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新しい合い言葉

作者: 畝澄ヒナ
掲載日:2025/12/11

私には親友と呼び合う、美々(みみ)ちゃんという女の子がいる。

でも、最近その子の様子がおかしくて、私は少しずつ距離を置こうとしている。

(いち)ちゃん、小学校終わったら公園ね!」

私の名前を呼ぶ美々ちゃんは、毎日毎日、私に付きまとって、正直鬱陶しい。

「美々ちゃん、私も他の子と遊びたいから、また今度ね」

「なんで? 美々たち親友でしょ? そんなのおかしいよ」

いつも延々と話しかけてくるけど、今日は流石に他の友達が黙っていなかった。

「ちょっと、壱が迷惑してるでしょ!」

「美々たちは親友なの! 壱ちゃんは私のものなの!」

合い言葉のように『親友』と喚き散らす美々ちゃんに、私は言い放った。

「キモい、ウザい、もう付きまとわないでよ」

美々ちゃんは俯き、ぶつぶつと何かを呟き始めた。

「何こいつ、もう行こう」

友達の言葉で、私は美々ちゃんから離れた。


あの日から美々ちゃんとは関わっていない。

いつの日か、学校にも来なくなった。

「南美々さんが、事故で亡くなりました」

先生の言葉に驚いたものの、私は心のどこかで安堵していた。

もうあの子はいない、解放されたんだ。


私は三人の友達と過ごすことが多くなった。

学校の裏山に秘密基地を作って、そこで遊ぶ毎日。

「そうだ、合い言葉を決めようよ」

「いいじゃん!」

「何にする?」

口々に話し出す友達。

そこに私は、一つの案を出した。

「私たちは、友達、でどう?」

彼女らは拍手しながら賛成してくれた。


合い言葉の使い方は簡単。

秘密基地に辿り着いたら、まずノックをする。

返事が来なかったら一番乗りということだから、そのまま秘密基地に入って待機。

外からノックが聞こえたら返事をして、『私たちは』?と聞く。

相手が『友達』と答えたら入れて良し。


私が一番乗りの日、ノックを楽しみに待っていた。

コンコンと木の扉を叩く音が聞こえ、私が応える。

「はーい。私たちは?」

「親友」

間髪入れず聞こえた返事は、決めていた合い言葉とは違った。

「もう違うよ、合い言葉は……」

「合ってる。美々たちは親友だから」

背筋が凍った。そんなはずない、きっと誰かのいたずらだ。

私は思い切り扉を開けた。

「誰も、いない?」

「やっと、美々を受け入れてくれた」

声は私の後ろから聞こえた。

肩に誰かの手が、力強く触れている。

怖くて振り向くことが出来ない。

「私……そんなつもりじゃ……!」

「これでずっと一緒だね」

その瞬間、目の前は真っ暗になった。

作者の畝澄ヒナです。

短編ばかり書いている、自称小説書きです。

この作品を読んでいただき、ありがとうございます。

良いと思ったら、何かしら反応くださると跳んで喜びます。

よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
るふぇに様の配信より参りました。面白かったです!
Xから飛んできました ホラーとしては怖さがちょうどよく、重たくなり過ぎず 読みやすかったです なろうラジオ大賞に参加してるんですね お互い頑張りましょう
xから来ました! 怖いですね。 でも現実にありそうで一気に読んでしまいました。 私も長いですが昨年からカキカキしています。 よろしければ感想評価いただければ幸いです。
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