/1 勇者、リスポーンする。
本日も新作投稿ンヒー└(՞ةڼ◔)」
最近、佐藤さんの精子が、じゃなくて生死が心配です。
僕はユッシヤ。勇者だ。今、僕は魔王と戦っている。このままいけば勝てる……と言いたい所だが恐らく無理だろう。ここで僕は死ぬ。……せめて、この勇者の力を誰かに託すことが出来るのなら……その人が…魔王を倒してくれる……勝算の薄い賭けだが、そう信じるしかない……。
もう時間が無いので誰に渡すかは選べないが…
優しく、まともな人にこの力が渡されることを信じよう。すまない、僕の代わりに魔王を倒してくれ…………。
------------------------------------------
………ねぇ、この流れでまともな人に力が渡ると思った?
そーんな都合がいい話…あるわけないよねぇ?
力を受け継いだのは、ゲス野郎でしたぁぁあ!
------------------------------------------
俺はゲースだ。どこにでもいる一般市民だ。
いや、だった(・・・)。
俺はどうやら、今日から勇者になるらしい。
きっかけは昨日の夜の事だ。
俺は悪友であるヒキョン、コソック達といつものように遊び、いつものように家に帰り、
いつものように飯を食い、風呂に入り、寝た。
ここまでは(・・・・・)何の変哲も無い日常だった。
そして俺は夢を見た。
勇者を名乗る青年と何か話をする夢だ。
生憎、詳しくは覚えていない。
だが、この夢のあとに異変が起きた。
体から力が湧き上がってくるのだ。湧き上がりすぎて脇や背中からオーラが滲み出ている。
……このオーラ……ただの……寝汗だった…。
それに、なんか知らないスキルめちゃくちゃ覚えてるんだけど?
どうした、俺の体。悪い事をしまくったから神様から御褒美が来たのかな?
ゲースススス!なんにせよこれで、憧れのぉ!俺TUEEEEE!が出来るぜぇ!
……はぁ。実際、そんな良いことじゃないんだよな。勇者になるって。
勇者って魔王から危険視されてすぐぶっ殺されるんだよな……。
勇者さん、俺が生きてる間にもう5人は逝ったな。少なくとも。
町にも入りづらくなるんだよなぁ。
『あんたのせいでこの町が魔王に目をつけられたらどうすんだ!帰ってくれ!』
…これ、テンプレな。
職場でもおんなじ事言われて解雇されるし、家からも追い出されるし………。
あれ?勇者になるって、悪い事しか無くね?
ちょっとこれどうすんのー?これじゃ、御褒美じゃなくて罰だよね?
嫌だぁぁ!!!俺まだ引きこもってたいぃぃい!冒険出たくないよぉおお!でも死にたくないよおお!
…………さてはこれ、死にたくなければ強くなるしか道はないって奴だな?
俺は余裕を持って勝てる勝負しかしたくないんだよね。
だから俺は魔王を軽く捻られるくらいに強くなるしかないだろう。修行するしかない。
非常にめんどくさいし、とても憂鬱だ。
…………。
あっ!そうだ!コソックとヒキョンを巻き込んでやろう!死なば諸共、旅は道連れ!
ゲーススススススス!
------------------------------------------
「なぁコソック。」
俺は思い詰めた様なフリをして、後ろでカネを眺めて癒されてるコソックに話しかけた。
さて、コソックをどう勇者にしてやろうか。
「あぁ、ゲースでやんすか。なんでやんす?」
馬鹿め、呑気なやつだ。これから面倒事に巻き込まれるとも知らずに。
取り敢えず俺が勇者になった事を信じさせるか。
「俺、勇者になったみたいだ。」
その言葉を聞いたコソックは可哀想な物を見る様な目で俺を見て、小馬鹿にした様な表情をして言った。
「…は?とうとう頭がやられたでやんすか?
いい病院紹介するでやんすよ?」
やはり正当法では信じてもらえないか…。あとその顔とても殴りたくなるからやめてほしい。
「どう説明すればいいかわかんねぇけど、昨日勇者の力を手に入れたんだわ。」
「はいはい。また始まったでやんすか。そろそろ厨二病はやめたがいいでやんす。大体、勇者の力ってなんでやんすか?」
俺はその言葉にイラっとしながらも答えた。
我ながらよく耐えてると思う。いつもだったら顔面を思いっきり殴っていた。間違いない。
「詳しくは分からんけど、スキルの事じゃね?なんかスキルがいっぱいあるんだが、今把握してる限りでは『スキル封印*』『状態異常の神*』『千里眼*』『鑑定*』『忍者*』『スキル譲渡*』『立体機動*』『瞬間移動*』『命中率超補正*』『魔法(邪)*』『透明化*』『気配察知*』……こんな所か。」
それを聞いたコソックは半信半疑といった様子で、
「…………多すぎじゃないでやんすか?それに所々勇者じゃないやつ混ざってる気がするでやんすね…。それにしてもそれが本当だとしたら相当強いスキル群でやんす。」
信じてねぇな。んーめんどくさい。どう信じさせようか。
……あ!コソックに勇者のスキルを分けてやれば良いんじゃね?信じてもらえるしコソックは勇者になるし一石二鳥じゃないか!
最初からこうすりゃ良かったぜ。
「信じてねぇだろ?なら、スキルを分けて本当だって教えてやるぜ。魔王に一人で挑むとか無理だしな。喜べ、お前も魔王狩りに巻き込んでやるよ。ゲースススス!」
「はぁっ?ちょ、ちょっと待つでやんす!いや、信じたわけじゃないでやんすけど面倒ごとはマジで勘弁でやんす!やるならあっしじゃなくてヒキョンにするでやんす!」
残念だな。君はもう勇者になるしかないのだ。なぜならお前は俺の友達だからな!遠慮無く巻き込ませてもらうぜ!ゲーススス!
そして俺はそれはそれはいいゲス笑顔で、
「ゲススススス。何言ってんだ?ヒキョンも巻き込むに決まってんだろ。俺ら友達だろ?
こういう時こそ助け合うべきだと思うぜ?
ほい、コソックに『千里眼*』『命中率超補正*』『魔法(邪)*』『瞬間移動*』を譲渡!
…ゲススス。これでコソックも勇者だな。」
「うわぁあ!チクショウマジでやりやがったでやんす!ていうか本当にスキル持ってたでやんすか!?なんでマジでやったんすか!?
そもそもお前に助けられた覚えはないでやんす!これじゃ一方的な依存でやんす!」
俺は発狂して怒鳴り散らしまくるコソックを宥めながら言った。
「おいコソック。考えてみろよ。これは勇者のスキルだぞ?そんじょそこらのスキルとは文字通り格が違う。このスキルを上手く悪用すればお前が好きなカネだって幾らでも手に入るぜ?魔王だって俺らが手を組みゃ瞬殺よ。ゲーススススス!なぁ?いい事尽くめだろ?」
相手にとって、都合のいいことしか言わない。交渉術の基本だな。
俺がそんな事を考えてるとは全く気付かずに
コソックはメリットのみ(・・)を思い浮かべ、そして顔を輝かせながら興奮気味に言った。
「……確かにそうでやんす!コソコソコソ!
このスキルを悪用すればあんな事やこんな事もし放題……!こうしてはいられないでやんす!早くそこらへんでストーカーしてるヒキョンを見つけ出してさっさとスキル譲渡するでやんす!」
ちょろい。我が友ながらちょろすぎっすわ。
「ゲーススススス!よく分かってるじゃないか。じゃあ行くか、コソック。」
その後、同じ様なやりとりをして無事ヒキョンに『忍者*』『立体機動*』『透明化*』『気配察知*』をスキル譲渡した。
その夜、
「ゲススススススス!」
「コソコソコソコソ!」
「ヒッキョヒッキョ!」
という特徴的な笑い声が町中に響き渡った。
------------------------------------------
主人公達のスキル一覧
ゲース
『鑑定*』『スキル封印*』『状態異常の神*』『スキル譲渡*』『生活魔法』『挑発』
『威嚇』『生産術』
コソック
『命中率超補正*』『千里眼*』『魔法(邪)*』『瞬間移動*』『生活魔法』『逃走術』
『詐欺術』『盗賊』
ヒキョン
『忍者*』『立体機動*』『透明化*』『気配察知*』『生活魔法』『過食』『尾行術』
『発汗/発汗抑制』
⚠︎
*マークが付いてるやつは勇者のスキル。
それ以外は元々彼らが持っていたスキル。
元々持っていたスキルを見れば、彼らがどんな暮らしをしているか容易く想像出来るね!
スキル説明(勇者スキルは除く)
長いから別に読まなくても大丈夫。
『生活魔法』
この世界では必需品といっても過言ではないスキル。生活がとっても便利になる。平均5歳くらいで獲得する。
『挑発』
相手がイラつくポイントが手に取るように分かるスキル。日々欠かさず誰かをイラつかせたらいつか獲得出来るらしい。
『威嚇』
相手が少しビビる。相手の攻撃が一段階下がる様な事は起きない。日課のように人を恫喝していたらいつの間にか獲得できている。
『生産術』
創造力に溢れ、尚且つ手先が器用な者が稀に獲得出来るスキル。生産したら大体高性能だったり、物を作る際にアイディアがいきなり出てきたりする。
『逃走術』
逃げる時、脳が興奮し、疲れをそんなに感じなくなる。分かれ道などの時、どちらに逃げたがいいかがなんとなく分かる。嫌な敵や現実、捕まりたくない相手などから逃げ続けたら獲得出来る。
『詐欺術』
自分が言った嘘が信じてもらえやすくなる。
息を吐くように嘘を言っていたら獲得出来る。
『盗賊』
どこに金目のものがあるかが感覚で理解出来る。また、扉などに鍵が掛かっていても難なく解除出来る。人から物を盗んだり、騙し取ったりを繰り返せば獲得出来る。
『過食』
デブ特有のスキル。めちゃくちゃ食べれるようになる。太りやすくなってしまう。汗がまるで油のような性質になってしまう。汚い。
『尾行術』
尾行がとても上手くなる。特定の人物を尾行し続けたら獲得出来る。本来なら刑事とかが獲得するべきスキルなのだが……。
『発汗/発汗抑制』
発汗は新陳代謝を異常に良くして凄く汗を掻くスキル。太り過ぎて死にそうになった時に体が防衛措置として覚えるスキル。発汗抑制は発汗を抑制する。