?」

「本命はー居るけどーフラフラ摘まみ食いしたい人がー引っ掛かり易いスキルだからーお花ちゃんはー大丈夫でしょーに」

「はあ!?つまり義兄さまは私があのお嬢様と浮気するかもと!?失礼でしょ!!女性には興味ないってあれ程言いましたわよね!?」

「何と言われても僕は万全を期したいのお!!あの屑を使って僕らを壊そうとする手段なんか幾らでも有るんだから!!」


……め、眩暈がしてきたわ。

あのお嬢様、血筋の件は有れど完全にとばっちりじゃないの!!


「じゃあ僕が万が一あの屑に誘惑されても良いって言うの!?あのスキルを放置しておくってことは、その可能性だって有るんだよ!!」

「……何ですって」


頭をガツンと殴られた気がした。

……に、義兄さまが……!?義兄さまが、誘惑されんの!?あの方に!?


義兄さまが、誘惑されるかもしれないって……ああ、そうか。

そういう可能性も、有るのか……!!

で、でも……それでも……それでも、他人に危害を加えて拉致……していい訳……。

駄目だ、ショック過ぎて、ちょっと。


「義兄さま……」

「アローディエンヌ、分かってくれるよね?君は僕をこの上なく愛してるもんね?」


……義兄さまの薄青い目が、キラキラしている……。

こっちがダメージ喰らってるというのに、くそっ!!顔いいな!!


「完全にぃ丸め込もうとぉしてるわねぇ……」

「……摘まみ食いしたいのがぁ引っかかりやすいってだけなんだけどぉ」

「……に、義兄さま!!」

「ちえ。でもアイツ、金色だもん」

「義兄さま!!」

「まあ、僕はアローディエンヌしか好きじゃ無いから引っかからないけどね」


……いい加減にして欲しいんだけど……。いや、でも……無いとも、限らないか。そりゃそうよね。

い、いかんわ。丸め込まれそうになった!!ああもう!!ああもう!!

……でも、本当にドキッとしたんだから……でも、無いとは、限らない……の!?

私、どうしたらいいの……。

『甘美なる余所見先』とは、魅了系。

でも、嫁も好きだけど可愛い子居ないかな~的な人を引っ掛けてしまうマイナススキルのようですね。

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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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