表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
本編2 スキル剥がし編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

126/212

60.フォーナの力と危機

お読み頂き有難う御座います。ご評価、ブクマ、拍手誠に有難う御座います。

若干不調なので書けるときに書いて投稿します。

コロコロ視点が変わって申し訳ありません。

ロージアに地底に落とされたアローディエンヌが、皇太子レギに迫られてブライトニアに助けられ、一緒に地下道を歩いています。

地下道はランプのお陰で明るかった。

皇太子レギ様、私の飼いウサギ?のフロプシーの正体、皇女ブライトニア。そして私。

……殆ど初対面に近いのだけれど、凄い身分の連れになってしまったわね。

そんな組み合わせの3人連れとなって、私達は地下道を歩いている。


暫く色々話し合いながら歩いていたのだけれど、いきなりブライトニアが体を震わせ出した。

寒いのかしら。もう冬が近いものね。何せ彼女の格好は全裸を隠そうという目的だけ。私とレギ様の服の寄せ集めで、滅茶苦茶軽装だし……。

それとも、何か壊せないもの踏んだのかしら。

虫とか?

うわあ、そりゃ気持ち悪いわね……。何たって彼女は裸足だし。想像するだにブルっと来るわ。


「どうしたのブライトニア?寒いの?虫を踏んだの?」

「違うわよ!!今、オルガニックが心を痛めている気がするわ!!」

「えっ、嘘…。そういう第六感みたいなのって本当に有るの……?」

「有るわよ!あたくしの愛するオルガニック限定だけどね!!」

「へえ」


おお、ドヤ顔でオルガニックさん限定と宣えるのね……。

よっぽど好きなのね……。残念ながら私とは趣味は合わないけど……。

気も心臓も強いのね、ブライトニア。

思わず塩対応で何時もの反応しか出来なかったわ。

気が強いのはウサギ?の時から変わらないわねって、本人から納得か。


だけど、そんな二次元のヒロインみたいな能力ホントにあるのねえ……。

流石主人公の妹……って関係無いかしら。

この短期間で色々規格外っぷりを見せつけられたから、ブライトニアなら色々こう、二次元能力的な事は出来そうって気がするわ……。

義兄さまとは違うチートが有りそう。いやもう充分チートか。あのレギ様を吹っ飛ばした感じとか……多分島丸ごとぶっ潰す発言も本当に出来るんでしょう……。怖いわあ。


あ、因みに私はモブだから義兄さまが危機に陥ってても何にも分からないわ。

まあ、普通の人はそうよね。

しかし、義兄さまは無事なのかしら……。

ロージアにキレて、その辺の砂焦がして島を焼いてないといいんだけど。

今の所、自分が助かって……義兄さまに想いを寄せてみたけど、でも、真っ先に環境破壊してないか気になるって色気の無い話ね……。

いや、一応信頼はしてるのよ。そう簡単には死にそうにないって信頼を……。

……後でバレたら義兄さまが滅茶苦茶膨れそうね……。でも事実だしなあ。


しかし、ブライトニアってゲーム内ではどういう役どころなのかしらね。

主人公の家族ポジションのモブにしては能力も凄すぎるし、大迫力が過ぎるのよねえ。

って、フィルル皇女も…フォーナの家族ポジション?

ややこしいわねえ……。

出会った大半の人が他国の皇族関係ってのも凄い話だけど。

フツーに住んでたら全く会えない方々ばっかりよね。


「じゃあ、家族の危機とかも分かるのかしら?」

「知らないわ。大体あの無鉄砲な母様と無邪気をはき違えた駄姉を心配なんかしてられない。

時間の無駄よ」


無鉄砲なのか、フォーナとブライトニアのお母さん……。

いやまああの姉妹のお母さんなら……強烈そうなのかおっとりなのか……分からんな。

取り敢えずお母さんがご存命の様で……ご存命なのよね?


「アローディエンヌさん、体調は大丈夫ですか?」

「え、ええ…。有難う御座いますレギ様」


うーん、出会って2回目に危害を加えられてしまったけれど、滅茶苦茶謝られて口説かれて咄嗟に許してしまったけど……まあ、良かったのかしら?

まあ、若干モヤっとしなくも無いけど、この方の本意で私を襲ったのではないようだし、許してしまったのだからグダグダ思い悩んでも仕方ないわね。

……それに、突然現れたブライトニアが強烈過ぎるしなあ。

私のことで煩わすのが勿体ないくらい出来た紳士的な13歳だわ。

単純かもしれないけれど、今同道してるんだからあまり悪感情を持つのもいけないしね……。

大体モブの私が今更ビクビク震えて警戒したところで、罠なら罠で即ジ・エンドだろうしねえ。

今まで運よく助かってはいるけれど。


「それで、結局喚いて煩い駄姉とティムに、一般人ヅラした無神経な駄姉を人質に取られて、アロンを襲って、餌を与えられたんでしょう。ふん、ダサいこと」

「……その通りです、フィオール姉さん」


よく分かったわねブライトニア……。流石身内の事情を知ってるからなのか、慧眼なのか。

サッパリ分からないけど凄いわ。


そうか、お姉さんであるカリメラを人質に取られて、レギ様は私を襲ったのか……。

女装可愛かったけど思い出すべきは其処じゃ無いわね。

えーと、そして私を襲った後、フィルル皇女が私を餌としてレギ様に与えたってことか……。

私、餌扱いだったのか。ショボすぎやしないか……。

じゃなくて、誰の勝手で餌にされてるのよ。フィルル皇女とティム王子の仕業?

本当に酷いわね……。

ああ、レギ様が俯いてしまっている。


「……本当に御免なさい。

アローディエンヌさん。貴女が好きでもこんな卑怯な真似をするべきじゃなかった……」

「もうお許しした事ですし、他の方に恋をする時にはこんな事をなさらないならいいんですよ」

「えっ!!好きでいては駄目ですか!?」

「いやいやいやいや……!!駄目も何も、いい加減目を覚まして現実をご覧くださいな、レギ様!!」


いや、ホントに何でや。目の前にいるのはモブ面ですよ。

レギ様……マジどうかしてるわね!?

私よ!?見た目はモブ、能力も一般人以下のサポートキャラ、アローディエンヌよ!?

皇太子とも有ろう方が、こんなややこしいモブ女に更に想いを寄せて何になるのか!?

……分からないわ。悪趣味が過ぎるわよ。

3回しか面識ないのに!!好かれる要素全く無いでしょ!!未だに分からん!!


「煩いわね、あれだけ拒否されてフラれたんだから諦めなさい愚弟。千切るわよ!!」

「うっ!!」


そしてブライトニアも躊躇なく蹴るし!!

本当にレギ様への扱いが酷いな!!膝裏と脹脛を蹴るんじゃない!!


「ちょっと、蹴らないであげて!!大体何処を!!」

「ふん、胴体だけにしてやるのよ」

「やめて差し上げて!!」


怖あああっ!!

き、聞かなきゃ良かった!!

ブライトニアは何でこんなに血の気多いの!!ウサギ?の時から好戦的だけど!!


「アロンは本当に甘いわね。拐った手先なのよ、この愚弟は」

「身内を人質に取られていたのなら仕方ないでしょう」

「まあいいわ。どうせ義理の馬鹿兄貴が殺しに掛かってくるでしょうから、せいぜいアロンのご機嫌を取って覚悟しておくのね」

「………は、はい……」


あ、……そうだ、義兄さまが居たんだったな。私の事となると過剰反応する存在を忘れてたわ。

最近……?物は兎も角、人体に破壊活動してない……けれど、レギ様が命の危機に……。

間違いなく命が無い方向よね、義兄さま相手だと……。

ブライトニアはレギ様を守る気なんて更々無さそうだし……。

大体皇太子様で無くても人殺しはいかんわよ。


「レギ様、私、義兄さまに無闇な殺人を起こさせない為に、スキルを取り戻しますわ」

「あ、は、はい……。僕の為に……」


うわ、ヴェール越しに地下道の照明の光の加減でも、褐色の頬が赤くなってるのが分かる。

私にそんな顔を向けて頂く価値は無いのに。

うーむ、美少年だわ。って、思わせぶりな……悪い女みたいな気分になるわ。

全くそんな気は無いんだけど。

早くお似合いの性格の超いい美少女を見つけて頂きたいわ……。

私が出会う美少女は、癖のある子ばっかりで紹介もへったくれもないけど!!


「アロンは義理の馬鹿兄貴の事が大事なんであって、アンタが生きてりゃ他はどーでもいいのよ。

思い上がるんじゃ無いわ愚弟!!」

「ううううう!!そ、そうなんですけど!!」


い、言い方!!言い方ってもんが!!

ああああ傷ついていらっしゃる……。

も、申し訳なさ過ぎるわ。美少年が傷ついていると心が3倍痛む!!


「いえどうでもいいって訳では。只、他国の皇太子様ですし」

「うう、またちょっと距離が……」


ええーそんな涙目にならなくても!!

どうすりゃいいのよ!!元々距離の有る関係だったってば!!


「ふん、行いが悪いのよ愚弟!!あ!あたくしに距離を取ったら怒るわよ、アロン!!」

「ええー……」


ブライトニアがまたぐりぐり頭を摺り寄せて来たわ……。

条件反射で撫でてしまったけど……いいのかしら。……手触りいいし、もういいか……。

面倒になって来たわ。

しっかし、何でこんな地下道でこの皇帝の御子である姉弟にモテてるんだ、私。

意味が分からなさ過ぎるわ。何なのこの唐突なモテ期。死期が一緒に来ないと良いんだけど。


「でも、スキルを取り戻すってどうやったらいいんでしょう」

「剥がすのは僕が。『嵌め込み』って言うスキルが有れば……出来ます」


あれ?似たような名前を聞いたな。

そうそう、ティム王子のスキルの名前、そんなんじゃ無かったかしら。

あの……服に隠れては居るけど、カイロが……!!


「ティム王子の『植え込み』と何が違うんですの?」

「大まかに言えば、木属性と土属性の違いですが……。『植え込み』は引っこ抜いたものでもどこでも植えられるスキルです。

ただ、植えたものが壊れたり、植えられた物自体が拒否反応を示す可能性は有ります」

「拒否!?レギ様、大丈夫なんですの!?」


そうよ、1ヶ月もカイロが体に貼り付いてるのよ!!

いや、カイロじゃないけど!!そりゃ不具合や拒否も起こるわよね!?

しかもそんな副作用があるなんて……考えただけで怖気が!!


「……まだ、一応は生きていられますから」

「ガッタガタだものね。拒否反応の上に、スキルを剥がす度に激痛が奔ったりするんじゃなくて?」

「……」


だ、黙られたってことは……ええええええ!!そ、それ大変じゃ無いの!!

そんな事を背負ってらしたなんて……!!

こんな幼気な子に何てことをさせるの、フィルル皇女にティム王子!!


「アローディエンヌさん、僕の為にそんな辛そうな顔をしないでください。フィオール姉さんの言う通り、僕が弱かったせいなんですから」

「だからって……」

「話を戻しますね。『嵌め込み』は元に有った物を、嵌めて直すといった能力です。ただ、元々存在した所でないと出来ませんけど」


そういう違いなのね。成程……。

スキルの事はサッパリ分からなかったけど、レギ様のお話は分かり易かった。

……居て頂いて良かったわ。悪いけどブライトニアだけじゃ解決はするかもしれないけど、疑問が残りまくって話にならないだろうし。


「そのスキルは、何方が持ってるんですの?」


当たり前だけど、スキルって誰かが持ってなきゃ使えないものね。

此処にいるのって、私とレギ様は水。ブライトニアは風よね。

そうよ、この面子、土属性居らんじゃ無いの。

……しかし、今思いつく土属性って、ルディ様しか私の知己に居ないんですけど!!

この廊下歩いてたらバッタリ出会うとか無いかしら!?

お持ちとは限らないけど、此処に捕まってるとは限らないけど!!可能性は有る!!


「フォーナ姉さんが持ってます」

「……フォーナが!?」


そ、そうだったの!!

あっ!!そう言えばレルミッド様とサジュ様がガチバトル……いえ、じゃれ合いしてた後、回復魔法使ってた時、黄色い光を放ってた!!

あれ、土属性の色だったんだ!!私、気付くの遅!!


「ああ、そういやそうだったわね。偶には役に立つのね、あの駄姉」


さっきからフォーナに散々だな、ブライトニアは。

……一体何故に其処まで忌み嫌うのよ。姉妹なのに……。

まあ、性格は合わなさそうだけど……。


「では、フォーナを探せば……」

「あの自意識過剰な小悪党の体の中に入ってるんじゃないの。どうせ大した魔力も無いだろうから、範囲は限られてるわ。この辺に居そうね」


……ロージアの中にいるのかあ。

き、気の毒だわフォーナ。

見た目は美少女だけど……あの子本当にえげつないしねえ。

しかし、声はどうなってるのかしら。フィルル皇女がロージアの声で喋ってたんだから、何か有るのよね?


「まあ、無事だと良いわね。……小悪党の体って見目麗しいの?」

「え?か、可愛いわよ?」


え。ロージアの見た目?

急に何なのかしら?


「幾ら悪食でも、流石に中身が妹じゃ喚く駄姉の餌食には流石にならないでしょうけど……どうかしら」

「……」

「冗談でしょう!?」


ちょおおおおお!!

今、一番怖気が奔ったわよ!!そう言うの止めて欲しいんだけど!!

レギ様まで暗い顔止めて欲しいわ!!


「ティム王子じゃなくて、フィルル皇女の毒牙に掛かるっていうの!?」

「悪食だもの」

「ティミーは、フィオール姉さんが好きですしね……。いや、でも大丈夫です。

多分フィルル・ナコには本命のニック師匠が居るから、下手に手出しはしないと思います」


いやいやいやいやいやいや!!

どっちにしても危機じゃ無いの!!

て言うかロージア!!物凄くえげつない話に乗ったのね!?流石考え無しね!!

自業自得過ぎて考えたくないわ!!

本当に、フォーナを巻き込まないで!!体元に戻ったらビンタくらいしてもいいわよね!?


ああ、フォーナ!!無事でいて頂戴!!

ダラダラ喋ってる場合じゃ無かったわ!!ロージアがフォーナを乗っ取ってから時間が経ってる!!

恐ろしい事が起こる前に何とかしなきゃ!!


「いいいい急ぎましょう!!フォーナを助けなきゃ!!」

「そんなに心配なの?」

「当たり前でしょう!?」

「真っ最中なら喚く駄姉だけ吹っ飛ばしてあげるから、心配しなくていいのに」

「そそそ、そういう問題だけど、急ぐに越したことないでしょう!?」


この子本当にえーと、レギ様の姉だから…14か其処ら!?言い方が明け透け過ぎるんだけど!!


「あ、扉が有りますね……」


あ!!漸く何か進展できそうな感じの扉が!!


「あら、中に何か居るわね」

「分かるの?」

「隙間からね。部屋の情報は色々探れてよ」


壁に手を付いたブライトニアが首を傾げた。

さっき気配は探れないって言ってたけど、近くでなら分かるみたいね

……超音波みたいなもん?……便利ね。


「……フィオール姉さん」

「何よ愚弟」

「扉が……物凄く並んでますね」

「……」


ホントだ。

照明で見える範囲で30個位扉が廊下の両側に見えるわ……。

こ、これを一つずつ探るの……!?

滅茶苦茶大変なのだけれど……。

ああ、ブライトニアが目に見えて苛々してる!!

細かいこと嫌いそうだもんなあ。


「全部吹っ飛ばすわ」

「止めましょう!?中にフォーナが居たら大惨事になるから!!!」

「魔力が戻ったばかりなんですから!落ち着いてくださいフィオール姉さん!!」


抱き付いて止める羽目になったのだけれど!!

ウサギ?の時と本当に変わらないわね!!それ所じゃ無いのに!!


スキル剥がしの解決策はフォーナだったようですが、彼女に危機が迫っているかもしれないですね。

取り敢えず扉が一杯有ったら、作者はRPG脳なので全部開ける派です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ