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「お前とは婚約破棄だ!」と、私の婚約者が言いました。私の妹に。

作者: 井上さん
掲載日:2026/10/13

名前を借りました


フィクションです

「お前とは婚約破棄だ!」


 婚約者のオームが妹アンペアに言った。

夜会の最中に。



オームは、私クーロンの婚約者である。


 私と婚約したのに、勝手に脳内変換して、その時は可愛かった妹アンペアを婚約者だと思い込んでいたアホだ。



 だが、数年経ち、私が美人系になったとたんに、私に纏わりついてきていた。私は無視していたが。



 そして…アンペアに向かって婚約破棄宣言をしたのだ。


「ありがとう!」


 私は礼を言って、家に帰った。




きっと、オームは、アンペアとの婚約を破棄し、私と婚約をし直そうと思っているのだろう。


だが、残念ながら、私との婚約を破棄したのだ。


 いつ、私が本当の婚約者だと思い出すかと思っていたが、全く思い出しもしなかったらしい。



 私の両親と、オームの両親には、アンペアを婚約者だと思い込んでいるから、婚約は白紙にしたいと言ってある。

そもそも、最初の時点でお互いの両親達も見ていたから知っていた。






「父上!私はアンペアとの婚約を破棄し、クーロンと婚約します!」


「婚約破棄はしておこう」


「ありがとうございます!」


「本当に良いのだな?」


「はい!」


 婚約破棄の書類を作成し、執事に提出するように渡す。


「父上!改めてクーロンと婚約の手続きを!」


「今、婚約破棄したぞ」


「それは、妹のアンペアで…」


「お前の婚約者はクーロンだ」


「え?」


「お前の婚約者はクーロンだ。たった今、婚約破棄したがな」


「え!?どういう事ですか?」


「お前は、婚約者のクーロンを無視して、妹を婚約者だと思い込んだ」


「え?」


「当時は、妹の方が可愛らしかったから、何度も姉が婚約者だと言っているのに聞き入れなかった」


「…え?」


「お前のような愚か者は、廃嫡だ」


「え!?」


「婚約者を誤認して、本当の婚約者を蔑ろにしていたのに、成長して美人になったからと手の平を返した。聞かなかったのは、お前だ」


「そんな…」


「既にワットには、後継者教育をしている」


 ワットはオームの弟だ。


「え!?」


「お前は後継者のくせに、勉強すらしていなかったではないか」


「それは…」


「女の尻ばかり追いかける男は、当主には向かない。別邸に幽閉する。お前の資産は慰謝料としてクーロンに渡す」


「お待ちください父上!」


「もう決まった事だ」


「そんな…」






 アンペアは、大勢の前で婚約破棄だと言われた。婚約すらしてないのに。


ずっと、私の婚約者オームが、妹の婚約者だと思われていたから、婚約の申し込みも無い。


仕方なく、領地の邸でひっそりと暮らす事になった。






 私は、新しい婚約者を探す事になった。

アホと婚約破棄できて良かった。



婚約の顔合わせの時に、私の顔を見たオームは、隣にいた妹のアンペアの手を握り


「君と婚約できて嬉しいよ」


 と言った事は一生忘れない。


ずっと私をいないものとして扱ってきたのに、学園に入学して、久しぶりに会った私に


「一目惚れした!」


 と言ってきた時は、本当にバカだなと思ったものだ。


今まで無視してきた男を、好きになると思うなんて、本当にアホなんだろうね。




 婚約を申し込んで来たのは、同じクラスの令息ラジアンだった。


「君には婚約者がいたから、遠慮していたが、もう良いよね?」


 良い笑顔で言ってきた。




上位の貴族には、婚約の発表をしているから、私とオームが婚約した事を知っている。


 だから学園で、オームが、アンペアが婚約者だと言い張るのを、奇異な目で見ていた上位貴族の子息令嬢は多い。


 子息令嬢達から親へと話しが伝わり、オームもオームの家もおかしいのでは?と、交流を控えていた。



 巻き込まれたくないので、アンペアへの婚約の申し込みも控えていたようだ。



 私とオームの婚約が決まった時、オームが私を無視してアンペアの手を取った事で、アンペアは私に優越感を感じたらしい。

 オームと2人でイチャイチャするのを見せ付けてきた。

プレゼントされた物を見せびらかし、どこへデートしたと自慢気に話してきた。



…全部右から左へ受け流してきたけど。



 だから、婚約破棄を告げられて、自業自得だと思った。


婚約者でもないのに、婚約者として振る舞った。


 他に婚約の申し込みがないのも、姉の婚約者なのに、自分が婚約者として振る舞ったからなのもあった。







 ラジアンは、全部知っていて、黙って見守っていた。


「1番近くで見てきたからね」


 ウットリとした顔で、クーロンを見つめた。



ラジアンは、幼馴染だった。


母親同士が仲良くて、小さい頃からお互いの家に遊びに行く間柄だった。


 ラジアンは、クーロンの紫ががった青い瞳を見て、いつか結婚するのだと、物心ついた頃から思っていたらしい。




 それなのに、政略結婚で、クーロンはオームと婚約してしまった。


クーロンの幸せを願い、身を引いたラジアンだったが、オームはアンペアが自分の婚約者だと思い込んだ。


 婚約者のクーロンを無視し続け、クーロンを傷付けていた。


それが、学園に入学した途端に、手の平返しで、クーロンを追い掛けた。


「婚約者の」アンペアを無視し「婚約者ではない」クーロンに絡む。


どちらに対しても不誠実だ。


 だから、婚約破棄を宣言した時、クーロンとの婚約破棄をしてくれて感謝したのだ。


クーロンは、私と結婚するのだから、返してくれてありがとう、と。


表向きは交流はないが、手紙のやり取りはしていた。


「ありがとう」


 クーロンが微笑んだ。


紫がかった青い瞳は、今日も美しい。


「結婚しようね」


 クーロンに手を差し出すと、クーロンは手を取ってくれた。


「ありがとう!幸せにするよ!」


 抱きしめたクーロンは、頬を赤らめとても可愛かった。




読んでいただきありがとうございます

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― 新着の感想 ―
勘違い男もヒドいが妹ちゃんも相応にアレやな
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