アンデット最強勇者ダイン
ミノタウロスが現れて、俺はリサに回復の魔法をかけて貰い、俺は回復の魔法をかけて貰ったのに、吐血してダメージーを喰らってしまった。
いったいどうしたと言うのだ。
どうして回復の魔法をかけて貰ったのにダメージーを喰らってしまったのか?
そんな事を考えている暇などない。
ミノタウロスはその大きな鉈の様な者を俺に振り落とす。
俺は瞬時にその振り落とされた鉈をよけて、回避することに成功した。
危なかった。このままではミノタウロスに殺されてしまうところだった。
そんな時である。幻聴か何か分からないが頭に木霊した。
『あなたは吸血鬼、つまりアンデット、回復魔法はダメージになる。でもあなたはミノタウロスを倒す最強の力を持っている。さあ、今から呪文を唱えるときが来たのよ』
吸血鬼?アンデット?呪文?何の事だ。
今はそんな悠長な事を考えている暇などない。
とにかく目の前には貴族も舌を巻く、ミノタウロスがいるのだった。
「ダイーーン」
そう言ってリサは炎の魔法を唱えたがミノタウロスにはびくともしなかった。
やっぱり俺にはミノタウロスを倒すには無謀すぎたのかもしれない。
『呪文を唱える時よ。ホーリーセイバーと』
俺は幻聴なのか何なのか分からないが言われた通り、「ホーリーセイバー」と呪文を唱えた。
すると俺が持っているダガーが白く光る剣へと変化した。
凄まじい呪文だと感づいた。
ミノタウロスは俺に巨大な鉈を振りかざして来た。
それをホーリーセイバーで軽々と受け止める事が出来た。
「せい!」
そう言ってミノタウロスが持つ巨大な鉈を軽々と押しのけた。
ミノタウロスが狼狽えている。
ミノタウロスに隙が出来た。
今度はこちらから行く。
「魔石採取の邪魔をするミノタウロスよ。観念しろ!」
そう言って俺はミノタウロスにホーリーセイバーで眉間である所に突き刺した。
するとミノタウロスは咆哮しながら、霧散して消えていった。
本当にミノタウロスをやっつける事に成功した。
これで俺とリサは落ちこぼれではなくなる。
俺がミノタウロスにとどめを刺した時、洞窟から盛大な装備をした者達がやってきた。
あれは貴族の連中だ。なぜこんな所に貴族の連中が現れたのか不思議に思った。
「おい、お前、大丈夫なのか?」
一人の鎧貴族の者が俺に聞いてきた。
「俺は大丈夫です。それにミノタウロスをやっつける事が出来ました」
「そうか、お前の様な貧民風情がミノタウロスをやっつけるなんてな」
何て俺に皮肉を言ってくる貴族。
「それよりもなぜあなた方、貴族の人がここにやってきたんですか?」
「あのギルドの案内人のレバナに聞いた。ミノタウロスを討伐に出かけて行った落ちこぼれの勇者と賢者を助けに来たのだ」
「その必要はありませんよ」
「お前が持っているその白い剣はホーリーセイバーだな」
「はいそれがどうかしたのですか?」
「そのホーリーセイバーは上級貴族でもなかなか使える者は少ないと聞いている」
確かにそうだ。ホーリーセイバーは上級貴族にも使える者はあまりいない。
「とにかく、立ち話も何だ。洞窟を出るぞ」
そう言って洞窟を出ようと思って、リサの方を見ると、よつんばになって茫然自失になっていた。
「リサ、行くぞ」
そう言うとリサは壊れた人形のように動かないままでどこか明後日の方向を見ている。
「私は何もする事が出来なかった。私はダインの足手まといだ」
そう言ってリサの瞳から涙がこぼれ落ちてきた。
俺はリサの事を昔から良く知っているので、リサの気持ちは分かる。役に立てられなかった事に対して自分が許せないのであろう。
「とにかくリサ、洞窟を出るぞ」
そう言ってリサは覚束ない足取りで歩き出した。
こいつは俺が守ってやらないとな。
★
それで俺達は洞窟を出てレバナさんに出会う事になった。
「ダインさん大丈夫?私があんな上級貴族でも舌を巻くミノタウロスの討伐を出かけさせたのは私だったから、責任を感じて貴族の人達に頼んで応援を頼んだのだけれども、大丈夫のようね」
すると鎧を纏った貴族の者が、
「こいつは本当にミノタウロスをやっつけたんだ。確かに俺は見た」
「ダインさん。ゴメンね。あんな無茶な依頼を止めることが出来なくて」
レバナさんは凄く責任を感じているみたいだ。
どうやら本当は以前の俺みたいな奴は畑を荒らすスライム討伐しか出来なかったのだから、無理はないと思っている。
「いや無茶とは言えなかったぞ。あのミノタウロスを相手にホーリーセイバーで一撃で倒したのだから」
鎧貴族の人がそう言ってレバナさんは、
「ホーリーセイバーって上級貴族の中でも使える者はあまりいないと聞いているわ。あなたどこでそんな魔法を勉強してスキルにしたの?」
「いや自分でも分かりません。とにかく俺はミノタウロスを倒すことが出来たのです。ギルドで報酬を下さいよ」
「分かったわ」
そして俺達はギルドに戻り、ミノタウロスを一撃で倒した事がギルドないで噂になり、その中に信用しない者は少なからずいた。
ミノタウロスを倒して多額の報酬を得た。
「リサ、見ろよこれ」
そう言ってリサに見せたのは袋いっぱいに詰まった金貨であった。
「私はダインにあんな失態をして、邪魔をしてしまった。それにダインが回復魔法を拒むような体になっていたなんて事も知らずに」
落ち込んでいるリサ。
「元気出せよ。俺がアンデットだった事を知らなかったんだろ。それは仕方がないことだよ」
「アンデット?どうしてダインは蘇ったの?アンデットとして!?」
「俺も良く分からないが、あの時ケルベロスに遭遇して俺は殺されて、リサは生き残った。それで俺を生き返らせる奴が現れたんだよ」
「ダインを生き返らせる人?」
「ああ、それで俺は生き返ることが出来ることが出来た」
「それでダインはアンデットになってしまったのね」
「そうだ。俺はアンデットだ。回復魔法は俺を回復することは出来ない。でもそれ以外では普通に生活する事は出来る」
リサは酷く落ち込んでいる。俺がアンデットだと言うことにも知らずに、回復魔法を唱えて、俺に負担を追わせてしまった事に。
「やっぱり私には淫売婦として働くしかないのよ」
またそんな事を言っている。
「じゃあ、リサ、俺の為にもっと高等な呪文を勉強しろよ。金はここにある。これで高等な魔道書を買って、呪文の勉強をしろよ」
そう言って俺はリサに大量に詰まった金貨をもう一つの袋に半分入れてリサに手渡した。
「受け取れないよ。私はダインの足でまといしかなれないんだよ」
「だったらこの金を受け取って、高等な魔道書を買って、魔法の勉強をして俺に役に立てろよ」
そう言うとリサは俺が渡した金貨を受け取ってくれた。
「分かったわ。私も賢者のはしくれ、このお金であなたの役に立てるような力を得ることにするよ」
「そうだよリサ。俺のパートナーはお前しかいないんだからな」
そう言うとリサは機嫌を取り戻して、酒場で盛り上がって、肉や酒を飲んだのだった。
★
次の日、俺が世話になった孤児院に向かった。
ちなみにリサは部屋にこもって、昨日買った魔道書で勉強している。
リサは俺の役に立とうとしている。
そうだ。リサ、俺は訳が分からないがこんなに強くなってしまった。だからリサ、お前も強くなれ。
でも俺は強くなったのはフレアと言う小さくて赤い赤い目をして銀髪の少女に助けられて蘇った俺は強くなってしまったんだよな。
俺がそいつに会わなければこんなには強くなれなかった。
本当はミノタウロスの様な奴に敵う人間でもないんだよな。
そう思うと俺はちょっと情けない感じがした。
俺は頑張らなくて強くなれた。でもリサは強くなろうと昨日渡したお金で魔道書を買って魔法の勉強をしている。
そこで今日はギルドの冒険を休みにして、リサは部屋にこもり魔法の勉強をしている最中に、俺とリサが世話になった孤児院に向かった。
孤児院に向かうと相変わらずにボロい家に粗末な物しか食べられない様な所だった。
でも孤児院の施設長は優しくみんなに平等に優しく接してくれた。
俺が孤児院の扉をノックすると、施設長のおばさんが出てくれた。
「あら、あなたダイン」
「どうもこんにちは」
「あなたは冒険者になったんだよね」
「はい冒険者になり、洞窟でミノタウロスを倒して大量のお金が入ったので、ここに寄付をしに来ました」
そう言って少ないが施設長に金貨の入った袋を差し出した。
「あなたこれ金貨じゃない」
「はい、とりあえずこれを受け取ってください」
「受け取れないわよ。こんな大金」
「そんな事を言わずに受け取ってください。俺とリサはここでお世話になったんですから。これで子供達にうまいものを食べさせてあげてください」
「あなた本当に優しいのね。じゃあ、遠慮なくいただいておくよ」
子供達が外で元気よく遊んでいる。
俺の顔を見ると一人の男の子が、
「ダイン兄ちゃんだ」
するとみんな俺の所にやってくる。
「ダイン兄ちゃん。冒険者になったんでしょ」
「ああ、俺は冒険者になった。しかもあのミノタウロスを倒す事に成功して、大量のお金を手にしたんだ。それでお前達にうまいものを食わせてやりたくてな」
「さすがダイン兄ちゃん。そう言えば、リサお姉ちゃんはどうしたの?」
「リサはちょっとな」
あいつが落ち込んで、俺の役に立てないからと言って、今俺とリサが暮らしている家で勉強をしていることは内緒にしておいた。
「じゃあ、ダイン兄ちゃんそろそろ行くな」
「エッ!?もう帰っちゃうの?」
「ああ、俺も忙しくてな」
そう言って俺は孤児院にお金を渡して帰ることにした。
俺とリサが暮らす家に帰ると、リサは相変わらず魔法の勉強をしていた。
本当にこいつは凄いな。
でも俺は頑張って、この力を得た事ではないんだよな。
そう思うと何か複雑な気持ちになった。
俺はアンデットである吸血鬼として蘇った。
どうしてあのフレアと言う幼女は俺を助けたのか?
それにこんな力を授けてくれたのか?
そう思うと何か嫌な予感がしてままならない。