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約束と契約2  作者: オボロ
18/30

#18 使い魔達の大冒険④



「今、7組がすごいことになってるらしいよ。」


1年3組の甘味処の前の廊下に居た女の子達に、別の女の子達が声を掛けた。


「外国人の男の子が5人も来ていて、すごく綺麗な男の子とたちばな君がもめてるって。面白そうだから、行ってみようよ。」



甘味処のお客の中にも、興味を持った女の子は居て、甘味処を出て、7組に向かう女の子が続出した。



「5人の外国人の男の子って……。」


マリアは、不安げにB・Bを見た。

凪は、確信を持って言った。


「まず、間違いないだろう。行くぞ。」


凪は、B・Bに言い、席を立った。


「あっ、わたしも行く。」


マリアも一緒に、甘味処を出て、7組に向かった。












「次の場所に向かわなくちゃならないんだ。早く、暗号を渡してください。」


ノラは、たちばな和樹かずきの正面に立ち、片手を出して催促している。

橘和樹は、両手を腰に当て、偉そうにしているが、そっぽを向いて、子供のようにすねた口調で短く言った。


「いやだね。」


「なんでだよー。」


クロが文句を言った。


「いやだからだよ。君たちは、ここでリタイヤだ。」

「意味が分からない。」


バトが、信じられないという顔で、橘を見た。


バト達は、2年5組で、都ヶ丘つがおか高校に爆弾が仕掛けられていると知らされた。

文化祭が終わるまでに見つけなければ、学校だけではなく、周辺の住宅にも被害が出ると聞かされた。

だから、爆弾を探さなくてはならなかった。

その為には暗号を解いて、次の場所へ行かなければならないのに、暗号を渡すのは嫌だと駄々だだねて、次の場所に行くのを阻止するホストの神経が、理解できなかった。


馬鹿なのだろうか?

馬鹿なのかもしれない。


「橘、ルールなんだから渡してやれよ。」


別のホストが助け舟を出してくれた。


「いやだね。ぼくよりも目立つヤツに、手がかりなんて渡したくない。」


らちかなかった。


「あぁ、ごめん。こればかりは生まれつきだからね。僕自身にもどうすることも出来ないんだ。でも、どうなんだろう。君は、どう思う?」


ノラは、近くに居たメイド姿の女の子の髪の毛を、少しだけ手に取り、言った。


大人おとなげないと思わない?美しいことは罪なのだろうか?だとしたら、この世の女性たちは、すべて罪人つみびとになってしまう。そんなこと、悲し過ぎる。僕には耐えられないよ。」


ノラは、そう言って、手にした髪にキスをした。


キャー―――‼


教室の中、女子達の悲鳴が上がった。

卒倒する女の子まで現れた。


もう、1年7組の男子たちに言葉は無い。

日本の小学生は、絶対にそんなことはしないと、断言出来た。



「あなた達、何をしているの?」



悲鳴を聞いて、慌てて駆けこんで来たのは、マリアだった。

マリアの後ろには、凪とB・Bが居た。


「ぼくたち、爆弾を見つけなくちゃならないんだ。次の場所の手がかりが欲しいのに、この人、渡してくれないんだ。」


ヴィゼは、マリアに助けを求めるように、説明をした。

マリアは橘を見た。


「どうして渡してあげないの?」

「僕が気に入らないんだって。」


答えたのはノラだった。


「なんで?」

「ノラが、この人よりも女の子達の目を引くのが嫌なんだって。全く、くだらないよ。」


バトが痛烈に言った。

クロもドドも言う。


「ノラが目立つのは仕方ないよ。」

「うん。ほぼ生まれつきだからね。仕方ないと思う。」


「仕方ないことを理由にして、嫌がらせをしているの?」

「いや、いや、そんなことはしていないよ。」


マリアに責めるような目で見られて、橘は慌てた。

これでは、まるっきり悪者だった。


「これが次の場所のヒントだよ。」


諦めて、内ポケットから紙を取り出す。

ノラに差し出すと、ノラはにっこり笑って受け取った。


「ありがとう、お兄さん。はい、バト。」


すぐに、受け取った紙を、バトに渡した。

バトは、即、紙を開き、解読にかかった。

他の使い魔達は、マリアの傍に駆け寄った。


「マリア、その恰好、可愛いね。」

「うん。かわいい。良く似合ってる。」

「B・B、来てたんだね。」

「狐も来てたのか。」


B・Bは、無事に使い魔達と会えたことに、ホッとしていた。

凪もホッとしてはいたが、心配なこともあった。


「無銭飲食はしていないだろうな。」


「ぼくたちはしていないよ。」


ヴィゼは、言って、クロを見た。

ノラとドドも、クロを見た。

クロは一人、別行動をしていて、見つけた時、輪投げをしていた。


「おれだってしてないよ。嘘じゃないよ。いいよって、言われたことしかしてないってば。本当だよ。マリア、信じて。」

「うん。信じる。爆弾見つけたら会いに来て?一緒に何か食べよう?」


「「「「うん。」」」」


使い魔達は、揃って返事をした。


「わかったぞ。次の場所へ行こう。」


バトが解読して、使い魔達は、マリア達と分かれた。


1年7組の騒動は、これで幕を閉じたわけだが、ノラの出現で、へそを曲げてしまった橘は、ノラ達が居なくなった後、再び、女の子達に囲まれ、すぐに機嫌を直していた。


注目を浴びている5人の外国人の男の子も、マリアの知り合いであることは、あっという間に広まった。


「月城さんって、何者なの?」


こんな詮索をする者まで現れていた。






「次は外に出て、巨大迷路だ。」


使い魔達は、階段を下りて、外に向かった。

どこに行っても、使い魔達は、注目の的だった。







今年一年、ありがとうございました。

来年もよろしくお願いします。

一月三日までは、毎日、更新します。

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