55.その不遜な態度、誰かに似ている
お読み頂き有難う御座います。評価、ブクマ誠に有難う御座います。
皇太子(12)に求婚されて迫られたと思ったら、謎の美少女が颯爽と現れました。
いや、訳が分からないわ。どういうこと?
……オーケーオーケー。ビークール私。
こういう時こそ落ち着かなきゃ。
ちょっと状況を整理しなきゃね。
えっと、ロージアのあの変なハート沼に飲み込まれて、フェレギウス皇太子に殺されるかと思いきや、何故か求婚されたのよね。
わー、凄ーい私ー、モブの癖に義兄さまと王子様2人に求婚されちゃったわー。下手な逆ハーもビックリな告られっぷりじゃない?
ルディ様は嫌がらせで、フェレギウス皇太子は半ば刷り込みって仕様だけど!!
超絶モテ期が到来したのねやったー……って全く嬉しくねえええええ!!
現実逃避出来ないいいいい!!
落ち着いてられる状況じゃねえわよね!?
何なのよこれええええ!?
「アロン!!何でいきなり死ぬ気なのよ!!人生舐めてんの!?」
うおっ!!忘れてた!!
目の前に……もう1人いたんだったけど!!
あまりの事にあんまりで……いや、この子もあまりの事だけど!!
「…ええと、あの、貴女…」
「助けを求めなさいよ!!呼べばいいでしょ!?アンタのあの義理の馬鹿兄貴は、何の為にそんなジャラジャラ枷一杯付けたと思ってんの!?」
「え、枷!?いえ、それより……」
「何!!」
「ふ、服は…どうしたの?き、着た方がいいと思うわ」
……何故、私は全裸の美少女に滅茶苦茶怒られているのかしら?
マジで納得がいかないのだけど。
て言うか枷って何だよ初耳だよ!!
義兄さま、一体私に何を付けたのよ!?
無事再会出来る気がしなかったけど、再会出来たら滅茶苦茶文句言ってやるわ!!
「……フィオール・ブライトニア…姉さん」
あ!皇太子が……無事だったみたいね。
この子の事知ってるの!?
「気安く呼ぶな、愚弟!!」
「ぐはっ!!」
何にもしてないのに、彼女が吼えただけで……また皇太子が吹っ飛んでしまった……!!
何なのこの子、何したか全くわからないけど、滅茶苦茶…強くない!?
空気がビリビリ振動してる……。
「あの、だから何方なの」
「あたくしが判らないですって!?
冗談止してよね、さっきまであんたが上に乗せて撫でてたでしょ!!」
……いや、幾ら記憶をほじくり返しても、こんな美少女を体の上に乗せたことなんてない……。
大体このチビな私ではこの子を乗せたら潰れてしまうわよ。
って、え?
この美少女の首に、すごく見たことがあるリボンが巻き付いている………。
一番最初、迷子になってはと……フロプシーに、選ばせた臙脂色のリボンだ。
え、……コレ、ええええ!?
「まさか、貴女は……フロプシー…………!?」
「特別に、アロンはブライトニアと呼んでよくってよ!」
いや、違うの?フロプシーじゃ無いの?
……何だか若干話が通じないのだけれど、何だこの子。
ヒートアップする前のフェレギウス皇太子の方が、まだちゃんと話出来たわよ……。
「いや、だから…フロプシーじゃないの?」
「アロンにはそう呼ばせてたわね!」
「本名はえっと、ブライトニアなの?」
「そうよ!さっきからそう言ってるじゃない!!鈍いんだから!!」
そんな全裸で威張られても………。
幾ら同性でも、滅茶苦茶目のやり場に困るし堂々としないで欲しいんだけど!!
た、確かに髪の毛の色は……フロプシーだ。ちょっと耳の先が黒くなってたカラーリングとか、そっくりというか、そのものだわ。
長いちょっと跳ねた髪の毛先が黒いグラデーションになってる…。と言うかこの世界、グラデ頭が普通に存在しててビックリだわ。ロージアだけが変わった頭なんじゃなかったのね。
バサバサした長い睫毛に囲まれた目の色も、レルミッド様とはまた違う色彩の濃い紫で…フロプシーと一緒。
変なウサギ?だと思ってたけど……まさか中の人が居たとは。いや、変身?中の人など居ない?
……私も相当混乱してるわね。
もしかして、この子、フロプシー…いや、ブライトニア。
マデル様とフォーナが喋ってた獣人……なのかしら。
おお……こんな間近に居たとは。
全く驚きすぎて…いや、他の事が気になり過ぎて、感動がどっか行ってしまったわ。
て言うか、あの小さいウサギ?がこんな…女の子になるの!?どうなってんの!?
異世界には質量保存の法則とか無いの!?
いや、普通に二次元では無さそうだけど、現実で起こると物凄くビックリするわね!?
「あ…うぐ……」
「あら嫌だ、まだ生きてるの愚弟」
フロプシー…いや、ブライトニアが…華奢な体の割にのしのし、とでも効果音が付きそうな位の勢いで、皇太子の方に向かっていく。
いや、さっきから悪い予感しかしないな!!
「ちょっと!!何をしようとしてますの!?」
「とどめに決まってるじゃない。それから服を剥ぐわ」
いやちょっと、弟に追い剥ぎ目的でトドメさすってどういうことなの!?
何でよ!?皇太子今の所無力化してるわよ!?
あ、だからなの!?碌でもないわね…!!
「はあ!?やめてくださいな!!弟なんでしょ!?」
「そうよ、半分だけね」
半分だけって何だ……片親違いってこと?
そうかー皇太子のお姉さんの1人……ってことは、この子も皇女様なの!?
全裸なのに!?そりゃ全裸でも服着てても皇女は皇女だけど!!
……いや、落ち着いて私。マジで相当混乱してるわ。
「止めてあげて弟さんなのですわよね!?追い剥ぎするくらいなら私の服貸しますから!!」
「アロンの服だと小さくない?」
確かにこんな低い所からの目視でも私より背高そうだけど!!くそっ!!チビで悪かったな!!
しかし目の前で殺人事件が起こるのはいただけない!!
思い込みは強いけど、其処まで悪い子でも無さそうだし……。
背中が痛むけど、私は苦労して何とか上着を脱いだ。
「ふん、やっぱり小さいじゃないの」
私が着ると、旅行用ドレスの上だから若干余裕は有るし、膝丈くらいの上着だったが、フロプシー…いや、ブライトニアが着ると太腿の上位になっている。
身長差が殆ど足だよ……。うう、この子もどう見ても私より年下なのに!!
これ以上伸びない我がモブさが!って身長はモブ関係無いけど!!何となくモブのせいにしてしまうのよ!!
……しっかし、何だか、チラリズムと言うか足そんなに隠れてないと言うか、余計にエロいな。
美少女って大変なのね。
「……フィオール姉さん、僕の上着を……」
「受け取ってやってもいいけど、反省しなさいよね!!」
「は、はい……」
か、可哀想に。
滅茶苦茶委縮している……。さっきまでの事は吃驚したけど、同情心しか湧いてこない……。
って、私も相当チョロいわね……。
嫌だわ、しっかりしないと!!
結局フロプシー……ブライトニアは、私の上着を腰に巻いて、皇太子の上着を着ると言うことで落ち着いた。
ヴェールも渡そうかと思ったけど、断られた。
「アロンがそれを取ったら、あたくしの可愛さと美しさにひっくり返るでしょ!却下よ!」
自意識過剰も甚だしい言い草だけど、実際恐ろしい程の美少女だからツッコミどころが無いわね。
大体ヴェールも透けてるし何の役にも立たないな。
弟さんの上着と、私の上着を腰に巻いた…ちょっと、大分ちぐはぐだけど……うん、その方がいいわね。全裸より絶対いい。間違い無くいい。
大体幾ら此処に居るのが弟と飼い主……いや、何だ?同居人?だったとはいえ、今誰がやってくるか分からんもんね。幾ら美少女で本人平気そうでも全裸はちょっと……。
それにしても、着ても着なくても……恥じらいもへったくれもない。うーん、獣人は開放的な気質なんだろうか。この子の生態…いや、性格がサッパリ分からない。……いや、性格はフロプシーなんだけど……。
「それで、あの……貴方達はご姉弟なのよね?」
「そ、そうです……」
「愚弟、あんた回復魔術使えないの!?アロンを治しなさいよ」
「す、すみません……気が付かなくて。今直ぐに」
皇太子が私の方を向いて、手を握ったかと思うと……青い光がほわほわと漂い、背中の軋みが、少し和らいでいく。
コレは……全快はしてないけど、コレで動けるな!!
「痛みが、マシに……。有難う御座います」
「あ、やっと、笑ってくれた……。どう、致しまして」
私のモブな笑顔にそんな勿体無いと言いたいほど、返して頂いたはにかみ笑顔が可愛いわ。
さっきのヒートアップしてる時は気圧されたけど、年相応で本当に可愛いわね…って私、本当に美形に弱いな。絆されそう。
「ふん、礼なんかいらないのよ、この愚弟がしでかしたことなんだから」
「そりゃそうかもしれませんけど、有難いと思ったからお礼を言ったまでですわ」
「ちょっと、何なのよその他人行儀な言い方」
「はあ?」
「大体あたくしだって何時も助けてやったのに、この姿だと距離を取る訳?生意気よアロン」
「フィ、フィオール姉さん……」
そんなふくれっ面で言われても。
何だこの子、可愛いな。いや、顔は滅茶苦茶可愛いけど。
「ええと……」
「大体さっきも愚弟から助けてやったでしょ!いつも通り撫でなさいよね!!」
……何だか、義兄さまと同じような波長を感じるな。
寄って来て頭をこすりつけて来たので、取り敢えず……戸惑いながらも撫でておいた。
いや……フロプシーと同じ毛質…いや、髪質だとは。
長さが有るからちょっとツヤツヤスベスベ感が増してるわね。
「ふん、悪く無いわ。流石3番目なだけ有るわね」
「3番目?」
「あたくしの愛するオルガニック、あたくし、アロンだから3番目よ。光栄でしょ?」
「何が?」
そんなドヤ顔で言われてもサッパリ分からないわね。
ウサギ?姿でもドヤ顔が多かったけど…。
いやそうじゃない。どう言う事?何が3番目?
「あたくしが大事にしてるものよ。ね、光栄でしょう?」
紫色の目を細めてぐいぐい近寄って来る……。近いな。
しかし……理解したわ。
これ、光栄だって言わないと余計詰め寄られるパターンだな。
でも何だかやけに気に入られてしまっているのね……。嫌われてはないと思っていたけど。
それはちょっと嬉しいな。
でも、ん?
……最初、何て言った、フロプシー…ブライトニアは。
耳の機能を疑うような言動を聞いたような気がしたのだけれど。砂でも入った?
まさかあの変なハートが耳に詰まってるとかじゃないよな!?うわ気持ち悪っ!!触った感じ何も無いけど脳髄まで犯されて無いよな!!
……でも、あんなのが脳髄に入り込んだら、間違いなく人格崩壊してるわよね。
大丈夫そうかな。後でどうなるかは分からないけど……気にしてもどうしようもないな。
「え……フィオール姉さんまで、ニック師匠がお好きなんですか……」
そんなゲテモノを見るような目をしなくても……私も多分今同じような顔だろうけど。
あたくしの愛するオルガニック、って……やっぱりあのオルガニックさんよね。
あの、蝋燭を介して接触してきたサポートキャラにしてオタクな………自意識過剰野郎みたいで言いたくないけど、私にハアハアしてる人……。
やべえ、すっかり忘れていたわ。怖かったし。
……カリメラと言い、ブライトニアと言い……。
オルガニックさんには皇族をメロメロにするフェロモンでも出てるんだろうか。ギャルゲ主人公体質的な…。
あのオタク語がウケるんだろうか。
いや、でもフェレギウス皇太子はあの変態って言ってたから、殿方には効かんのかしらね。
「当たり前でしょう。と言うか出会った時から死ぬまでオルガニックはあたくしのものよ。
あの駄姉共も大分減ったようで何よりだわ」
「減っ……!?カリメラ姉さんは!?フォーナ姉さんは…」
「あの危機感皆無で無能な駄姉と、能天気を装ってあざとい他力本願で迷惑な駄姉なら、アロンと此処に来る迄生きてはいてよ」
……だあね…って駄目な姉と書いて略してるのかしら。初めて聞く単語ね。
うん、フェレギウス皇太子への愚弟呼びもどうかと思うけど…お姉さんに対する言い方も酷いな。
仲が滅茶苦茶悪い事は理解したけど……。フォーナは其処まで罵られる……うーん、確かに性格が合わなさそうだけどね……。
あれ、でも…若干顔立ち似てる気がするわね。色合いは全く違うけど……兄弟だからって色合いがソックリじゃないものね。ドートリッシュとサジュ様なんてまるで色合いが違うし。
「ただ、あの能力無い割に身の丈以上の強欲な『保管庫』がどうして、あざとい駄姉を引っこ抜いて入れ替わったのか……」
「……待って、フロプシー…ブライトニア」
急に悪口から重大そうな事を言わないで欲しい!!
「『保管庫』って……ロージアの事!?」
「そうよ、あの光属性の空っぽなら詰め込み放題でしょ」
「……光属性の、空っぽ?」
……いやいやいやいや、どう言う事だよ!?
光属性って何?ロージアは水属性じゃ無いの?
ああもう、魔法には全く造詣が無いのが悔やまれるわ!!
……ロージアが光?あの子が光?あんな毒吐く子が光属性……。
……似合わないな。いや、似合う似合わないで属性が付く訳じゃないでしょうけど。
それにしても……義兄さま以上に唯我独尊で話し辛いな、ブライトニア!!
コレで私に好意的じゃ無きゃ、もっと話を省きそうよ!!そんな気がする!!
「……フィオール姉さん、あの……僭越ながら、僕がアローディエンヌに」
「さん、か様を付けなさい愚弟。あんたより年上で迷惑を掛けた相手よ」
……案外常識的な面もあるようだけど、フロプシー…いや、ブライトニアは私の事を呼び捨てだな……。
いや、世話してたのも有るけど…いや、何も言うまい。
何て言うか、こう、偉いオーラと言うか、物を言わさないみたいな…モブには無いものを持ってるのね。
そういう事にしておこう。
後、突っ込むと面倒くさいオーラも出てるし。
「はい……アローディエンヌさんには、僕がご説明した方がいいかと……その、フィオール姉さんは……僕の足りない点を補足頂けると」
「何で、あたくしがあんたの補佐をしなきゃならない訳?」
……何て感じが悪いんだ、ブライトニア…。
一応フェレギウス皇太子が遜っていると言うのに…不遜な態度が酷過ぎる。
何処かで見たわよ、こんな光景……。
……場所は王城で、義兄さまとか義兄さまとか義兄さまとかが、陛下を始め騎士様がたにこんな態度を……。
と言う事は……私が間に入った方がいいと言う事だな?
ああ、何か……こういうのに慣れてる自分が嫌。
義兄さまの馬鹿。
「……是非お願いいたします、皇太子……。フロプシー…いえ、ブライトニア」
「仕方ないわね、アロンがそういうなら」
「……やっぱりアローディエンヌさんは優しい……」
「愚弟、余計な事を言わずサッサとなさい!!」
「は、はいい!」
うっ、また空気がビリビリしてる!!
何なんださっきから、このビリビリ!!私の過剰なアクセサリーがその度震えるのは何でなの?
「取り敢えずこんなしみったれた地下から出るわよ。何時襲撃が来るか分かったもんじゃ無いわ」
と言うブライトニアの提案にて、神殿を出る事となった。
「裸足で大丈夫なの……?」
「死ななきゃよくってよ。大体、蝙蝠ウサギは裸足よ」
いや、私が抱えてるのが殆どで、それ以外は浮いてたと思うんだけどな……。
認識違いかしら。見識の違い?
「……アローディエンヌさん、フィオール姉さんは…地面に針が落ちていようとトラバサミに挟まれようと…音波で粉砕できますから………大丈夫です」
「え、どう言う事なのですか……!?」
針は…いや、普通裸足で踏んだら突き刺さって危ないけど、トラバサミって何よ!!
人がひっかかる大きさのトラバサミが設置されてんの!?そんなもん普通粉砕できないよ!?挟まれたら死んじゃうじゃない!!
「ふん、生まれた時からそうなのだもの。説明なんかできないわ。
大体あんたの義理の馬鹿兄貴の性別変換だって、説明が付かないし説明されてないでしょ」
「そ、そうだけれど……」
何で私の周りには…義兄さまと言い、初めて会う方と言い、こんなビックリ人間が多いんだろうな…。どう考えても規格外の人ばっかに会ってる気がする。モブなのに。
普通の人と会った記憶が遠い気がする……あ、カリメラは普通の人だったわね。
でもこの子らと兄弟なんだよな……。
さぞかし生きづらかった事だろうな……。同情するわ。
カリメラは今地上で無事かしら。
考えて見りゃ、私は地下に落とされ、フォーナは乗っ取られって……今カリメラの味方って殆ど居ないじゃん……。……うわー、どうしよう。サジュ様がお守りされることを期待しよう……!!
サジュ様…すみません、此処から生き残ったらドートリッシュと一緒にお腹いっぱいご馳走しなきゃ。
「義理の馬鹿兄貴だけ態度が悪いわよね。他は駄姉以外……まあまあだったけど」
……義兄さまとお姉さん以外の面子はまだフロプシー…いや、ブライトニアのお眼鏡に適ったのか。
まあ、マデル様もレルミッド様もサジュ様も、基本はマトモだものね…。
「突っ込まなかったけど、義理の馬鹿兄貴って義兄さまのこと?ずっとそう呼んでたのね…。
一応貴女の拾い主なのだけれど」
「ふんっ、協力関係なだけよ。心が狭すぎてどうかと思うわ!
まあ、あたくしもいずれオルガニックを閉じ込めて囲い込みたいから、参考にはなったけどね」
「はあ!?」
「フィオール姉さん……!?」
「ふふふん、楽しみだわ……待っていてオルガニック……」
閉じ込めて囲い込みたいィ!?
可愛い声で怖い返事が返って来たな!!!何の参考にしたんだよ!!
オルガニックさんには怖いなって感想しかなかったけど、初めて同情心が湧いたわ!!
い、一応私義兄さまに閉じ込められても囲い込まれてもいないのだけれど……余所から見たら、囲い込まれていたのだろうか……。
結構呑気に暮らしすぎたと思ってたけど、……引き籠るのも考えものね、ホント。
此処から出れたらもう少し外出しよう。軟禁されてるつもりなかったからね、マジで。
……若干精神的に疲れたけど、私達は皇太子の婚礼の為の神殿を後にすることとなった。
確かに此処にとどまってたら良くは無いわよね。フィルル皇女が何か仕掛けてくるかもしれないし。
うーん、神殿以外は普通の地下道…のようね。
一応石造りではあるけど、簡素な造りだわ。
そして、皇太子は話を始めた。若干ブライトニアから距離を取っている所が……いやまあ、しょうがないよね。
「事の始まりは、ドゥッカーノ王国で大火事が起こった時の事です」
うっ!初っ端から義兄さまが絡んでいる!!
フロプシー=四代目悪役令嬢、フィオール・ブライトニアでした。
義兄さまとは若干同族嫌悪気味だったようですね。




