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無謀な挑戦

 朝になり、俺は目覚めると、リサが俺のことを見つめていた。


「どうしたんだよリサ。朝っぱらから俺の事を見つめて」


「だってもしかしたら、ダインまた死んでしまったのかと思って」


「俺は生きているよ。とにかく朝飯の用意をしてくれ」


 そう言って起き上がり、リサはとっくに朝ご飯の用意をして俺の目覚めを待ってくれていたみたいだ。


 朝ご飯は俺達貧乏だから、スライム討伐の時に貰った野菜が(もっぱ)らだった。


 何か俺はどうしてしまったのか、肉か血を吸う気分になっていた。


 リサは朝から野菜炒めを作ってくれたのだ。


 それを食べて少しは血を吸う気分が少しは晴れた。


 俺はどうして血を吸いたくなる気分に陥ってしまったのだろう。


 とにかく今日も朝飯を食べたら、ギルドに向かい、今日はスライム討伐の仕事じゃ無くてもう少しレベルの高い依頼を受けて俺やリサが食べたがっている肉を調達したいと思っている。


 リサの方を見ると、リサはネクリジェ姿で、何かリサを見てみると、リサの血を吸いたい気分に陥ってきた。


 ダメだ。ダメだ。リサの血を吸ってはいけない。


 そんな時、幻聴なのか?俺の頭の中に誰かが呟いた。


『お前は血を吸うことと、肉を喰らうことがメインになっている』


 と。


 いったい何の事だ。


 朝ご飯も食べて、俺とリサはギルドに向かうためにみそぼらしいが、青い布の服に青いズボンを履いた。


 そう言えば俺はケルベロスとの一戦でダガーを折ってしまった事を思い出した。


 武器なしでギルドに向かうのか、仕方が無い、今日は素手で闘う事にしよう。


 するとリサが、


「ダインこれ」


 そう言って差し出したのが、新しく新調したダガーだった。


「お前、これどうして」


「武器が無いと闘えないでしょ」


 それもそうだと思ってこのダガーのお金はどうしたと聞いたら、スライム討伐でカツカツの生活で貯めたお金を使ってダガーを購入したのだとリサは言っていた。


「よし、飯も食べた事だしギルドに向かうぞ」


「ええ!」


 リサは青いとんがり帽子に緑色の羽衣を着ている。


 俺達が買った物って全部安物の防具ばかりだ。


 でも俺は昨日オークを討伐している連中に素手で倒したのだ。だから今日はスライム討伐じゃなくて、もっとレベルの高い依頼を受けようと思っている。


 早速俺とリサはギルドに向かった。




 ★




 ギルドに到着すると、周りの連中は言っていた。


『あいつダインだよな』『スライム討伐に失敗してスライムに殺されたのに生きていたのか?』『何であいつが生きているんだ』


 と色々と噂話が飛び交ってくる。


 その噂の中で気になったのが、俺がスライムに殺されたと言うことになっていることにいらだちを感じたが、とにかく俺は反論してやりたがったが、あの穏やかな所にケルベロスが現れるなんて誰も信じてはくれないだろう。


 俺とリサはギルドの案内人のハーフエルフのレバナさんの所に行って、


「あら、ダイン君、あなた生きていたのね」


 と俺の事を少しは心配してくれていたみたいだ。


「ああ、レバナさん。俺は生きているよ」


「あなたスライムに殺されたって聞いたけれども、もう依頼は受けない方が良いんじゃないの。またスライムに殺されてしまうわよ」


「俺はスライムに殺された訳じゃない!」


 と俺は感情的になりギルドの案内人のレバナさんに怒鳴りつけてしまった。


「じゃあ、どんなモンスターに殺されてしまったの?たまたまあったゴブリンに殺されてしまったの!?」


 もうスライム討伐の時にケルベロスに殺されたなんて言っても多分信じてくれないだろうと思って、悔しいがそう言うことにしておいた。


「で?今日はどの依頼を受けるつもり?」


 案内人のレバナさんの後ろには依頼がいっぱい張ってあった。


 そこで目がついたのが、ミノタウロスの討伐だった。


「今日はミノタウロスの討伐に出かけようとしているんだけれども、良いですか」


 するとリサとレバナさんは驚いていた。


「何を言っているのダイン。あなた正気?ミノタウロスは貴族でも舌を巻くモンスターよそんなモンスターを退治しに行くなんてどうかしているわ」


 とリサは慌てて抗議する。


「そうよ。あなたのような、スライム討伐が限度の人にこの依頼はまさに自殺行為だよ」


 とレバナさんは俺の事を案じているのか、すぐに止めに入った。


「いや、俺は行くよ」


「ちょっとダイン、昨日繁華街で出会ったオークを狩っている人物達を素手で倒したからっていきなりミノタウロスを討伐しに行くなんて、無謀にも程があるよ」


 リサが言う。


「俺は無謀だと思っていない。さあ、レバナさん。今日は俺は地下で採掘しているアメジストを掘っている人の妨げとなっているミノタウロスを倒す、依頼を受けることにする」


「ダインさんあなた本気、今まで貴族の人達も手が付けられないのよ、あなた正気なの?」


 するとギルドないで俺がミノタウロスを倒すことを決めた事に野次馬達が囁く。


『あいつ正気か?スライムに殺されたのに』『貴族でもミノタウロスに勝てないのに』『あいつ今度はとうとう頭がおかしくなったんじゃないか?』


 野次馬達はそう言って囁いている。


 でも今の俺の力だったら、ミノタウロスを倒す事なんて造作も無いと思っている。


「だからレバナさん。俺にミノタウロスの討伐をさせてくださいよ」


 レバナさんは大きくため息をついて。


「私はギルドの案内人としてではなく、あなたの事をいつも気にかけていたわ。いつもスライムを倒すことしか出来なかったあなたが、ミノタウロスを倒す何て無謀にも程があるよ」


「良いから、俺にミノタウロスを討伐に賛成してくださいよ」


「だからあなた正気なの?ミノタウロスはスライムとは格が違うのよそれなのにミノタウロスを倒すなんて・・・」


 泣きそうになるレバナさん。


「心配しないでくださいよレバナさん。今の俺にはミノタウロスを倒す自信があるんです」


「本当に良いの?あなた今度こそ死んでしまうわよ。装備品もボロい布の服に武器はダガーでしょ」


「だから今の俺になら出来るって」


「本当に良いのね」


 とレバナさんは涙ながらに俺の事を見て、ミノタウロス討伐にサインを押そうとしている。

「何、ためらっているんですか、版を押してくださいよ」


 そこでリサが、


「あなたもう一度聞くけれど、本気なの?」


「本気も本気さ、今の俺だったら出来そうな気がする」


 レバナさんは、


「一応私はあなたの事を応援していたのよ。いつもスライムの討伐をしながら生計を立てていて偉いと思っていたけれど、これであなたとはお別れをしなきゃいけないのね」


「どうして俺がミノタウロスを倒す事を許してくれないんですか?俺なら出来るよ」


「分かったわ。もう止めないわ。さようならダイン君」


 そう言ってレバナさんは俺にミノタウロスを討伐を許可してくれた。


 許可と言うか、依頼を受けるには自由なはずだ。


 だから俺はミノタウロスを倒して、大金を貰って肉や色々な装備品を手にしたいと思っている。


 そこでリサが、


「ちょっとダイン。考え直しなさいよ」


「リサ、別に来たくなければ来なくても良いんだぞ」


「分かったわよ。私もダインのパーティーだから、ミノタウロス討伐に賛成するよ」


「よし、それでこそお前は俺のパーティーだ。お前が危なくなったとき、俺はお前を助けてやるからな」


「・・・」


 リサは俺の事を心配そうな顔で見つめている。


 ミノタウロス討伐に関しては今の俺でも正直ビビっている。でも俺は最高の力を手にしたんだ。だからミノタウロスを倒して大金を手にしてリサに思い切り贅沢をさせてやりたいと思っている。


 そうして街を出て、ミノタウロスが支配する洞窟へと俺達はいくのであった。


 たいまつが必要だと思ったがリサは明かりを出す魔法を持っている。


 洞窟には様々なモンスターの気配が立ちこめている。


 そこで遭遇したモンスターは一角ウサギだった。


「ダイン、一角ウサギよ、スライムとは違う強さを持っているわ」


 そうリサに言われて俺は一角ウサギをダガーで打ちのめすのであった。


「ダイン、昨日の事と良い、いつからそんな力を持つことが出来たの?」


 とリサは一角ウサギを倒して、驚いた表情をしていた。


 次に軍隊アリがこちらに大勢向かってくる。


「よしリサ、援護を頼む」


「援護って何よ。私はスライムしか倒した事がない落ちこぼれ賢者よ。そんな大勢の軍隊ありを倒す事なんて出来ないよ」


「だったら俺一人でやっつけてやる」


 そう言って俺は軍隊ありに向かって走り出す。


「ダイン無茶よ」


 軍隊ありは十匹程度の物だ。


 これなら楽勝だと思った。


 俺はそんな軍隊ありを次々と倒していき、さらにリサも参加して軍隊ありを炎の魔法で倒しまくっている。


 そうだ。この様にして軍隊ありを倒していけば良いんだ。


 ここは魔石であるアメジストがとれる場所だと聞いた。


 でもミノタウロスが洞窟内に現れてその魔石であるアメジストが採掘出来なくなってしまっているのだ。


 そして洞窟の奥に続く道を行くと、モンスターも強くなってきたのか?オークが出現した。

「ダイン、オークよ。慎重に闘わないと勝てない相手よ」


「心配ご無用だよ」


 オークは棍棒を持ち、俺を見て、その棍棒を俺に思い切り振り落とした。


 俺は瞬時にそれをよけて、オークをダガー、一撃で倒した。


 俺は昨日いかがわしい淫売婦の店が並ぶ、所でオークを狩るような人間を素手で倒したのだ。だから、オークなんて俺には怖くも何ともない。


「ダイン油断してはいけないよ。オークとミノタウロスのレベルは次元の違うモンスターなのだから」


「分かっているよリサ。とにかくこの先を行こう」


 すると俺達の足音に気がついたのか、ミノタウロスの登場だ。


「来たな。ミノタウロス!」


 ミノタウロスは俺達を威嚇するように大きな咆哮を上げた。


 さすがにミノタウロスはその強さを象徴している。


「水の精霊ウンディーネよ。その力を私に貸して」


 そう言ってリサは俺に回復の魔法を唱えて俺にかけたが、なぜが力が衰えて来る。


 なぜだ。回復の魔法を受けたのに、俺は吐血してしまった。


「ちょっとダイン。どうしたのよ!」


 そんな悠長な事は言っておられずに、ミノタウロスは咆哮を上げながら俺達に攻撃を加えて来た。

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